恩赦

「恩赦」という文字を見て、ぱっとどんな意味か分かる人は多くないでしょう。

そもそも、何と読むか知らない方もいるかもしれません。これは、「おんしゃ」と読みます。

一般的な意味としては、国内で特別なお祝い事や滅多にない出来事があったという時に、裁判で言い渡された刑罰を減刑したり免除したりすることです。

日本でも、恩赦が実施されています。

恩赦とは何か

そもそも、日本における恩赦には、次の五種類があります。

  • 大赦
    政令で定めた罪の種類について、有罪の判決を受けた人の、判決の効力がなくなる(刑を受けることがなくなる)
  • 特赦
    有罪の判決を受けた特定の人の判決の効力がなくなる(刑を受けることがなくなる)
  • 減刑
    政令で定めた特定の罪の種類、刑の種類について、軽減される。
  • 刑の執行の免除
    特定の人の刑罰を免除する(有罪判決を受けたこと自体は変わらない)
  • 復権
    有罪の判決によって喪失した資格(医師免許や看護師免許などの国家資格、公務員の欠格事由等)が回復される。

これらの恩赦については、いずれも「恩赦法」に規定があります。

恩赦については、政令を定めて一律に行われる「政令恩赦」と個別の一人一人について恩赦するかどうかを判断する「個別恩赦」があります。

「政令恩赦」が行われてきた例としては、天皇の崩御や天皇が即位する即位礼正殿の儀のような、皇室関係の行事があります。

2019年10月22日に行われた、天皇の即位の儀式の際にも、政令による恩赦が行われました。

そのときには「政令恩赦」が実施され、内容としては、罰金刑を受けてから3年以上経過している人に対する「復権」でした。この時に対象となった人は約55万人になったと言われています。

数字としてはとても多いようにも思われますが、罰金刑を受けた人の中には、道路交通法違反(スピード違反や飲酒運転等)の人も相当数含まれていると思われます。

個別恩赦は、儀式などの行事と関係なく審査がなされていますが、実際に認められるのはとても少なくなっています。

そもそも、個別恩赦の場合、有罪判決を受けた人が「恩赦を受けたいです」と言っても審査されるわけではなく、恩赦を受けたいという人が、「刑事施設の長(各刑務所長)/検察官/保護観察所長」に申し出を行い、この申し出を受けた各機関が「中央更生保護審査会」に対して恩赦の上申をするという形になっています。

簡単に言うと、刑務所の長や検察官、保護観察所長が、中央更生保護審査会に「この人が恩赦を受けたいと言っているのですが、審査会としてはどう思いますか?」とお伺いを立てるのです。

その中央更生保護審査会が「恩赦してもよいだろう」と判断した場合に限り、恩赦が実施されることになるのです。

2021年のデータによると、1年間で恩赦に関する判断が出されたものが56件であり、そのうち恩赦が認められたのは10件、恩赦が認められなかったのが46件でした。

そしてこの10件の内、刑の免除が認められたのが1件で、9件は復権(国家資格などの回復)でした。

今後恩赦されることはあるのか

恩赦がなされるのは、政令恩赦と個別恩赦の2種類となります。

政令恩赦については皇室の儀式や国内での特別な祝い事があった場合に限られますので、政令恩赦が実施されることに対して期待することはできないでしょう。

現実的なものとしては、個別恩赦です。

個別恩赦の場合には、時期に決まりはなくいつでも、申し出をすることができます。

実際に申し出を行うとなると、特赦や刑の執行の免除のように、刑罰そのものを免れるというものよりも、復権を求めるというものが多いでしょう。

恩赦についてどこに問い合わせたらよいのか分からない、どんな申し出をしたらよいのか分からないという方は、弁護士を代理人として恩赦の申し出をすることもできます。

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