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再犯防止に特化した法律事務所の役割 – 「示談」から「身元引受」、そして「生活支援」まで一貫サポート

はじめに~事件解決はその後の「更生」の始まり~
一般的に、法律事務所は「事件の解決」で役割を終えると思われがちです。
しかし、私たち再犯防止にまで着目した法律事務所にとって、判決や刑務所への収容が決まった後こそが、真の更生支援の始まりだと考えています。なぜなら、再犯の連鎖を断ち切るためには、単に刑罰を軽くするだけでなく、出所後の生活基盤、心の居場所、そして社会的な償いという3つの要素を手厚く整える必要があるからです。
この記事では、当事務所が提供する「示談」から「身元引受」、「生活支援」まで、一貫した更生支援サポート体制について、具体的な役割と再犯防止への貢献度を弁護士の視点から詳しく解説します。
1 弁護士の役割①:最も重要な「償い」の実現(示談交渉)
更生とは、単に刑期を終えることではなく、自分が犯した罪と向き合い、被害者に対する真摯な「償い」を行うことから始まります。
①刑事手続と更生への影響
刑事事件において、被害者との示談交渉は、加害者の反省の気持ちを金銭的な償いと謝罪によって具体化する最も重要な手段です。
示談の成立は早期の仮釈放に繋がります。仮釈放審査において、示談が成立しているかどうかは、更生意欲と償いの意思を示す最も強い証拠となります。条文上も仮釈放の許容性という判断要素が明記されており、被害者が示談に応じ許していることは仮釈放審査においても重要な要素となっています。
②被害者への配慮
弁護士が間に入ることで、被害者の方に直接連絡を取る精神的な負担を避け、最大限の配慮をもって冷静かつ誠実に交渉を進めることができます。
私たち弁護士は、この示談を、単なる「刑を軽くする交渉」ではなく、「真の更生への第一歩」と位置づけ、真摯に取り組んでいます。
2 弁護士の役割②:社会復帰の土台を築く(仮釈放と身元引受のサポート)
刑務所にいる間から、出所後の再犯防止に向けた具体的な「社会復帰計画」を策定することが、私たちの重要な役割です。
仮釈放のための環境整備:仮釈放が許可される可能性を上げるためには、身元引受人の存在、そして帰住場所と就職先が確保されていることが重要です。
①身元引受人の支援強化
ご家族が身元引受人となる場合、弁護士がご家族と連携し、更生保護委員会に対し、責任を持ってサポートする体制(嘆願書、誓約書など)を具体的に示します。
②帰住場所の確保
帰る家がない場合、更生保護施設や地域の支援団体と連携し、一時的な住居を確保する手続きを代行・支援します。
刑務所との連携による更生計画の策定:刑務所内の特別なプログラムへの取り組み状況や、本人の犯罪傾向を把握した上で、出所後の保護観察を最大限に活かせるよう、専門的な更生計画を策定し、保護観察所や刑務所と情報を共有します。
3 弁護士の役割③:再犯の連鎖を断ち切る「生活支援」
出所後が、最も再犯のリスクが高い時期です。だからこそ、私たち法律事務所は、再犯防止の観点から、出所後の生活支援に深く関わります。
①就労支援と協力雇用主との連携
前科がある人の就職は困難な場合があります。弁護士は、更生支援に理解のある協力雇用主ネットワークや地域の就労支援団体と連携し、職業訓練や内定確保をサポートします。これにより、「仕事がない」ことによる再犯のリスクを大幅に軽減します。
②依存症治療・自助グループへの接続
薬物依存やアルコール依存が再犯の原因である場合、出所後すぐに専門病院への通院や、自助グループ(AA、NAなど)への参加を促し、その計画を策定します。弁護士がこの計画に関わることで、本人の取り組みへの真剣度を保護観察所に示すことができます。
4 弁護士の関与による一貫したサポート体制が真の更生を可能にします
再犯防止は、刑事弁護という枠を超えた、示談から身元引受、そして生活支援まで一貫した長期的なサポートがあって初めて実現します。私たち再犯防止に特化した法律事務所は、単なる法的手続きだけでなく、依頼者とそのご家族が、更生という困難な道のりを歩み切るための伴走者でありたいと願っています。
再犯を防ぎ、心から納得のいく社会復帰を目指すために、ぜひ専門的な更生支援を提供する当事務所にご相談ください。私たちは、再犯の連鎖を断ち切り、希望に満ちた新しい人生を歩み始めるあなたの味方です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、更生支援部門を設けて受刑中の方の更生支援をサポートする弁護活動を行っています。初回相談は無料で行っていますので実刑判決を受けた方、受刑中の方のご家族の方はお気軽にご相談ください。
満期出所と仮釈放、何が違う? – 再犯防止と更生支援のカギとなる「保護観察」のメリット・デメリット

はじめに~出所の形は一つではありません~
ご家族が刑務所での刑期を終え、社会に戻ってくる際、出所の形態には大きく分けて「満期出所」と「仮釈放」の2種類があります。
どちらも社会復帰を意味しますが、その後の生活や再犯防止への取り組みにおいて、両者には大きな違いがあります。特に、仮釈放後に課される「保護観察」は、更生支援のための重要な制度である一方で、本人の自由を一部制限する側面もあります。
以下ではは刑事事件の当事者の方々がよりスムーズに社会復帰できるよう、それぞれの制度のメリットとデメリット、そして更生支援との関わりについて詳しく解説します。
1.満期出所と仮釈放の基本的な違い
「満期出所」とは、判決で言い渡された期間の全てを刑務所等で過ごしてから釈放されることです。文字通り「刑務所のお勤めが満了した」状態であり、出所と同時に完全に自由な立場に戻ります。
