Archive for the ‘更生支援・出口支援’ Category
親族以外の者の受刑者への面会について~お世話になった人に刑務所で会えないのですか?~

【事例】
Aさんは、窃盗の罪で実刑判決を受けてしまい、現在はP刑務所に収容されています。
Aさんは、家族を亡くしていましたが、刑務所に入る前は、近所づきあいがとてもよく、大変お世話になっていた知人のBさんがいました。
Bさんは、Aさんのことをとても気にかけており、もしAさんが刑務所から出てこられたら、仕事探しを一緒に手伝うなど、再起を促したいと考えています。
Bさんは、そのことをAさんと話したいと考えて、P刑務所に面会へ行きましたが、なぜか面会できません。どうしてなのでしょうか。
(事例はフィクションです)
今回の記事ではなぜこの事例のように受刑者に面会できないことが起きるのか、事例のような場合に受刑者への面会はどのように行えるようになるのかについて弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が説明します。
受刑者に面会できる者の範囲
刑務所内で受刑者に面会できる人は、限られています。
そもそも刑務所で面会できる人は、受刑者の親族が原則です。
次に給料の支払いなど社会生活上不可欠な面会や弁護士など裁判をするための打合せなど特定の目的を持った人との面会です。
そして受刑者の更生に資すると認められる人も面会をすることができます。
より詳細を知りたい方は、以下のウェブリンクから、法務省の掲載するルールを確認してください。
https://www.moj.go.jp/kyousei1/kyousei_kyouse37.html
さて、事例のBさんを考えてみましょう。
受刑者の中には、身内の方が亡くなってしまったとか疎遠になってしまったといった様々な理由で、面会に来てくれる親族や社会復帰の支援をしてくれる親族がいない人も少なくないです。
そんな人にとっては、元交際相手、職場の元同僚、近所付き合いの良かった人など、親族ではないけれども親身になって支えてくれる人たちの存在はとても重要です。
しかしそのような人たちは、親族でないため、面会をすることができないのです。
親族以外の者が受刑者に面会するための流れ
では、どうすればそのような人たちも受刑者と面会できるようになるのでしょうか。
以下のような流れで、親族以外の人も更生に資する人として面会ができるようになる可能性があります。
まず受刑者自身で、特定の誰かを身元引受人として指定する必要があります。今回のケースでいうと、Aさんは、自分でBさんを身元引受人として指定する必要があります。
刑務所では、Bさんが親族でないのに身元引受人としてよいか、保護観察所の担当者に確認を求めます。
そして保護観察所の担当者が身元引受人として指定された人と面談をするなどいくつかの調査をします。そうした調査の結果を踏まえて、Bさんを身元引受人とすることが適切だと判断された場合には、BさんもAさんと面会できるようになります。
この調査は、すぐ終わるようなものでなく、数か月かかることも少なくないです。
したがって面会や身元引受環境の整備などなるべく早く面会して力になりたい場合には、早期に身元引受人の指定に向けて動く必要があります。
このように親族でないBさんがAさんと面会できるようになるためには、Aさん自身にBさんを身元引受人として指定してもらわないといけません。
しかし、受刑者の中には、そのあたりのルールをしっかり把握できていない人もいます。
そうした人のためのメッセンジャーとして弁護士が定期的に受刑者と面会し、Bさんが身元引受人となれるよう環境調整して、早期の仮釈放の実現など更生支援をしていくことも可能です。
仮釈放の実現に向けてはこちらのページも参考にしてください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、受刑者への定期的な連絡やアドバイス、早期の仮釈放に向けた準備をお手伝いさせていただくために顧問契約をご準備しております。受刑中のお困りごとの解決や早期の仮釈放実現にご興味のある方は、遠慮なくお問い合わせください。
違法薬物を使用した罪で実刑判決を受けたケース 仮釈放向けて弁護士ができることは?

