判決確定後に刑務所が決まるまでの流れ

どの刑務所に行くのかはどのように決まるのか

刑事裁判で実刑判決が下され、その判決が確定すると刑期がスタートすることになります。

では、判決確定後はすぐに刑務所に移動(移送)されるのでしょうか。答えとしては「いいえ」となります。

勾留中や保釈中の被告人の場合、判決言渡し後は一旦拘置所に入ることになります。

在宅事件の被告人の場合は、判決確定後に検察庁からの呼出しを受けて出頭し、その後一旦拘置所に入ることになります。

なお、判決が確定すれば「被告人」から「受刑者」になります。

拘置所に入った後、どこの刑務所に収監されるのかを決定するために種々の調査を行います。
刑務所は全国一律というわけではなく、収容する受刑者の犯罪傾向や男女別、刑期の長さ、刑を受けることになった犯罪の内容などによって収容される刑務所が異なるからです。

そして、その調査結果を受けて、収監される刑務所が決定されます。なので、住所地や本籍地などによって決まるわけではありません。
また、どのようなプロセスで収監される刑務所が決まるのかは公開されていません。

ですが、「受刑者の処遇調査に関する訓令」(https://www.moj.go.jp/content/001174873.pdf)や「受刑者の処遇調査に関する訓令の運用について」(https://www.moj.go.jp/content/001174874.pdf)に、どのような調査をするのかが規定されています。

これらの規定を参考にしながら刑務所が決まるまでの流れを概観してみましょう。

刑執行開始時調査

判決が確定すると、まず受刑者を収容している刑事施設(大半の場合が拘置所)が刑執行開始時調査を行います。

この調査では

  • 精神状況
  • 身体状況
  • 生育歴、教育歴及び職業歴
  • 暴力団その他の反社会的集団への加入歴
  • 非行歴及び犯罪歴並びに犯罪性の特徴
  • 家族その他の生活環境
  • 職業、教育等の適性及び志向
  • 将来の生活設計
  • その他受刑者の処遇上参考となる事項

を調査します。

調査方法としては、刑事裁判の記録を精査や、受刑者本人との面談が考えられます。
調査期間は「おおむね10日間」とされています。

この調査により、どの刑務所に収監されるかが決定され、調査後に刑務所に移送されます。
さらに、移送された刑務所では上記の各事項についてさらに詳細な調査を行います。

この調査により、刑務所でどのような処遇をすべきかの処遇要領が策定され、本格的な矯正処遇に移行していきます。

この調査の調査期間は「おおむね20日間」とされています。

調査センター

上記した流れが一般的な流れになりますが、それ以外の流れもあります。

それが、「調査センター」を経由するものです。

調査センターとは、高度の専門的知識及び技術を活用して刑執行開始時調査などを行う刑事施設のことです。

調査センターは札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、高松、福岡の8刑務所にしか設置されていません。

調査センターによる調査対象となるのは

  • 16歳未満で刑期が3月以上の者
  • 16歳以上20歳未満の男性で刑期が1年以上かつ、日本人で受刑歴がない者
  • 20歳以上26歳未満の男性で刑期が1年6月以上かつ、日本人で受刑歴がなく、暴力団員でない者
  • 26歳以上30歳未満の男性で刑期が10年以上、故意の犯罪行為により人を死亡させた罪によって刑に処せられた人でかつ、日本人で受刑歴がなく、暴力団員でない者
  • 男性で性犯罪調査が必要とされた者
  • その他矯正管区の長が調査センターにおいて刑執行開始時調査を行う必要があると認める者

です。

要は、比較的若年で可塑性に富んでいる場合や性犯罪など特別改善指導が必要な場合です。

調査センターでの調査期間は「おおむね55日間」とされています。

調査センターでの調査を経る場合は、調査終了後に実際に服役する刑務所が決定されます。

収容される刑務所は家族等に通知されない

これらの調査を経て収容される刑務所が決定し、拘置所からそれぞれの刑務所に移送されます。

しかし、受刑者がどこの刑務所に入ることになったのかは、外にいるご家族や刑事裁判時の弁護人には通知されません。

ご家族が知る方法としては、受刑者本人から手紙等をもらうしかありません。

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