【デメリット】:最大のデメリットは、公的な更生支援や再犯防止のためのサポート体制がゼロになることです。仕事や住居が確保できていない場合、孤立しやすく、再犯のリスクが高まるという深刻な問題があります。
「仮釈放」は、刑期の途中で更生保護委員会の審査を経て許可されるもので、残りの刑期を「保護観察」のもとで社会生活を送る制度です。
【メリット】:最大のメリットは、更生支援の手厚さにあります。保護観察官や保護司と呼ばれる専門家が、仕事探しや生活環境の調整、再犯につながる問題の解決をサポートします。これは、再犯防止に非常に有効なシステムです。
2.仮釈放後の「保護観察」が果たす役割と遵守事項
保護観察こそが、仮釈放の核となる部分であり、再犯防止のための最も重要な公的な更生支援です。具体的には次のようなものです。
(1)生活環境の調整
住居や仕事がない場合、保護観察所が関係機関と連携し、就労支援や住居の確保をサポートします
(2)専門的な指導
薬物依存やギャンブル依存など、再犯につながりやすい問題がある場合、その特性に応じた専門的なプログラムや面接指導を受けられます。
(3)精神的な支え
定期的な面接を通じて、生活上の悩みや困難を相談できる相手(保護観察官・保護司)がいることは、出所後の孤立を防ぐ上で非常に大きな力になります。
このように保護観察のメリットがある一方、守らないといけないルールがあります。
保護観察中は、社会の秩序を守るために「遵守事項」が課せられます。これは、更生を確実にするための重要なルールです。遵守事項は2種類あります。
(1)特別遵守事項
事件の内容や本人の特性に応じて、個別具体的に課せられるルールです。(例:特定の人物との接触禁止、薬物依存治療プログラムへの参加、飲酒の禁止など)
(2)一般遵守事項
すべての人に共通で課せられるルールです。(例:住居を変えるときは事前に許可を得る、面接の呼び出しに応じる、犯罪をしないなど)
これらの遵守事項を破ったり、再び犯罪を犯したりした場合、仮釈放が取り消され、残りの刑期を刑務所で過ごす「再収容」となるリスクがあります。
3.弁護士による更生支援
再犯防止のためのサポートについて、満期出所であろうと仮釈放であろうと、出所後の生活設計と再犯防止への取り組みは不可欠です。私たち弁護士は、刑務所入所中から出所後を見据えた更生支援を多角的に行っています。
①仮釈放に向けた環境調整の徹底
仮釈放の許可を得るため、弁護士は身元引受人との調整、就職先の確保など、保護観察をスムーズに開始するための環境整備を、刑務所と保護観察所の双方に明確に示します。
②出所後の更生計画策定支援
再犯防止は、精神論ではなく具体的な計画が必要です。弁護士は、本人の犯罪傾向を分析し、保護観察官や保護司と連携しながら、「いつまでに」「何をするか」を明確にしたロードマップ(例:職業訓練の受講、依存症治療への参加、借金返済計画など)の策定を支援します。
③保護観察期間中のトラブル対応
万が一、保護観察の遵守事項に違反してしまい、再収容の危機に瀕した場合、弁護士は本人の状況を更生保護委員会に説明し、再収容を避けるための弁護活動を行います。更生意欲があるにもかかわらず、やむを得ない事情で違反してしまったケースなどで、生活の立て直しをサポートします。
結びに変えて~重要なのはどちらを選ぶかではなく、どう更生するか~
「満期出所」は自由ですが、孤立のリスクがあります。
それに対して「仮釈放」は保護観察という制限がありますが、更生支援というセーフティネットがあります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士による更生支援は、依頼者の方の状況に応じて、仮釈放を目指すための最善のサポートを行い、仮釈放が難しい場合でも、満期出所後の再犯防止のための計画づくりを支援します。
更生とは、罪を償い、社会の中で生きる力を再び獲得することです。その道筋を、弁護士という専門家と一緒に歩むことが、確実な社会復帰への最短ルートとなります。
再犯の連鎖を断ち切り、新しい人生を踏み出したいと願う皆様とご家族を、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所はは全力でサポートいたします。
そのために服役中のサポートや早期の仮釈放に向けたサポートを行う更生支援に関する顧問弁護士活動を行っています。また初回相談は無料にて実施しています。是非一度お問い合わせください。
【再犯防止の鍵】刑務所で行われる犯罪傾向を改善する「特別なプログラム」とは? – 弁護士が解説する更生計画の重要性
【再犯防止の鍵】刑務所で行われる犯罪傾向を改善する「特別なプログラム」とは? – 弁護士が解説する更生計画の重要性

1 刑罰から「矯正教育」へ
「刑務所」と聞くと、ただ刑罰を執行する場所、というイメージを持たれがちです。
しかし、現代の日本の刑事施設(刑務所など)は、単に受刑者を収容するだけでなく、出所後の再犯防止を最大の目標とした「矯正教育」に力を入れています。
特に注目すべきは、個々の受刑者がなぜ犯罪に至ったのか、その犯罪傾向を専門的に分析し、改善を図るための「特別なプログラム」です。収容されているご家族にとって、このプログラムへの取り組みは、更生に向けた重要な一歩であり、仮釈放審査でも重視される要素となります。
この記事では、弁護士として、刑務所が受刑者の方にする取組みを見守り、受刑者の更生支援に寄り添ってきた経験から、この特別なプログラムの実態と、出所後の更生にどのように役立つのかを分かりやすく解説します。
2 なぜ「特別なプログラム」が必要なのか? 犯罪の根源へのアプローチ
人が犯罪行為に及ぶ背景には、社会的な要因だけでなく、認知の歪みや感情のコントロールの難しさ、依存症など、様々な犯罪傾向が潜んでいます。