【事例】
Aさんは、違法薬物を使っていた罪で実刑判決を受けてしまい、現在はP刑務所に収容されています。Aさんは、早く仮釈放を認めてもらって社会復帰したいと考えています。
しかし、刑務所に入るのが初めてなので、どうすれば仮釈放が認められやすくなるのか、全く解りません。
弁護士の中には、受刑者と面会や手紙のやり取りをしたうえで仮釈放のサポートをしてくれる人もいることを知ったAさんは、X弁護士にその依頼をしました。
X弁護士は仮釈放に向けて、どのようなことをしてくれるのでしょうか。(事例はフィクションです)
この事例をもとに、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所であれば、Aさんの仮釈放に向けてどのようなサポートをするか説明します。
仮釈放について
仮釈放は、簡単にいうと、本当はもっと長く刑務所に入っていないといけないのに早めに釈放してもらえる制度です。
例えば、1年間刑務所に入りなさいという判決になっても、仮釈放が認められれば、10か月くらいで釈放になる可能性もあります。
令和3年度の仮釈放に関するデータはこちらです。
このデータを見てみると、短縮された期間の長短の差はあると思いますが、実刑判決を受けた者のうち半数以上の者について仮釈放が認められていることが分かると思います。
では仮釈放はどのような場合に認められるでしょうか。
仮釈放を認めるかどうかは、刑務所の関係者が決めることなのです。ですから、受刑者本人や弁護士がどれだけ頑張っても仮釈放を認めてもらえないこともあります。
しかし、刑務所の関係者の方(具体的には刑務所長や地方更生保護委員会の委員)に「ああ、この人はもう仮釈放を認めても大丈夫だな」と思ってもらえれば、本人や弁護士の頑張りによって早期の仮釈放が認められることもあるのです。
仮釈放の具体的な要件や、手続きの流れについてはこちらのページを参考にしてください。
仮釈放に向けて弁護士がお手伝いできること
それでは、仮釈放を認めてもらうため、受刑者から依頼を受けた弁護士はどういうことをするのでしょうか。
まずは仮釈放を認めるべきであるとする申立てを刑務所長又は地方更生保護委員会することになります。専門的な文書なので、弁護士のサポートのある方が安心です。
この申立てでは、なぜその受刑者の方は早めに釈放を認めても問題ないといえるのか、上記の方に説明することになります。
しかし、ある受刑者と「初めまして」の状態で一回話を聞いただけで仮釈放の申立ての作成やそのお手伝いをすることはかなり難しいです。
というのも、刑務所での面会は弁護士でも長くて30分くらいしかできません。それだけの時間で、仮釈放という専門的なことについて詳しく話を聞いて説得的な文書を作るのは、やはり難しいのです。もちろんご依頼をいただければ、一生懸命やるのですが早期にご依頼いただいた方が事件の内容や周囲の環境など詳しく聴き取った上での活動ができますので、活動の選択肢が広がり、主張の説得力も増すと思います。
ですから、仮釈放を認めてもらいたいと考えている時期より前の段階から、定期的に目回や手紙のやり取りをすること、受刑者の家族や知人など監督者と協議することなど、今後の動きを見据えて事前準備をしていくことになります。
手紙のやり取りについては、定期的に、どんな刑務作業をしているか、どんな講習を受けたか、どんな課題をしたか、どんな評価を受けたか、刑務所内での人間関係に問題はないか、など問い合わせて、報告をしてもらいます。
面談では、手紙では伝わらない込み入った話をする場合や、身体的な事情(目が悪い、手足が不自由等)で手紙のやり取りが困難な方と定期的な面談をします。
実際に受刑者の方と面会すると、そういった仮釈放のための活動の前段階のことでそもそもつまづいている人がいることにも気づきます。
例えば、「刑務所のルールが複雑で手紙を出したけど、ルールが解らない。でも刑務官の人が怖くて質問できない。」という話はそれなりの頻度で出てきます。受刑者からすると確かに刑務官は怖いかもしれませんが、弁護士からそこまで怖がる必要はないという、もし何かされたら教えてほしいと励ますと、しっかり対応してもらえることもあります。
家族や知人など監督者については、もし受刑者が釈放された場合、どういうサポートをするのか、例えば就職先を一緒に探してくれるのか、どこか住むところを提供してくれるのか、確認することになり、これらの準備がある場合には申立書に書き添えることになります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、こういった活動を定期的に行うための顧問契約をご準備しております。早期の仮釈放実現にご興味のある方は、遠慮なくお問い合わせください。
三重県名取市の強盗傷人事件 少年院による社会復帰支援を協力してくれる協力者について

【事例】
Aさんは、三重県名張市に住む17歳の高校生でしたが、友人らと一緒になって、老夫婦が住む三重県桑名市の一軒家に押し入り、老夫婦を殴ったり、蹴ったりといった暴行を加えて、現金100万円を奪い去りました。
このAさんたちの暴行により、老夫婦は骨を折るなどの怪我を負ってしまいました。
Aさんは、この強盗傷人事件を起こしたことで警察に逮捕されて捜査を受けました。
その後、津家庭裁判所に送致され、Aさんはこの強盗傷人事件で審判を受けることになりました。
Aさんは、この強盗傷人事件を起こす以前にも傷害事件を起こして保護観察処分を受けていたこともあって、少年院に送致されることになりました。
ところで、Aさんの両親は既に交通事故で他界しており、身寄りは高齢の祖母だけです。
Aさんの祖母は、何とかAさんの力になりたいと思っていますが、年齢や体調のこともあり、少年院から出てきた後のAさんの監督を十分にできるのか不安に思っていました。
場合によっては、交通の便が悪く、周囲に就業先も見当たらない自分の家に住まわせるよりも、別のところに住んでもらうのがいいのではないかということも考えています。
そこで、Aさんの祖母は、少年院から出てきたとき、Aさんにどのように生活してもらうのがいいのか、あいち刑事事件総合法律事務所に相談することにしました。
(事例はフィクションです。)
1 はじめに
以前の記事で、少年院による社会復帰支援の支援の内容について解説してきました。
前回の記事についてはこちらからご覧ください。
今回は、少年院による社会復帰支援の協力者について解説していきます。
