少年審判での弁護活動

少年審判と要保護性

少年審判は、少年に非行事実の有無及び要保護性があったかどうかを判断し、少年の抱えている問題点に応じた処分を選択するための手続きです。

少年審判では、裁判官が、法的調査と社会調査の結果を踏まえ、少年の最終的な処遇を決定します。起こした事件の内容を含む要保護性の程度が最終的にどのような処分を選択されるかにとって重要な意味を持ちます。

要保護性とは、諸説ありますが、一般的には

  1. 再非行の可能性(犯罪的危険性)
  2. 保護処分選択相当性(保護処分による保護が当該少年に対して最も有効適切な処遇であること)
  3. 矯正可能性(保護処分による矯正教育を施すことによってその犯罪的危険性を除去できる見込みないし可能性)

をいいます。

弁護士は審判に向けた手続きの中で付添人として活動し、調査を担当する家庭裁判所調査官や裁判官に対し当該少年の要保護性が高くないことを主張していく役割、要保護性が高くないと判断されるために再犯防止に向けた取り組みや、少年の持つ課題の克服、少年が健全に更生を図るための周辺環境の調整に向けた取り組みなどを少年や少年の周りの方たちと一緒に取り組んでいくことになります。

少年審判に向けた具体的な弁護活動

以下では、少年審判に向けた具体的な弁護活動にはどのようなものがあるのかを説明していきます。

なお以下では非行事実について争いがない前提で行う弁護活動に限って説明していきます。

(1)事件のふり返り

少年の今後の更生を目指していく上でまずするべきことは、少年がなぜそのような事件を起こしてしまったのか、どのような経緯で犯行に至ってしまったのかを知ることです。

これは弁護士だけが知るのでは意味がありません、少年や少年の家族も一緒になって悩み、考えていくことが重要です。

もちろん事件を起こすに至った原因は複数あることがほとんどですし、中には発達障害など他の専門機関との協力が必要な場合も少年事件では多く見られます。事件の内容を振り返り原因についてしっかり考える事ができなければ、実効的な再非行防止を図ることは困難になります。

まさに事件を振り返って事件に至った原因や経緯を考えることは更生への第一歩と言えます。

弁護士は少年や少年のご家族に寄り添いながら、非行に至った原因、背景を一緒になって考え抜きます。また刑事事件、少年事件の豊富な経験からご自身たちだけでは気づく事ができなかった原因についてもアドバイスや指摘を出来る場合もあります。

(2)事件の内省を深めること

事件を起こしたことに対する内省を深める上で非常に重要なことは、自分が起こした事件が処罰される理由は何か、自分がその犯罪をすることで被害者や社会に対しどのような悪影響があるのかをしっかりと理解することであるといえます。

少年審判においても自分がしたことの影響を考えられていることを内省の深まりとして少年の有利に考慮していると考えられます。

当然事件を起こしてしまった少年は事件の影響について十分に理解できていない場合、被害者にどのような影響があるかについて表面的にしか考える事ができていなかった場合がほとんどであるといえます。

あいち刑事事件総合法律事務所では刑事事件、少年事件を多く取り扱ってきており、示談交渉などで被害者の方の生の声を多く聴いてきました。

また多くの刑事事件、少年事件の経験を通じて事件を起こされた方の更生に向けたアドバイスを多数行ってきました。

ですので事件の内省に向けて被害者の立場ではこのような不利益等があるとアドバイスさせていただくこと、事件が社会に与える影響にはどのようなものかリアルにアドバイスすること、そしてそれらを一緒になって考え、理解してもらうことができます。

(3)再犯防止に向けた取り組み

再犯防止は先述した事件の原因や背景に応じて行っていく必要があります。精神障害や性依存症などの症状がある意場合には適切な専門機関への通院や通所が必要な場合もあります。

また少年の内省の深まりに合わせて弁護士から少年に課題を出して、再犯防止のために必要なこと、やめなければならないことについて一緒に考え、再犯防止に向けたサポートを行っていきます。

監視監督などご家族に行ってもらうべき再犯防止活動についてもアドバイスをさせていただくことがあります。

再犯防止のための活動は少年審判の結果に与える影響についてもそうですが、今後の再非行を防止するためにも早くから行っていくことに越したことはありません。

これまで説明してきた(1)~(3)はそれぞれ別個の問題ではなく、一つの線になって繋がっているものであると考えています。この段階を踏んで考えていくことで(3)の再犯防止がより具体的で、実効的なものになるといえます。

(4)環境調整

少年審判において在宅での保護処分(保護観察や試験観察処分)を目指す場合には、少年が審判の後に生活する環境も、処分の判断において重要な考慮要素となります。

少年の監督をするご家族はもちろん、事件の背景に少年の交友関係が影響していた場合には、交友関係の改善や清算が重要になるケースもあります。

また就労や学校への復帰が重要になると考慮される場合もあります。

このように環境調整と一言に言っても調整すべきものは多岐にわたり、それは具体的な事件の内容や経緯によって大きく変わってきます。環境のことなので当然一朝一夕でどうにかなるものではありません。

厳しいことを言いますが、審判の前の調査において指摘されて初めて気付いても調整が困難な場合もあります。

例えば交友関係については、少年本人が清算することに抵抗を覚える場合も少なくありません。

その場合でもケースに応じてにはなりますが、早期から交友関係をどうしていくべきかについて少年と粘り強く話していったことで、交友関係や今後の非行の可能性に気付いて交友関係を改めようと考えてくれたケースもあります。

少年事件に豊富な経験のある弁護士であるからこそ、個別な事件においてどのような環境調整が問題になり、その調整のためにはどのようなことが必要かについて早い段階から把握して環境調整に向けて動くことが可能になります。

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