従来の矯正教育は一律的なものが多かったのですが、それでは個々の再犯リスクに対応できません。そこで、受刑者一人ひとりの犯罪傾向を診断し、その根源的な問題に特化して取り組ませるのが、この特別なプログラムです。
プログラムの目的:再犯防止のための「心と行動の変革」
このプログラムの究極の目的は、受刑者が刑務所を出た後、二度と犯罪に手を染めないよう、「考え方」と「行動」を変えることにあります。これは、国が進める最も重要な更生支援策の一つです。
3 犯罪傾向別に分類される主な「特別なプログラム」
法務省では、受刑者の抱える問題に応じて、いくつかの特別なプログラムを用意しており、全ての受刑者は、入所後に実施される心理検査や面接に基づき、個々の受刑者の特性等に応じたプログラムに参加することになります。
① 薬物依存離脱指導
薬物犯罪の再犯率は非常に高いのが現状です。この指導は、薬物依存が再犯の大きな原因である受刑者を対象とします。グループワークや専門家との面談を通じて、薬物使用の引き金となる状況や感情を理解し、断薬のための具体的な対処法(「スリップ」防止策、「リラプス」防止策)を学びます。再犯防止において、最も重要なプログラムの一つです。
② 暴力防止プログラム
暴力事件や傷害事件を犯した受刑者を対象とします。怒りや衝動的な感情を適切にコントロールできないことが再犯につながるため、自分の暴力につながりやすい思考の「くせ」や暴力の背景にある感情などを把握し、認知行動療法の基本モデルを理解したり、暴力以外の感情の表現方法を習得することなどを目指します。
③ 性犯罪者の改善指導
性犯罪は再犯性が高い犯罪の一つであり、専門的かつ多層的な、根気強い指導が不可欠です。犯罪の引き金となった思考パターンや性的な逸脱行為を認識させ、被害者の視点を理解する指導、そして適切な対人関係を築くスキルなどを学びます。
④ 被害者との関係改善指導
特に被害者の方の命を奪ってしまったり、心身に重大な被害をもたらしてしまったりした場合に、命の尊さや罪の重さ、果たすべき責任を深く理解するための指導です。これにより、受刑者に真の悔悟の念を促し、償いへの意識を高めます。
4 刑務所内での取り組みが「仮釈放」に直結する理由
受刑者がこれらの特別なプログラムにどれだけ真剣に取り組み、改善更生の成果を示したかは、仮釈放を審査する地方更生保護委員会にとって、極めて重要な判断材料になると思われます。
重要な評価ポイント:単なる参加ではなく「変化」
審査員がチェックするのは、プログラムに「参加した」という事実だけではありません。
プログラムの成果報告:指導担当官から、受刑者がどれだけ思考や行動が変化したか、その姿勢が真摯なものだったかなど報告されることになるでしょう。
再犯リスクの低減:プログラムを通じて、再犯につながる犯罪傾向が改善されていると評価されれば、仮釈放の許可を得やすくなります。
更生意欲の証明:困難な課題に粘り強く取り組み、自分自身の負のパターンに向き合ったという事実は、出所後の更生支援への意欲を裏付けるものと評価されるでしょう。
5 弁護士がサポートする「刑務所内プログラムと社会復帰計画の連携」
私たち弁護士は、刑務所内のプログラムが効果的に更生につながるよう、受刑者と外部社会(家族、支援団体、保護観察所)を繋ぐ役割を担います。
① プログラム参加の促しと情報共有
弁護士は面会を通じて、これらのプログラムの重要性を本人に伝え、真剣に取り組むよう促します。また、家族に対してプログラムの内容を説明し、更生の方向性を共有することで、出所後の生活支援を円滑にします。
② 帰住後の更生計画への組み込み
刑務所内で学んだことが、出所後に途切れないようにすることが、再犯防止の鍵です。例えば、薬物依存離脱指導を受けた受刑者に対し、弁護士は出所後の自助グループへの参加、専門病院への通院計画などを更生保護計画に具体的に組み込みます。
③ 審査への意見書や嘆願書などの提出
仮釈放の審査に際し、弁護士は、本人がプログラムに真摯に取り組んだ証拠、改善更生の具体的な成果、そしてその後の再犯防止のための計画などをまとめた弁護士意見書や家族からの嘆願書などを提出し、許可を強く後押しします。
結びに変えて~特別なプログラムは「新しい人生の設計図」~
刑務所内の「特別なプログラム」は、過去の過ちを深く反省し、犯罪傾向を改善するための「新しい人生の設計図」です。このプログラムを最大限に活用し、外部の更生支援と連携させることで、真の再犯防止が実現するのではないでしょうか。
私たちは、受刑者とそのご家族が、この設計図を現実のものとするための伴走者です。刑務所での矯正教育の成果を最大限に活かし、更生に向けて取り組みたいとお考えの方は、ぜひ当事務所にご相談ください。
また弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では仮釈放の早期実現に向けた弁護士による支援活動も行っています。初回相談は無料ですので実刑判決を受けた方、ご家族が服役中の方はお気軽にご相談ください。
【弁護士が解説】仮釈放の「許可率」を上げるために!再犯防止に向けた審査の重要要素と、確実な社会復帰のための準備
【弁護士が解説】仮釈放の「許可率」を上げるために!再犯防止に向けた審査の重要要素と、確実な社会復帰のための準備

ご家族や大切な方が刑務所に収容されている方にとって、「仮釈放」は収容されている方が一日も早く社会復帰を実現するための大きな希望です。