2 少年院による社会復帰支援の協力者
以前の記事で、少年院の社会復帰支援としては、引受人の確保や就職・進学先の確保、医療機関に繋げること、障害者手帳等の取得の補助などといったことがあると解説してきました(少年院法44条1項)。
それでは、このような支援は少年院の長だけが行うのでしょうか。
まず、少年院の長は、以前解説したような少年院法44条1項の支援を行う際、「保護観察所の長と連携を図るように努めなければならない」とされています(少年院法44条4項)。
少年院から出院する場合、ほとんどが仮退院(少年院法135条)として出院します。
出院者のうち仮退院の者の割合を示したデータがこちらです。
少年院から仮退院した場合、法律上、保護観察が付されることになります(更生保護法42条、40条)。
この保護観察を担当するのは、出院者の住居地を管轄する保護観察所で(更生保護法60条)、実際に保護観察を実施するのは、保護観察所の保護観察官や保護司と呼ばれる方です(更生保護法61条1項)
つまり、仮退院として出院となれば、必然的に保護観察所が関与することになりますから、「保護観察所の長」とも連携を図る必要があるのです。
そして、このような少年院の社会復帰支援については、弁護士が関わることも考えられます。
最も典型的なのは、少年審判までの間に少年の弁護士(付添人といいます。)であった弁護士が、新たに少年の代理人となって活動をするという方法です。
このような弁護士であれば、警察などが捜査をしていたり、少年審判の前段階として家庭裁判所が調査をしていたりする段階から関わっていますから、少年の周りの環境をよく知っている場合もあるでしょう。
また少年院や保護観察所はあくまで公的機関ですから、そうではない弁護士がより柔軟な方法で活動することで、少年の社会復帰支援に有益な場合もあるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件・少年事件に関わってきた経験を活かし、再犯防止に向けたサポートにも力を入れています。
例えば保護司の方との相性が合わなくて不安だ、課題についてももっと取り組んでいきたいなどの要望がある場合には、保護観察中であっても弁護士が、保護観察中に面談を行う、課題を実施するなどの活動をさせていただきます。
少年院の出院後の社会復帰についてご興味のある方は、一度、あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
三重県名張市の強盗傷人事件 少年院による社会復帰支援について深堀りして解説します

【事例】
Aさんは、三重県名張市に住む17歳の高校生でしたが、友人らと一緒になって、老夫婦が住む三重県桑名市の一軒家に押し入り、老夫婦を殴ったり、蹴ったりといった暴行を加えて、現金100万円を奪い去りました。
このAさんたちの暴行により、老夫婦は骨を折るなどの怪我を負ってしまいました。
Aさんは、この強盗傷人事件を起こしたことで警察に逮捕されて捜査を受けました。
その後、津家庭裁判所に送致され、Aさんはこの強盗傷人事件で審判を受けることになりました。
Aさんは、この強盗傷人事件を起こす以前にも傷害事件を起こして保護観察処分を受けていたこともあって、少年院に送致されることになりました。
ところで、Aさんの両親は既に交通事故で他界しており、身寄りは高齢の祖母だけです。
Aさんの祖母は、何とかAさんの力になりたいと思っていますが、年齢や体調のこともあり、少年院から出てきた後のAさんの監督を十分にできるのか不安に思っていました。
場合によっては、交通の便が悪く、周囲に就業先も見当たらない自分の家に住まわせるよりも、別のところに住んでもらうのがいいのではないかということも考えています。
そこで、Aさんの祖母は、少年院から出てきたとき、Aさんにどのように生活してもらうのがいいのか、あいち刑事事件総合法律事務所に相談することにしました。
(事例はフィクションです。)
1 はじめに
以前の記事で、少年院による社会復帰支援の対象者や支援の内容について解説してきました。
今回は、少年院による社会復帰支援の内容をさらに深掘りしていきます。
2 少年院による社会復帰支援
以前の記事で、少年院の長は、出院(法律的な意味で少年院での拘束状態が解かれることをいいます。)する場合の引受人の確保・調整(帰住先調整ともいいます。)や就職先や就学先の確保・調整といったことができると解説してきました(少年院法44条1項)。
以前の記事について確認されたい方はこちらからどうぞ。
まず、この社会復帰支援は、「効果的な実施を図るため必要な限度において」、少年院以外の適当な場所で行うこともできます(少年院法44条2項)。
例えば、就職をしようとしている場合に、就職予定の場所に実際に訪れることが必要な場合もあるでしょう。
また、進学を希望する場合に、進学先の学校を見学したり、その学校で入学試験を受けたりすることが必要な場合もありえます。
さらには、出院後に入院や通院をする病院を見学する必要がある場合もあるでしょう。
こういった少年院の外での社会復帰支援は、少年院の職員が同行して行われることになります。
また、少年院の職員の同行なしに外出や外泊が認められる場合もあります。
少年院法45条では、「少年院の長は、在院者」「の円滑な社会復帰を図るため、少年院の外において、その者が、出院後の住居又は就業先の確保その他の一身上の重要な用務を行い、更生保護に関係のある者を訪問し、その他その出院後の社会生活に有用な体験をする必要があると認める場合であって、その者の改善更生の状況その他の事情を考慮し、相当と認めるときは、少年院の職員の同行なしに、外出し、又は七日以内の期間を定めて外泊することを許すことができる」と定めています。
具体的には、就職予定の場所に実際に通うことが有用であったり、住み込みで働く予定の場合に実際に住み込みで働いてみることが有用であったりということが考えられます。
このように少年院の社会復帰支援としては、様々なバリエーションが考えられます。
少年院における社会復帰支援の取組みについてはこちらの法務省のホームページも参考にしてください。具体的な取り組みについて紹介されています。
今後の記事では、少年院が社会復帰支援を誰と行うのかについても解説していきます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件・少年事件に多数関わってきた経験を活かし、再犯防止に向けたサポートにも力を入れています。
