懲罰の種類と内容

刑事施設内での遵守事項(ルールのこと)に違反した場合には、それ自体が犯罪となっていなかったとしても、刑務所内での処分として、「懲罰」を受ける事があります。

懲罰を受けたということは、刑務所内での生活に大きな影響を与えますが、具体的にはどのような種類の懲罰があるのかを解説します。

刑務所内での懲罰については、刑事施設収容法151条1項に規定があり、次のようなものが定められています。

  1. 戒告
  2. 10日以内の刑務作業の停止
  3. 15日以内の自弁物品の使用禁止(飲食物も含む)
  4. 30日以内の書籍などの閲覧禁止
  5. 最大3分の1分までの作業報奨金の削減
  6. 最大30日(20歳以上の場合には最大60日)の閉居

戒告について

戒告とは、一般的な会社の懲戒処分としてもありうるものですが、いわゆる口頭での注意です。

とはいえ、刑務所内での罰として課されるものですから単なる注意として行われるものではなく、刑務所という、特にルールを守らなければならない場所でルールを違反したことについての注意をされるのですから、相応に厳しく注意を受けることになります。

口頭注意と言うよりも、けん責、と言う方が近いでしょう。戒告を受けた場合、類としては「-2点」とされます。これだけで「第4類(下から二番目の類)」になってしまうのです。

作業、自弁、書籍の閲覧の停止

これらは、服役中に残されている行動の自由に対して、さらに制約を課すものです。

これらの懲罰は複数の種類を併せて科されることもあります。

これでもまだ、懲罰としては比較的軽い部類の懲罰になりますが、それでも類としては「-3点」されてしまい、「第4類」に相当することになります。

作業報奨金の削減

これも懲罰としては大きなものになります。それまでに累積されている作業報奨金の内、最大3分の1が削減されることになります。

懲罰を受けるまでの作業報奨金が合計3万円と計算されていたとすると、そのうち最大1万円がカットされることになります。

作業報奨金は、出所時にまとめて支給されるものですが、これがカットされることになります。

労働基準法でも、減給処分とする場合には1か月の給料の内10%を超えて減給してはいけないこととは、比べ物になりません。これも類としては「-3点」とされます。

最大60日までの閉居

この「閉居」の処分が懲罰としては最も重く、かつ、受刑者の人が最も恐れる懲罰でしょう。

閉居とは、2に掲げたような行動の制限を課し、作業や面会、手紙などは一切させず、ただ、1人きりの部屋で「謹慎」をさせることとしています(刑事施設収容法152条1項)。

この時、部屋の中では常に正座かあぐらで座っていなければならず、また、指示された時を除いては体を動かしてはいけません。

刑務作業にも出られず、運動の時間も他の受刑者とは別にされてしまうため、刑務所内でも誰ともかかわらず、一切の自由を失ってしまうことになります。閉居の罰となってしまった場合、閉居となった期間で類の減点も変わります。

閉居の期間 15日未満 15日以上30日未満 30日以上
類の減点 -3点 -5点 -10点

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