しかし、仮釈放が許可されるためには、単に刑期の一定期間を終えれば良いわけではありません。法務省のデータによれば、近年、仮釈放の許可率は概ね50%〜60%台で推移しており、許可の可能性を上げるためには、周到な準備と審査基準の理解が不可欠です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、単に法律的な手続きだけでなく、再犯防止と真の更生支援という観点から、出所後の生活設計までを見据えたサポートを行っています。
この記事では、仮釈放の審査で特に重要視される3つの要素と、許可率を高めるための具体的な準備について、法律の専門家として分かりやすく解説します。
仮釈放の制度とは? 真の更生を評価する仕組み
仮釈放とは、刑期の満了前に、本人の改善・更生意欲を評価し、保護観察などを条件として、条件に違反した場合は再び施設に収容する権限を留保したうえで、社会に戻ることを許可する制度です。
刑期の途中で社会に戻ることを認めるのですから、そこには「社会の安全」と「本人の更生意欲」の2つのバランスが求められます。この制度の目的は、刑罰をもって罪を償わせるだけでなく、保護観察という形で指導・サポートを行いながら、円滑な更生支援を行い、再犯防止につなげることにあります。
審査で最も重要視される3つの要素
地方更生保護委員会が行う仮釈放の審査では、多くの要素が総合的に評価されますが、中でも許可の鍵となる以下の3つは、特に重要です。
要素①:悔悟の念と改善更生の意欲(内面の変化)
何よりも重視されるのは、本人が犯した罪を心から反省し、二度と同じ過ちを繰り返さないという強い意志を持っているか、という点です。
具体的な評価ポイント:
・刑務所内での生活態度:反省の態度が見られるか、規律を守っているか。
・特別改善指導への取り組み:犯罪傾向を改善するためのプログラム(薬物依存、性犯罪、暴力防止など)に真剣に取り組んでいるか。
・反省文や手記の内容:定型的な反省ではなく、なぜ罪を犯したのか、被害者への償いをどう考えているのか、その内面が深く掘り下げられているか。
要素②:社会復帰後の環境調整(生活の土台)
出所後の生活環境が整っていることは、再犯防止の観点から極めて重要です。出所後に頼れる場所や仕事がない「孤立」状態は、再犯のリスクを高めるからです。
具体的な評価ポイント:
・帰住場所の確保:身元引受人(家族、親族など)が明確で、帰る家があるか。
・就労の予定:出所後すぐに就職先が決まっているか、または就労支援の計画があるか。
・身元引受人の支援能力:引受人が本人を経済的・精神的に支える具体的な計画を持っているか。
要素③:被害者感情への配慮と償いの実行(社会との和解)
被害者がいる事件の場合、被害者の方の感情に真摯に向き合い、可能な限りの償い(示談交渉や被害弁償)を行っているかどうかが、許可に大きく影響します。
具体的な評価ポイント:
・示談の成立:被害者との示談が成立しているか、または被害弁償が行われているか。
・謝罪の意思:手紙などを通じて、被害者へ真摯に謝罪の気持ちを伝えているか。
・贖罪寄付:示談が難しい場合、贖罪寄付などを通じて償いの意思を示しているか。
許可率を高める「弁護士による準備」
これらの3つの重要要素を審査員に納得させる形で提示するためには、専門家である弁護士のサポートが重要です。弁護士は、単なる法的手続きだけでなく、更生支援のコーディネーターとして機能します。
準備①:帰住環境の強化と書面化
身元引受人になってくれる方がいても、「本当に大丈夫か」という不安を審査側は抱いています。弁護士は、身元引受人の方と密に連絡や面談を行い、具体的な支援計画(生活費の負担、精神的なサポート体制など)を詳細な書面(嘆願書や誓約書)として作成し、再犯防止のサポートへの強い意志を形にします。
準備②:就労支援の確実な手配
弁護士は、単に「仕事を探す」だけでなく、前科がある人を受け入れることに理解のある企業や、地域の就労支援団体と連携し、具体的な内定書や就労支援計画を確保します。これにより、「出所後すぐに仕事がない」という再犯リスクが高まる可能性を大幅に減らすことができます。
準備③:示談交渉と贖罪の意思の明確化
被害者がいる場合、弁護士が代理人となり、被害者感情に最大限配慮しながら示談交渉を進めます。示談が成立すれば、償いの意思が具体的に示された証拠となり、審査で有利に働きます。示談が難しい場合でも、贖罪寄付など、本人の反省と償いの気持ちを明確に伝える手段も考えられます。
準備④:本人・家族への指導と模擬面接
審査では、本人が更生保護委員会の面接を受けることになります。また、身元引受人も同じように面接を受けることがあります。弁護士は、再犯防止に向けた具体的な目標、反省の言葉、出所後の生活設計などを、自信を持って明確に答えられるよう、本人やご家族に詳細な指導や模擬面接を行います。
おわりに
仮釈放の許可は、単なる運や刑務所での態度だけで決まるものではありません。
本人の「悔悟の念」と、それを支える「社会環境」、そして被害者への「償い」という3つの柱が、弁護士による適切な準備によって審査側に明確に示されることで、実現に近づくものといえるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、更生支援を最終的な目標とし、再犯防止という社会的な責任も視野に入れながら、仮釈放という希望を現実のものとするための最善のサポートを提供します。
ご家族の仮釈放でお悩みの方は、ぜひ一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。初回の相談は無料で、更生支援に関するご相談は電話による相談にも対応しています
真の社会復帰への扉を一緒に開いていきましょう。
【更生支援】「再犯の連鎖」を断ち切る!「償い」と「社会復帰」の健全なバランスとは?
【更生支援】「再犯の連鎖」を断ち切る!「償い」と「社会復帰」の健全なバランスとは?