具体的には顧問契約という形で、処分を受けた少年の方にたいし課題の実施や定期的な面談、交友関係の清算に向けた見守りなどによって真の意味での更生を目指していきます。
少年院の出院後の社会復帰支援についてご興味のある方は、一度、あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
特殊詐欺に加担してしまった少年事件における少年院送致回避に向けた弁護活動・付添人活動

【事例】
未成年者のAさんは、先輩から特殊詐欺の仕事を紹介されて、これを行ってしまいました。
具体的な内容は、指示役からの電話に従って、高齢者の家に行き、段ボール箱1箱を受け取るという仕事です。
Aさんとしては、そのようなことをしたくなかったのですが、先輩から「俺の代わりにこの仕事をしてくれる人を探している。今までよくしてやったのだから、お前がやるよな。」と強く言われて断れなかったからです。
結局、Aさんは、詐欺罪で逮捕されてしまいました。
Aさんや家族は、少年院に行くことだけは避けたいと思っています。
どうすれば良いでしょうか。
(事例はフィクションです)
この事例をもとに、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所であれば、Aさんの審判の対応について、今後の更生について交えながら解説します。
少年事件に関する詳しい弁護活動についてはこちらのページも参考にしてください。
特殊詐欺事件では少年事件であっても厳しい処分が下される可能性が高いです
まず20歳未満の人が犯罪をした場合、少年法が適用され、少年事件として扱われます。
大人では刑務所に入ってしまうのと同じように、少年は、少年院というところに入れられてしまうかもしれません。
そして、Aさんのように特殊詐欺をしてしまった少年は、少年院に入ることになる可能性が十分あります。
これは特殊詐欺が社会問題化して厳罰化の流れがあること、特殊詐欺に加担するケースでは交友関係や本人の規範意識にに問題があると判断されるケースが多い傾向にあることなどが理由になっているようです。
ですから、本当にしっかりとした対応をしないと、少年院送致を回避すること回避はできませんし、一生懸命頑張っても少年院に送致されてしまうことも珍しくないです。
もし特殊詐欺事件に加担したとして逮捕された場合には、早いうちから少年院に行かなくて済むようやれることをしっかりしていく必要があります。
特殊詐欺事件で弁護士はどのような事情を家庭裁判所に主張するか
Aさんの場合、弁護士から色々と主張することになります。
特殊詐欺事件で責任の重さを図る事情として主なものとしては以下のような事情があります。
・特殊詐欺に成功したのか
・成功したとして被害額はどれくらいなのか
・被害者に対しいくら賠償できているのか
・逮捕されるまでに何回くらい特殊詐欺をしているのか
・そもそも段ボールの中身を何と認識していたのか
早期に弁護士がつくことで上記の点について不利な調書が作成されることを回避する、被害者に対し賠償や示談を行っていくなどの弁護活動を受けることができます。
このように既にしてしまったことの分析も大切ですが、少年事件では今後どうするかということも大切です。少年事件において、家庭裁判所が処分を決める際に関心を持つ事項としては次のような事情があります。
・なぜ事件を起こしてしまったのか家族と話し合えているか
・今後犯罪をしないために家族はどうサポートするつもりか?
・今回特殊詐欺をしてしまった原因をどうやってなくすことができるか?
以上のような事情について、今後再犯をしないためにどのように改善していけるかが少年事件において処分を決める上で重要になります。
事例のケースにおける弁護活動
事例のAさんの場合、なかなか強く意見することができない先輩からの依頼を断れずに特殊詐欺に関与してしまっています。
Aさんを少年院に入れるかどうか判断する裁判官としては、この先輩との関係をどうやって断ち切るか、またその先輩以外にも不良交友がないか気にしてきます。
ですので、Aさんの弁護士としては、その先輩との関係はもちろん不良交友をなくすためにはどうすれば良いか、一緒に考えることになります。
しかしAさんの場合、今後も先輩から色々と接触される可能性が十分あります。大人であれば、誰かと縁を切ることも可能かもしれませんが、未成年者同士だといったんは会わなくなったけどSNSでまた接触してしまうということもあり得ます。
一方で、常に家族だけで子供の様子を見張るのも限界があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、Aさんのような方の審判対応や今後の更生を見据えて、身元引受業務を内容とする顧問契約のサービスを提供しています。
この顧問契約は、一定の期間(半年にするか、1年にするか、もっと長くするかは話合いで決めます。)、Aさんと弁護士が密に連携して、先輩から接触を受けていないかという確認をすること、先輩から接触があった場合には相談を受けて防衛のための協議をすることを行います。
もちろんそれ以外にも、最近の生活状況について丁寧に確認し、再犯防止のためのアドバイスをしていくことになります。
「このような身元引受業務を裁判が終わった後もしっかり続けますよ」ということを少年事件の裁判官にしっかりと伝えると、裁判官に対してもある程度の安心材料になるため有利な事情となってきます。
少年院送致も考えられた事例で、弁護士による継続的なサポートと監督を主張したことが考慮されて、試験観察処分を獲得し少年院送致を回避した事例もあります。
もちろんこういった業務をするからといって確実に少年院を避けられるわけではありません。それくらい特殊詐欺で少年院回避は大変です。
少しでも少年院回避の可能性を高めるためにも、また今後の更生のためにも弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、全力でサポートをさせていただきます。
ご関心があれば、いつでもお問い合わせください。
三重県名張市の強盗傷人事件 少年院で行われる社会復帰支援の内容について紹介します

【事例】
Aさんは、三重県名張市に住む17歳の高校生でしたが、友人らと一緒になって、老夫婦が住む三重県桑名市の一軒家に押し入り、老夫婦を殴ったり、蹴ったりといった暴行を加えて、現金100万円を奪い去りました。
