滋賀県大津市の公然わいせつ事件 臨床心理士とはどのような資格ですか?何の専門家ですか?

【事例】
Aさんは、20代の男性で、大津市内のマンションに両親と一緒に暮らしています。
Aさんは、仕事のストレスから、自暴自棄な気持ちになってしまい、自宅近くの路上で陰部を露出して通行人の女性に見せつけるという公然わいせつ事件を複数回にわたって起こしてしまいました。
通行人の女性から相談を受けた警察が捜査に乗り出し、犯人としてAさんが浮上して取調べを受けるなどしました。
その結果、Aさんは大津簡易裁判所で略式裁判のうえで罰金の判決を受けました。
幸運なことに職場に事件が発覚することはありませんでした。
また、検察官や警察官からは、「次に同じような事件を起こしたら正式な裁判を受けてもらうことになる。」といった趣旨の話もされていました。
そのため、Aさんや両親は、もしもまた事件を起こしてしまった場合、今度こそ職場に発覚するのではないか、二度と事件を起こさないためにはどうすればいいのか心配になりました。
そこで、Aさんと両親は、二度と事件を起こさないためにどうしたらよいのかを相談するため、あいち刑事事件総合法律事務所に相談することにしました。
(事例はフィクションです。)

1 はじめに

前回の記事で、Aさんが“カウンセラー”の力を借りるという方法が考えられること、“カウンセラー”、つまり、心理学の専門家の種類について解説していきました。
今回は、そのうちの1つである臨床心理士について見ていきましょう。

2 臨床心理士の専門業務

以前の記事でも解説したように、臨床心理士は公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会が認定する民間の資格です。
その公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会は、「臨床心理士資格審査規程」というものを定めており、その中で、臨床心理士に求められる専門業務を定めています。
具体的には次のようなものです。

⑴ 臨床心理査定
様々な心理テストや観察面接を行い、その人ごとに独自性、個別性がある固有の特徴や問題の所在を明らかにしていく行為や、心の問題で悩む人々をどのような方法で援助するのが良いかを考える行為を意味します。

⑵ 臨床心理面接
その人ごとの特徴に応じて、精神分析、集団心理療法、行動療法、認知療法、家族療法など様々な臨床心理学的技法を用いながら、その人の心の支援に資する行為です。
いわゆるカウンセリングを意味します。

⑶ 臨床心理的地域援助
特定の個人を対象とするのではなく、地域や学校、職場などといったコミュニティを対象に、コミュニティ全体を考慮した心の情報整理や環境調整を行う活動や、心理的情報を提供したり低減したりする活動を意味します。

⑷ ⑴から⑶に関する調査・研究
専門資質の維持・発展のために、臨床心理的調査や研究活動をしたり、ある特定の問題や課題に特化した事例研究をしたりといった自己研鑽を意味します。

以上は公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会のホームページ(http://fjcbcp.or.jp/rinshou/gyoumu/)を参考にしています。

3 臨床心理士の職域

臨床心理士は医療、教育、福祉、産業、そして司法と様々な分野で活動をしています。

医療の分野としては、病院の精神科や心療内科、保健所、精神保健福祉センターなどで活動しています。
心の問題で不適応に陥っている人などへのサポートが行われます。

教育の分野としては、スクールカウンセラーなど学校内の相談室や教育センターなどが挙げられます。

福祉の分野では、児童相談所や女性相談センターなどで心理的側面からの援助がされます。

産業の分野としては、企業内の相談室やハローワークなどで活動しています。

司法の分野では、少年鑑別所での心理的側面に関するテストや調査、心理面接などが行われています。

このように臨床心理士の方は民間の資格といえど、様々な領域に対する専門的な知見を持つ必要があるため、とても信頼できる資格になります。
また活動についても多角的な視点から今後の更生に向けたアドバイスを受けることができるので、再犯防止にも重要な役割を果たしていただくことができます。
弊所でも依頼者様の特性に合わせて臨床心理士の方と協力しながら更生に向けた計画を立てたり、公判後の対応について検討をしたりした活動例がございます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件・少年事件に関わってきた経験を活かし、再犯防止に向けたサポートにも力を入れています。
様々な専門家から多角的にサポートを得ることは、再犯防止に向けても有効でしょう。
弁護士のサポートにご興味のある方は、一度、あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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