1 はじめに
家族もまた「更生」のチームの一員といえるでしょう
ご家族や大切な人が罪を犯したとき、家族もまた、精神的な苦痛や社会的な孤立という大きな困難に直面します。そして、「再犯の連鎖」を断ち切るという重い責任も、家族にのしかかってきます。
更生支援の現場で弁護士として活動する中で、私たちは、「償い」(被害者や社会への責任)と「社会復帰」(本人の新しい生活)という、一見矛盾する二つの課題を、家族がどうバランスを取るかが、再犯防止の鍵を握ると強く感じています。
この記事では、更生を支える家族や支援者が知っておくべき、償いと社会復帰の健全なバランスの取り方について、具体的な視点と更生支援に当たってのアドバイスを解説します。
2 「償い」の重要性:感情的責任から社会的責任へ
償いは、単に金銭的な示談を意味するだけではありません。
それは、本人が犯した罪の重さと、被害者の苦しみを理解し、その責任を社会の一員として果たし続けるという、長期的な姿勢を指します。
ではご家族として御本人様の償いについてどのような姿勢で関わればよいでしょうか。
① 被害者への真摯な償い(示談・謝罪)
家族の役割:弁護士を通じて、示談交渉や被害弁償を誠実に進めることは、家族の重要な役割です。被害者の方へ直接接触することは避けるべきですが、弁護士と協力し、本人の反省の意思を伝える嘆願書などを準備します。
バランスの注意点:償いは本人の更生のためにも不可欠ですが、家族が過度な金銭的負担や精神的負担を負いすぎて共倒れにならないよう、弁護士と相談しながら現実的な範囲で行うことが重要です。
② 社会的な償いと貢献
出所後、再犯防止のために社会の一員として規律を守り、仕事に励むこと自体が、社会への償いとなります。また、ボランティア活動や自助グループでの経験の共有は、社会への貢献として評価され、本人の自己肯定感の回復につながります。
3 「社会復帰」の重要性:再犯防止のための土台づくり
償いの姿勢を保ちつつも、本人が生きるための土台を築くことが、再犯の連鎖を断ち切る上での絶対条件です。
① 生活基盤の確立と身元引受
住居・仕事の確保:前述の通り、住居と仕事は社会復帰のための二大要素です。家族は、身元引受人として、この二つの基盤づくりに最大限協力します。
過干渉の回避:家族は更生支援のチームですが、過度な監視や過干渉は、本人の自立と更生意欲を妨げます。「自立」を促しつつ、「孤立」を防ぐというバランスが求められます。
② 家族内のコミュニケーションと居場所
再犯防止の成功例に共通するのは、「家族の温かい居場所」があることです。
非審判的な対話:過去の犯罪について家族が常に責め続けると、本人は孤立し、再び犯罪傾向に陥りやすくなります。罪の許しは難しくても、「新しい人生の出発」を支える温かい対話と環境を提供することが重要です。
依存症からの回復:薬物やアルコール依存が原因の場合、家族自身が依存症に関する知識を学び、共依存の関係に陥らないよう、専門機関や自助グループの家族会に参加することが、本人と家族双方の更生支援につながります。
4 バランスを保つための弁護士の役割と支援
償いと社会復帰のバランスを取ることは、家族だけでは非常に難しい課題です。
① 専門家による「境界線」の設定
弁護士は、法律と更生支援の観点から、家族がどこまで金銭的、精神的にサポートすべきかの境界線を設定するアドバイスを提供します。再犯防止というゴールに向けて、家族が疲弊せず、健全な関係を築くための指針を提供します。
② 保護観察所・更生保護施設との連携窓口
家族が直接、更生保護委員会や保護観察所とやり取りするのは負担が大きいものです。弁護士が窓口となり、償いの進捗(示談状況)や社会復帰のための環境整備状況を適切に伝えることで、仮釈放審査や保護観察を円滑に進めます。
③ 長期的な更生計画の策定
弁護士は、「償いを続ける期間」と「自立を目標とする期間」を明確に分けた長期的な更生計画を家族と共に策定します。例えば、「最初の1年間は自助グループと就労に専念し、償いは給与から分割で行う」といった具体的な計画です。
5 まとめ
家族の健全な更生支援が再犯防止につながるといえるでしょう。
再犯の連鎖を断ち切るためには、本人の更生意欲と、それを支える家族の健全なサポート体制が不可欠です。償いを忘れず、しかし、将来への希望と社会復帰の土台を築くというバランス感覚が、更生を成功へと導きます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、事件を起こしてしまった方の支援のための顧問契約を準備させていただいています。
ご家族が再犯防止のチームとして機能できるよう、償いと社会復帰、依存症や孤立の防止に関する専門的なアドバイスを提供します。
お一人で悩まず、法律と更生支援の専門家にご相談ください。相談は初回無料で実施しています。
少年事件と管轄する機関について少年事件に精通したあいち刑事事件総合法律事務所の弁護士が解説します②

【事例】
Aさんは、福岡県春日市の実家に両親と兄の4人で住む17歳の高校生です。
Aさんは、同世代の人がSNSで羽振りの良い生活をアップしている投稿を見て、自分も同じような生活をしたいと考えるようになってしまいました。
そのような中で、SNSで高額のアルバイトを募集しているという投稿を見つけたので、Aさんは連絡を取って応募してしまいました。
Aさんが応募したのはいわゆる闇バイトで、行ったことの内容も、指示役の指示に従って被害者の家に行き、指示役の指示のとおりに被害者のキャッシュカードを騙し取るというものでした。
Aさんは福岡県内だけではなく、東は東京や名古屋、南は熊本や鹿児島でも同様のことを指示されて行っていました。
Aさんが、このように犯罪に手を染めてから1ヶ月ほどが経過したある日、警察官が春日市の自宅にやってきました。
そして、そのまま警察官に逮捕されてしまったのです。
しかもその警察官は、東京の警察官だったのです。
逮捕しに来たのは東京の警察官ですから、Aさんはその日のうちに東京に連れて行かれて、東京の警察署で身体拘束されることになりました。