このAさんたちの暴行により、老夫婦は骨を折るなどの怪我を負ってしまいました。
Aさんは、この強盗傷人事件を起こしたことで警察に逮捕されて捜査を受けました。
その後、津家庭裁判所に送致され、Aさんはこの強盗傷人事件で審判を受けることになりました。
Aさんは、この強盗傷人事件を起こす以前にも傷害事件を起こして保護観察処分を受けていたこともあって、少年院に送致されることになりました。
ところで、Aさんの両親は既に交通事故で他界しており、身寄りは高齢の祖母だけです。
Aさんの祖母は、何とかAさんの力になりたいと思っていますが、年齢や体調のこともあり、少年院から出てきた後のAさんの監督を十分にできるのか不安に思っていました。
場合によっては、交通の便が悪く、周囲に就業先も見当たらない自分の家に住まわせるよりも、別のところに住んでもらうのがいいのではないかということも考えています。
そこで、Aさんの祖母は、少年院から出てきたとき、Aさんにどのように生活してもらうのがいいのか、あいち刑事事件総合法律事務所に相談することにしました。
(事例はフィクションです)
今回の事例は17歳の少年を対象にしましたが、仮に少年が18歳または19歳であった場合には現行の改正少年法においては特定少年という扱いになり、今回の事例のように強盗傷人罪を犯した場合には成人と同じ手続きにより審理される場合もあります。特定少年事件に関する詳しい説明につきましてはこちらのページも参考にしてください。
1 はじめに
前の記事で、出院(法律的な意味で少年院での拘束状態が解かれることをいいます。)の種類や、少年院による社会復帰支援が求められている理由や実情について解説してきました。
前回の記事についても興味がある方はこちらからお読みください。
今回は、少年院による社会復帰支援の内容について解説していきます。
2 少年院による社会復帰支援
⑴ 少年院が社会復帰支援をする根拠と対象者
以前の記事で、少年院から出院した場合の暮らす場所(住居など)や社会の中での居場所(就職先や学校など)が、その後の更生のためにも重要であることは解説してきました。
そして、少年院法44条1項柱書では、「少年院の長は、在院者の円滑な社会復帰を図るため、出院後に自立した生活を営む上での困難を有する在院者に対しては、その意向を尊重しつつ、」支援を行うとされています。
そのため、「出院後に自立した生活を営む上での困難を有する在院者」を対象に、少年院も出院後の社会復帰支援を行うことになります。
⑵ 社会復帰支援の内容
少年院法44条1項では、少年院の長が行う社会復帰支援の内容として、次のものを定めています。
①「適切な住居その他の宿泊場所を得ること及び当該宿泊場所に帰住することを助けること」(1号)
②「医療及び療養を受けることを助けること」(2号)
③「修学又は就業を助けること」(3号)
④以上の①から③のほか、「在院者が健全な社会生活を営むために必要な援助を行うこと」(4号)
①の具体的な例としては、親族の誰に引受人となってもらうのがいいのか、それとも親族ではなく、雇用主や更生保護施設、福祉施設に引受人となってもらうのがいいのかなどといったことを考え、引受人を確保すること(帰住先調整ということがあります。)などが挙げられます。
②の具体的な例としては、継続的な医療を受ける必要がある者に対して通院や入院が可能な病院を確保することや、障害者手帳等の取得が必要な者に対して取得手続きを補助することなどが挙げられます。
③の具体的な例としては、進学や復学を望むのであれば学校と調整を図ったり、就職を望むのであればハローワークや受入れ可能な雇主と調整を図ることなどが挙げられます。
少年院の社会復帰支援については、今後の記事でも解説していきます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件・少年事件に関わってきた経験を活かし、再犯防止に向けたサポートにも力を入れています。
具体的には少年事件に対する審判が終わった後についても、課題を出して取り組んでもらう、不良交友が再開しないように定期的に面談を行い確認するなどの更生支援活動を顧問として行っていきます。
少年院の出院後の社会復帰についてご興味のある方は、一度、あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
三重県名張市の強盗傷人事件 少年院で行われる社会復帰支援の必要性について解説します

【事例】
Aさんは、三重県名張市に住む17歳の高校生でしたが、友人らと一緒になって、老夫婦が住む三重県桑名市の一軒家に押し入り、老夫婦を殴ったり、蹴ったりといった暴行を加えて、現金100万円を奪い去りました。
このAさんたちの暴行により、老夫婦は骨を折るなどの怪我を負ってしまいました。
Aさんは、この強盗傷人事件を起こしたことで警察に逮捕されて捜査を受けました。
その後、津家庭裁判所に送致され、Aさんはこの強盗傷人事件で審判を受けることになりました。
Aさんは、この強盗傷人事件を起こす以前にも傷害事件を起こして保護観察処分を受けていたこともあって、少年院に送致されることになりました。
ところで、Aさんの両親は既に交通事故で他界しており、身寄りは高齢の祖母だけです。
Aさんの祖母は、何とかAさんの力になりたいと思っていますが、年齢や体調のこともあり、少年院から出てきた後のAさんの監督を十分にできるのか不安に思っていました。
場合によっては、交通の便が悪く、周囲に就業先も見当たらない自分の家に住まわせるよりも、別のところに住んでもらうのがいいのではないかということも考えています。
そこで、Aさんの祖母は、少年院から出てきたとき、Aさんにどのように生活してもらうのがいいのか、あいち刑事事件総合法律事務所に相談することにしました。
(事例はフィクションです。)
1 少年院から出ること
少年院に送致された少年が、(物理的に少年院から外に出るという意味ではなく、)法律的な意味で少年院での拘束状態が解かれることを「出院」と表現しています。
出院のバリエーションとしては、①仮退院(少年院法135条)、②退院(少年院法136条、136条の2)、③収容継続(少年院法137条、138条、139条)などがあります。
このうち、最も多いのは①仮退院で、少年院在院者のほとんどが仮退院で出院します。
仮退院の手続きの流れについて詳しく知りたい方はこちらのページも参考にしてください。