Aさんがしたことを警察官から聞いた両親は、身体拘束されるのは仕方ないと思いつつも、このままずっと東京で身体拘束されるのだろうかということに強い不安を感じていました。
そこで、Aさんの両親は、あいち刑事事件総合法律事務所に連絡を取り、初回接見を利用して弁護士にAさんとの面会を依頼し、面会をした弁護士にこのことを相談することにしました。
(事例はフィクションです)
1 はじめに
昨今、特殊詐欺(いわゆるオレオレ詐欺)など犯罪地が広域にわたる場合がありますが、前回の記事では、その場合に警察はどこの警察が動くのか、どこの裁判所が担当するのかという点について、解説してきました。
具体的には、まずは東京の警察がこのまま動き、別の都道府県の警察(例えば熊本なら熊本)が逮捕しにくる(再逮捕)可能性もあるという内容でした。
今回は、どこの裁判所が担当するかという点について解説していきます。
2 担当する裁判所
今回のAさんのように、捜査の段階で身体拘束される場合は、事件を捜査している警察がある都道府県の警察署などに拘束されることがほとんどです。
そして、捜査を終えると事件は家庭裁判所に送られることになります(家庭裁判所送致)。
送致先の裁判所は、事件を捜査している警察署、検察庁に対応する家庭裁判所となります。
例えば、東京都の新宿警察署、東京地方検察庁が捜査をしていた場合、東京家庭裁判所が送致先となりますし、熊本県の熊本中央警察署、熊本地方検察庁が捜査をしていた場合、熊本家庭裁判所が送致先となります。
しかし、一旦は捜査している警察署、検察庁に対応する家庭裁判所に送致されても、その後にその少年の住んでいる場所に対応する家庭裁判所に移送されることが多いです。
つまり、Aさんの場合も、一旦は東京家庭裁判所や熊本家庭裁判所に送致されたとしても、住所地である春日市を管轄している福岡家庭裁判所に移送される可能性が高いといえます。
そのため、捜査の段階では各地で身体拘束される可能性が高いですが、家庭裁判所に送致された後には、福岡県に戻ってくる可能性が高いのです。
もっとも、各地の少年鑑別所から福岡県の少年鑑別所に実際にAさんが移動してくるまでには数日はタイムラグがあることも多いです。
福岡の家庭裁判所に移ったとの連絡が来たとしても、直ぐに福岡の少年鑑別所で面会できるとは限りませんので、家庭裁判所や少年鑑別所からの通知をよく確認する必要があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、少年事件が進行している段階での処分や身体拘束に向けた活動はもとより、刑事事件・少年事件に関わってきた経験を活かし、事件後の再犯防止に向けたサポートにも力を入れています。
再犯防止に向けた弁護士のサポートにご興味のある方は、一度、あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
少年事件と管轄する機関について少年事件に精通したあいち刑事事件総合法律事務所の弁護士が解説します①
【事例】
Aさんは、福岡県春日市の実家に両親と兄の4人で住む17歳の高校生です。
Aさんは、同世代の人がSNSで羽振りの良い生活をアップしている投稿を見て、自分も同じような生活をしたいと考えるようになってしまいました。
そのような中で、SNSで高額のアルバイトを募集しているという投稿を見つけたので、Aさんは連絡を取って応募してしまいました。
Aさんが応募したのはいわゆる闇バイトで、行ったことの内容も、指示役の指示に従って被害者の家に行き、指示役の指示のとおりに被害者のキャッシュカードを騙し取るというものでした。
Aさんは福岡県内だけではなく、東は東京や名古屋、南は熊本や鹿児島でも同様のことを指示されて行っていました。
Aさんが、このように犯罪に手を染めてから1ヶ月ほどが経過したある日、警察官が春日市の自宅にやってきました。そして、そのまま警察官に逮捕されてしまったのです。
しかもその警察官は、東京の警察官だったのです。
逮捕しに来たのは東京の警察官ですから、Aさんはその日のうちに東京に連れて行かれて、東京の警察署で身体拘束されることになりました。
Aさんがしたことを警察官から聞いた両親は、身体拘束されるのは仕方ないと思いつつも、このままずっと東京で身体拘束されるのだろうかということに強い不安を感じていました。
そこで、Aさんの両親は、あいち刑事事件総合法律事務所に連絡を取り、初回接見を利用して弁護士にAさんとの面会を依頼し、面会をした弁護士にこのことを相談することにしました。
(事例はフィクションです)
1 はじめに
昨今、インターネットやSNSの発展、交通網の整備などからか、犯罪が広域化している印象があります。そのような傾向の中で、特殊詐欺(いわゆるオレオレ詐欺)なども広がり、闇バイトなどと称して、未成年者も含めた若年者が特殊詐欺に加担する事例も多く目にします。
問題は、犯罪地が広域にわたる場合に、警察はどこの警察が動くのか、どこの裁判所が担当するのかという点です。
特に家族が本人の更生に向けた活動をしようにも、遠方では本人への面会など十分な活動ができない可能性もありますので、身体拘束がどこでされるのかは大切になってくる場合があります。
2 少年事件の手続きの流れ
Aさんの場合、年齢が20歳未満ですから、少年事件として手続きが進んでいきます。
Aさんのように逮捕され、その後も最後まで身体拘束が続いた事件を例に、ごくごく簡単に少年事件の手続きを説明します。
まず、警察が逮捕をし、その後も身体拘束を続けるためには、検察官や裁判官の判断を経て、勾留などという逮捕とは別の決定が必要になります。
勾留中に捜査がされていき、勾留期間を終えるまでに、事件を家庭裁判所に送致することになります。
家庭裁判所に送致されてからは、少年鑑別所で拘束されながら、家庭裁判所の調査官の面接を受けるなどといった調査を受けることになります。
そのような調査を経て、少年審判を受け、処分が決まることになります。
3 担当する警察署
今回のAさんの場合、東京で起こした事件について警察が捜査をし、犯人がAさんだと辿り着いて逮捕しに来たのでしょう。