なお、「収容継続」というのは、法律で定められた少年院での収容期間(原則として少年が20歳になるまでです。)では、矯正教育の目的が達成できず、少年保護の観点からはその期間を延長し、矯正教育の目的が達成できるようにするためなど、特別な場合として収容期間を継続することです。
2 少年院による社会復帰支援
⑴ なぜ社会復帰支援が求められているか
少年院送致という処分は、懲役刑や罰金刑といった成人事件の刑罰とは性質が異なります。
少年院での矯正教育は、「在院者の改善更生及び円滑な社会復帰を図ることを目的」として行われます(少年院法1条)。
そのため、罰を与えることだけを目的としているのではありません。
それでは、社会復帰のためにはどのようなことが必要でしょうか。
まずは暮らす場所が必要です。
人が社会の健全な一員として社会生活を送るためには、住居等の宿泊場所の存在は欠かせません。
また、社会内の居場所も必要です。
具体的には、少年のことを助けてくれる人物や、学校や勤務先といった居場所も重要です。
このような場所がないと、少年院を出てからも社会に馴染むことができずに、最終的には再び非行に及んでしまうかもしれません。
⑵ 出院者の実情
それでは、実際に少年院から出院した人はどうしているのでしょうか。
実は、実父母や養父母以外の方のもとに居住する人も一定数います。
2022年の「少年矯正統計調査」(https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00250006&tstat=000001012846&cycle=7&year=20220&month=0&tclass1=000001012848)によると、同年の出院者1363人のうち、雇主が引受人となっているのが89人、更生保護施設・自立準備ホームが引受人となっているのが93人、福祉施設が引受人となっているのが59人となっています。
また、出院者の進路としては、同じく2022年の「少年矯正統計調査」によると、就職決定が502人、復学決定が67人、進学決定が16人と半数近くに上ります。
加えて、就職先や進学先は決まっていないものの、就職希望が564人、進学希望が174人に上ります。
その一方で、その他の進路に進む者は21人、未定の者は19人にとどまります。
以上のように、親族以外が引受人となる場合が一定程度ある一方で、進路が不明瞭な状態で出院となる場合は限定的だとわかります。
少年院の社会復帰支援については、今後の記事でも解説していきます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、多数の刑事事件・少年事件に関わってきた経験を活かし、再犯や再非行の防止に向けたサポートにも力を入れています。
今回の事例であれば少年が事件に関わってしまった背景などについて面談を重ねて課題に取り組む、一緒に非行をした友人との人間関係を断つための監督をするといった更生に向けたサポートを顧問という形で行わせていただきます。
少年院の出院後の社会復帰支援、更生支援についてご興味のある方は、一度、あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
大津市の公然わいせつ事件 公認心理士とはどのような資格ですか?何の専門家ですか?

【事例】
Aさんは、20代の男性で、大津市内のマンションに両親と一緒に暮らしています。
Aさんは、仕事のストレスから、自暴自棄な気持ちになってしまい、自宅近くの路上で陰部を露出して通行人の女性に見せつけるという公然わいせつ事件を複数回にわたって起こしてしまいました。
通行人の女性から相談を受けた警察が捜査に乗り出し、犯人としてAさんが浮上して取調べを受けるなどしました。
その結果、Aさんは大津簡易裁判所で略式裁判のうえで罰金の判決を受けました。
幸運なことに職場に事件が発覚することはありませんでした。
また、検察官や警察官からは、「次に同じような事件を起こしたら正式な裁判を受けてもらうことになる。」といった趣旨の話もされていました。
そのため、Aさんや両親は、もしもまた事件を起こしてしまった場合、今度こそ職場に発覚するのではないか、二度と事件を起こさないためにはどうすればいいのか心配になりました。
そこで、Aさんと両親は、二度と事件を起こさないためにどうしたらよいのかを相談するため、あいち刑事事件総合法律事務所に相談することにしました。
(事例はフィクションです。)
1 はじめに
以前の記事で、Aさんが“カウンセラー”の力を借りるという方法が考えられること、“カウンセラー”、つまり、心理学の専門家の種類について解説していきました。
今回は、そのうちの1つである公認心理師について見ていきましょう。
2 公認心理師とは
公認心理師は、公認心理師法で定めらえた国家資格です。
公認心理師とは、「保健医療、福祉、教育その他の分野において、心理学に関する専門的知識及び技術をもって、」次の行為を業とする者をいいます(公認心理師法2条柱書)。
①心理に関する支援を要する者の心理状態を観察し、その結果を分析すること(公認心理師法2条1号)
②心理に関する支援を要する者に対し、その心理に関する相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うこと(公認心理師法2条2号)
③心理に関する支援を要する者の関係者に対し、その相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うこと(公認心理師法2条3号)
④心の健康に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供を行うこと(公認心理師法2条4号)
公認心理士に関しましてはこちらの厚生労働省のHPも参考にしてください。
3 公認心理師になる方法
公認心理師になるためには、公認心理師試験に合格せねばなりません(公認心理師法4条)。
もっとも、この試験は誰でも受けられるわけではありません。
いくつかの例外的な方法もありますが、代表的なのは次の2つでしょう。
1つは、4年制大学で特定の科目を履修したうえで卒業し、かつ、大学院で特定の科目を履修したうえで修了する方法です(公認心理師法7条1号)。
もう1つは、4年制大学で特定の科目を履修したうえで卒業し、かつ、法律で定められた施設で2年以上の実務経験を積む方法です(公認心理師法7条2号)。
以前の記事で解説をした臨床心理士も、公認心理師と同じく、臨床心理士養成に関する指定大学院を修了するなどして受験資格を取得したうえで、資格試験に合格する必要があります。
国家資格と民間の資格という違いはありますが、公認心理師も臨床心理士も大学院での勉強やそれに相当するような経験を積んだうえで、資格試験にも合格しなければ取得できないという点で共通しています。
その分、これらの資格を持つ方は、カウンセリングをはじめとする心理の専門性が高い方だということがいえるでしょう。
様々な専門家から多角的にサポートを得ることは、再犯防止に向けても有効でしょう。
心理の角度からは、カウンセリングを担当する方の持っている資格の種類により、受けられるカウンセリングの専門性の高さが変わる可能性があります。どのような方に相談すればいいか分からずにお困りの方も、あいち刑事事件総合法律事務所では様々な専門家の方と連携してきた豊富な実績がありますので、まずは一度ご相談いただければと思います。
そして、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件・少年事件に関わってきた経験を活かし、再犯防止に向けたサポートにも力を入れています。
具体的には刑事事件事件終了後にも、担当した弁護士が継続的に更生に向けたアドバイスや課題の実施をさせていただく顧問契約をご用意しています。
心理の角度だけではなく、法律の角度からもサポートを受けるかどうかについてご興味のある方は、一度、あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
覚醒剤所持事件の再犯 二度と再犯をしないために行うべきにはどのような対策が必要ですか?

【事例】
Aさんは、仕事のストレスで覚醒剤を使用していたことが発覚し、覚醒剤所持の罪で逮捕されてしていました。
Aさんの覚醒剤使用で裁判になるのは2回目です。1回目の裁判では執行猶予付きの判決が下されており、猶予期間満了から3年目で再度の覚醒剤使用が発覚し起訴されました。
Aさんは、前回の裁判で覚醒剤にはもう関わらないことを約束し、裁判官からも次は刑務所に入ることになるので覚醒剤をしないようにと注意されていました。
Aさんは、裁判後猶予期間が満了するまで真面目に仕事をこなして覚醒剤と縁を切る生活をしていたのですが、猶予期間満了から2年ほどしたタイミングで覚醒剤を使い始め、猶予期間満了から3年目くらいでまた裁判になってしまったのです。
10日間の勾留後、Aさんは無事に保釈されましたが、今後の裁判や服役後の生活をどうすればよいか心配になり、裁判を担当してくれる弁護士に相談することとしました。
(事例はフィクションです)
この事例をもとに、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所であれば、裁判後にサポートをAさんにして差し上げられるか、解説します。
なお、裁判に関する活動については、前回の記事をご確認ください。
薬物事件の再犯防止には何が必要か
覚醒剤などの薬物を繰り返し裁判にまでなってしまった場合、裁判の場では、ほとんどすべての方が「もう二度とやりません。」と証言します。そしてしばらくは真面目に生活するはずです。
しかし、一度薬物を使ってしまった人は、他の人とどうしても違うところがあります。
これには薬物の強い依存性に原因があります。ですので「薬物をやめたい」という気持ちだけでは、薬物使用を再開してしまうリスクが非常に高いのです。
覚醒剤の危険性についてはこちらのサイトで詳しく説明していますので参考にしてください。
Aさんの例でいうと、普通の人であれば、仕事でストレスがたまると、ライブに行く、旅行に行く、美味しい料理やお酒を楽しむといったことを考えて、薬物を使おうとはつゆにも思わないのです。
しかし、Aさんのように一度薬物を使ってしまった人は、ストレスを感じた際に薬物が選択肢に入ってきてしまいます。
たとえ再度薬物使用で逮捕されれば刑務所に行くことになると分かっていても、薬物に手を出してしまう場合があるのです。これが薬物の依存性によるもので、再犯の一番の原因です。
つまり、覚醒剤をはじめとする薬物事件は、裁判を乗り越えればそれでおしまいというわけではなく、裁判が終わった後も薬物対策をしないと、ふとした時に薬物に再度手を出しかねないのです。
専門機関による薬物依存症に対する治療
今回のAさんのような場合、一人で再犯防止をできるとは限りません。なぜなら、先に述べたとおり、ふとした時に以前使った薬物というのを思い出してしまうからです。そして、思い出してしまうことは仕方ないのですが、大切なことは、思いついた覚醒剤を使わないということ、この使うか使わないかは自分の意思で決められるのです。
まずは薬物治療を受けましょう。近くのクリニックでは薬物治療をやっているとは限らないので、探すところからです。弁護士に相談して、どこが薬物治療を扱っているか、一緒に探すことも可能です。また、一人では通院をしなくなってしまうこともよくあります。なぜなら人は、慣れてくると面倒くさいという気持ちになってしまいやすい、そうするとふとした時に薬物をまた使ってしまう可能性が高まります。なので、弁護士が定期的に通院を促し、通院の記録を証拠として残すことも考えられます。
このように一人では再犯防止が不安という方のために、医療機関や弁護士がサポートをして、二度と薬物と関わらないように、刑務所に行くことがないよう努めていくことになります。
本来であれば、Aさんは、1回目の裁判が終わったタイミングで再犯防止のサポートしてもらえるような機関などを見つける活動をした方が良かったでしょう。
しかしながら、今後もAさんの人生は続いていきますし、薬物に二度と手を出さないための活動は非常に重要なものになります。
今回の記事では裁判を終えた後の活動を案内いたしました。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、今回のAさんのように、再犯を懸念している方のために顧問契約を締結して、担当弁護士による継続的な面談、通院、再犯防止に向けた課題の取組みなどのサポートを準備しております。
少しでも不安を抱えていらっしゃる方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
滋賀県大津市の公然わいせつ事件 臨床心理士とはどのような資格ですか?何の専門家ですか?