問題は、Aさんが、東京以外にも名古屋や熊本、鹿児島などでも別の事件を起こしている点です。
このような場合、基本的には名古屋なら名古屋の、熊本なら熊本の、鹿児島なら鹿児島の警察が動くことが多いです。
そのため、東京の事件について東京の警察が行った捜査が終わった後に、例えば熊本の事件で熊本の警察が逮捕しにくる(再逮捕)可能性もあるわけです。
そのため、東京の事件を捜査されている間は東京で身体拘束されることになりますし、東京の事件の捜査が終わっても、別の都道府県の警察が逮捕に来るかもしれませんから、当面の間、福岡県には戻ってこられない可能性があります。
次回の記事では、裁判所の段階について解説していきます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は北は札幌から南は博多まで全国に合計12拠点を有する大規模な事務所です。事例のように複数の警察署で捜査されるような事件であっても、各支部の弁護士が対応することでスムーズに引継ぎを行い、充実した弁護活動を受けることが可能になります。
さらに少年事件が進行している段階での処分や身体拘束に向けた活動はもとより、刑事事件・少年事件に関わってきた経験を活かし、事件後の再犯防止に向けたサポートにも力を入れています。
再犯防止に向けた弁護士のサポートにご興味のある方は、一度、あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
【出張授業報告】足立直矢弁護士が越谷総合技術高校でオンライン授業の講師を務めました
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所新宿支部に所属している足立直矢弁護士が埼玉県立越谷総合技術高校から外部講師の依頼を受け、令和7年7月22日に同校の生徒さんに対してオンラインで授業を実施しました。
授業では「弁護士が見た、本当は怖いSNSの事件」というテーマの下、実際にSNSを通じて刑事事件の被害に遭った実例や、SNSを通じて刑事事件に巻き込まれてしまった実例、被害に遭わないための対策や心構え等について足立弁護士が解説を行いました。受講いただいた方は大変真剣に講義を聞いていただき今や生活に密接にかかわっているSNSに関する講義に対する関心が高いことを実感いたしました。
授業を行ったことについてはこちらの記事で報告させていただいた通りです。
授業を聞いていただいた生徒や先生の方々からは、
・「ストーカー被害に遭う、個人が特定され情報が拡散されるなどSNSを利用することによるリスクや危険性が具体的に分かり参考になった」
・「実際に起きた事件や裁判例を紹介してもらって大変参考になった」
・「安易にSNSに投稿することの危険性など自分たちの日常生活に直結するとこでの注意点が知れてためになった」
・「今後の日常生活や生徒指導でもこの内容を参考にしていきたいと思った」
などの声を頂きました。授業後に実施させていただいたアンケートでは参加いただいた方の約95パーセントの方から今回の授業が参考になったと言っていただきました。他のテーマでも講義を受けてみたいという声もいくつかいただきました。
あいち刑事事件総合法律事務所では、犯罪被害に遭うことの防止や、刑事事件に関わることがないような啓発を目的とした出張授業を複数のテーマでご用意しています。講義内容はご相談の上、依頼いただいた学校様や団体様とオーダーメイドで作成させていただきます。弁護士に授業を頼むことは敷居が高いと感じられるかもしれませんが、まずはお気軽にお問い合わせください。
問い合わせはこちらのページのお問い合わせフォームから宜しくお願い致します。
医療観察法上の手続きについて更生支援に精通したあいち刑事兼総合法律事務所の弁護士が解説します②

【事例】
Aさんは、佐賀県鳥栖市で60代の両親と一緒に住む40歳の男性です。
以前からAさんは精神科に通院しており、統合失調症であるという診断を受けていました。
これまでは家族に支えられながら日常生活を営んできたAさんでしたが、あるときから統合失調症の影響で幻覚や幻聴に悩まされるようになってしまいました。
その幻覚や幻聴は、「毎朝自宅に新聞を届けに来る新聞配達員は自分たち家族の命を狙っている」、「このままでは自分や家族の命が危ない」といったものでした。
このような幻聴と幻聴に囚われたAさんは、ある日、朝刊の配達に来た新聞配達員にカッターナイフで切りかかってしまいました。
異変を感じて駆け付けた人々がAさんを取り押さえたため、新聞配達員は怪我を負ったものの、命に別状はありませんでした。
その後、駆け付けた警察官にAさんは逮捕されました。
逮捕されたAさんは警察の取調べを受けるとともに、Aさんに刑事責任を問えるのか判断するため、医師の鑑定も受けることになりました。
Aさんの家族は、Aさんの弁護人である弁護士から、担当の検察官は、医師の鑑定の結果を踏まえて、Aさんには刑事責任を問えないと判断して不起訴とする予定だと聞かされました。
もっとも、今後は医療観察法の手続きを受けることにもなるとも伝えられました。
Aさんの家族は、これからAさんがどのような手続きを受けるのか、Aさんが家に帰ってくることができるのかなどが心配となり、担当の弁護士に相談しました。
(事例はフィクションです。)
1 はじめに
前回の記事では、Aさんが受けることになる医療観察法の手続きを説明する前提として、なぜAさんに刑事責任を問えないと検察官が判断したのだと思われるのかについて解説してきました。
今回の記事では、どのような事件が、医療観察法(正式名称は、「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」といいます。)の手続きの対象になるのかを解説していきます。
2 手続きの対象
医療観察法は、「継続的かつ適切な医療並びにその確保のために必要な観察及び指導を行うことによって、その病状の改善及びこれに伴う同様の行為の再発の防止を図り、もってその社会復帰を促進すること」を目的としている法律です(医療観察法1条)。
しかし、医療観察法は、どのような事件であっても手続きの対象となるわけではありません。
問題となっている事件がどのような事件か(行ったのが対象となる行為か)という点と、問題となっている事件がどのような処分になったかという点の2つから判断されます。
3 対象行為
医療観察法が対象としているのは、次のいずれかに該当する行為を行っている場合に限られています(医療観察法2条1項)。
⑴ 放火関係(現住建造物等放火罪、非現住建造物等放火罪、建造物等以外放火罪またはこれらの未遂罪)
⑵ わいせつ関係(不同意わいせつ罪、不同意性交等罪、監護者わいせつ及び監護者性交等罪またはこれらの未遂罪)
⑶ 殺人関係(殺人罪、自殺関与及び同意殺人罪またはそれらの未遂罪)
⑷ 傷害罪
⑸ 強盗関係(強盗罪、事後強盗罪又はそれらの未遂罪)
ここで注意が必要なのは、例えば強盗関係は、問題となっている事件が強盗事件や事後強盗事件(とそれらの未遂)だけが対象で、強盗致傷事件や強盗殺人事件などが対象外だというわけではないということです。
次回の記事では、この詳細について解説していきます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件・少年事件に関わってきた経験を活かし、刑事事件後の再犯防止に向けたサポートにも力を入れています。
また本件のように、責任能力が問題になるケースで逮捕された方については初回接見サービスをご利用をおすすめしています。責任能力が問題になる売る方の弁護活動についてきましてはこちらのページも参考にしてください。
再犯防止に向けた弁護士のサポートや責任能力が問題になりうる方の弁護活動にご興味のある方は、一度、あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
医療観察法上の手続きについて更生支援に精通したあいち刑事事件総合法律事務所の弁護士が解説します①

【事例】
Aさんは、佐賀県鳥栖市で60代の両親と一緒に住む40歳の男性です。
以前からAさんは精神科に通院しており、統合失調症であるという診断を受けていました。
これまでは家族に支えられながら日常生活を営んできたAさんでしたが、あるときから統合失調症の影響で幻覚や幻聴に悩まされるようになってしまいました。
その幻覚や幻聴は、「毎朝自宅に新聞を届けに来る新聞配達員は自分たち家族の命を狙っている」、「このままでは自分や家族の命が危ない」といったものでした。
このような幻聴と幻聴に囚われたAさんは、ある日、朝刊の配達に来た新聞配達員にカッターナイフで切りかかってしまいました。
異変を感じて駆け付けた人々がAさんを取り押さえたため、新聞配達員は怪我を負ったものの、命に別状はありませんでした。
その後、駆け付けた警察官にAさんは逮捕されました。
逮捕されたAさんは警察の取調べを受けるとともに、Aさんに刑事責任を問えるのか判断するため、医師の鑑定も受けることになりました。
Aさんの家族は、Aさんの弁護人である弁護士から、担当の検察官は、医師の鑑定の結果を踏まえて、Aさんには刑事責任を問えないと判断して不起訴とする予定だと聞かされました。
もっとも、今後は医療観察法の手続きを受けることにもなるとも伝えられました。
Aさんの家族は、これからAさんがどのような手続きを受けるのか、Aさんが家に帰ってくることができるのかなどが心配となり、担当の弁護士に相談しました。
(事例はフィクションです。)
1 はじめに
今回の記事では、Aさんがどのような手続きを受けることになるのか、医療観察法の手続きとはどのようなものなのかを説明するために、その前提として、まずはAさんに刑事責任を問えない理由を解説していきます。
2 責任能力とは
ある人が行った行為を、犯罪であるとして刑罰を科すためにはいくつか条件があります。
その一つが責任能力です。
責任能力というのは、ある行為を行った人を非難するために、その行為を行った人に必要とされる一定の能力です。
このような責任能力がない場合としては、心神喪失(刑法39条1項)と言われる場合と、刑事未成年の場合があります。
刑事未成年というのは、14歳未満であることです(刑法41条)。
このいずれかに該当するのであれば、例え人を殴った、人の物を盗んだといった犯罪に当たりうる行為をしていたとしても、責任能力がないため、犯罪とはなりません。
3 心神喪失とは
それでは、心神喪失とはどのような場合でしょうか。
これは、ごく簡単に表現すると、精神の障害(病気など)により、自分の行為がしていい行為かどうか、良い行為か悪い行為かを判断する能力か、その判断に基づいて自分の行動をコントロールする能力のいずれかが全くない状態を指します。
これに対して、こういった能力が全くないわけではないが、著しく減退した状態を心神耗弱(刑法39条2項)といいますが、この場合は(限定的ではあるけれども)責任能力はあるので、犯罪は成立することになります。
Aさんの場合は、担当の検察官はAさんの刑事責任を問えないと判断していますので、医師の鑑定の結果などを踏まえて、Aさんは心神喪失であったと判断したのでしょう。
そのため、刑事裁判にはかけられませんから、不起訴と判断したものと思われます。
次回の記事では、医療観察法の手続きについて解説していきます。
責任能力が問題となりうる事件で逮捕された場合、発達障害などの診断を受けている方が刑事事件を起こし逮捕された場合には、まずは弁護士を留置先の警察署に派遣する初回接見サービスの利用をおすすめします。責任能力が問題になる場合の弁護活動についてはこちらのページも参考にしてください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件・少年事件に関わってきた経験を活かし、刑事事件後の再犯防止に向けたサポートにも力を入れています。
再犯防止に向けた弁護士のサポートにご興味のある方は、一度、あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