【事例】
Aさんは、20代の男性で、大津市内のマンションに両親と一緒に暮らしています。
Aさんは、仕事のストレスから、自暴自棄な気持ちになってしまい、自宅近くの路上で陰部を露出して通行人の女性に見せつけるという公然わいせつ事件を複数回にわたって起こしてしまいました。
通行人の女性から相談を受けた警察が捜査に乗り出し、犯人としてAさんが浮上して取調べを受けるなどしました。
その結果、Aさんは大津簡易裁判所で略式裁判のうえで罰金の判決を受けました。
幸運なことに職場に事件が発覚することはありませんでした。
また、検察官や警察官からは、「次に同じような事件を起こしたら正式な裁判を受けてもらうことになる。」といった趣旨の話もされていました。
そのため、Aさんや両親は、もしもまた事件を起こしてしまった場合、今度こそ職場に発覚するのではないか、二度と事件を起こさないためにはどうすればいいのか心配になりました。
そこで、Aさんと両親は、二度と事件を起こさないためにどうしたらよいのかを相談するため、あいち刑事事件総合法律事務所に相談することにしました。
(事例はフィクションです。)
1 はじめに
前回の記事で、Aさんが“カウンセラー”の力を借りるという方法が考えられること、“カウンセラー”、つまり、心理学の専門家の種類について解説していきました。
今回は、そのうちの1つである臨床心理士について見ていきましょう。
2 臨床心理士の専門業務
以前の記事でも解説したように、臨床心理士は公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会が認定する民間の資格です。
その公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会は、「臨床心理士資格審査規程」というものを定めており、その中で、臨床心理士に求められる専門業務を定めています。
具体的には次のようなものです。
⑴ 臨床心理査定
様々な心理テストや観察面接を行い、その人ごとに独自性、個別性がある固有の特徴や問題の所在を明らかにしていく行為や、心の問題で悩む人々をどのような方法で援助するのが良いかを考える行為を意味します。
⑵ 臨床心理面接
その人ごとの特徴に応じて、精神分析、集団心理療法、行動療法、認知療法、家族療法など様々な臨床心理学的技法を用いながら、その人の心の支援に資する行為です。
いわゆるカウンセリングを意味します。
⑶ 臨床心理的地域援助
特定の個人を対象とするのではなく、地域や学校、職場などといったコミュニティを対象に、コミュニティ全体を考慮した心の情報整理や環境調整を行う活動や、心理的情報を提供したり低減したりする活動を意味します。
⑷ ⑴から⑶に関する調査・研究
専門資質の維持・発展のために、臨床心理的調査や研究活動をしたり、ある特定の問題や課題に特化した事例研究をしたりといった自己研鑽を意味します。
以上は公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会のホームページ(http://fjcbcp.or.jp/rinshou/gyoumu/)を参考にしています。
3 臨床心理士の職域
臨床心理士は医療、教育、福祉、産業、そして司法と様々な分野で活動をしています。
医療の分野としては、病院の精神科や心療内科、保健所、精神保健福祉センターなどで活動しています。
心の問題で不適応に陥っている人などへのサポートが行われます。
教育の分野としては、スクールカウンセラーなど学校内の相談室や教育センターなどが挙げられます。
福祉の分野では、児童相談所や女性相談センターなどで心理的側面からの援助がされます。
産業の分野としては、企業内の相談室やハローワークなどで活動しています。
司法の分野では、少年鑑別所での心理的側面に関するテストや調査、心理面接などが行われています。
このように臨床心理士の方は民間の資格といえど、様々な領域に対する専門的な知見を持つ必要があるため、とても信頼できる資格になります。
また活動についても多角的な視点から今後の更生に向けたアドバイスを受けることができるので、再犯防止にも重要な役割を果たしていただくことができます。
弊所でも依頼者様の特性に合わせて臨床心理士の方と協力しながら更生に向けた計画を立てたり、公判後の対応について検討をしたりした活動例がございます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件・少年事件に関わってきた経験を活かし、再犯防止に向けたサポートにも力を入れています。
様々な専門家から多角的にサポートを得ることは、再犯防止に向けても有効でしょう。
弁護士のサポートにご興味のある方は、一度、あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。