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【裁判例紹介】執行猶予中に万引きの再犯をした事案について再度の執行猶予付きの判決を下した裁判例を解説します②

2025-04-03

【事案の概要】
被告人はギャンブルにはまって金融機関からの借金を負い,転売目的での万引きをしてしまい,執行猶予付きの有罪判決を受けてしまいました。その裁判の途中から,ギャンブル依存症などの治療も受けていたのですが,裁判が終わった3か月後にはまたギャンブルにはまってしまい,今度は食べるもの欲しさから万引きをしてしまったというものです。
二度目の裁判の間も被告人は依存症専門の病院で入院治療を受け,また家族もそれを熱心に支え続けました。
一審判決は裁判を受けた3か月後にまたやってしまったという点を重く見て,今度は実刑判決を言い渡しました。
しかし、被告人が控訴した控訴審では1審判決を破棄して被告人に対して再度の執行猶予付きの判決を下しました。

今回の記事では前回の記事で紹介した判決の内容について、より詳しく見ていきましょう。
特に判決の結論を変えた事実の評価のポイントについて詳しく解説させていただきます

1 判決で再度の執行猶予を付した理由について

万引き再度の執行猶予について話を戻しましょう。
上記の事案でも,次のように指摘がなされていました。
「他方で、本件は財産犯であり、被害額は万引き窃盗において多額とまではいえないところ、被告人が被害弁償をしていることや、手口も同種万引き事案と比較して特に悪質とまではいえないことからすれば、犯情において、再度の執行猶予を検討することができる事案である。」
裁判所も,万引きの事案に対しては再度の執行猶予が十分にありうることを前提としています。
ですが,この万引きが,どのような経緯でなされたのか,という点,そしてそれを裁判所がどう見るか,が重要なポイントです。
上記の事案では,被告人は病的賭博,つまりギャンブル依存症(https://www.ncasa-japan.jp/understand/gambling/about)として精神科で診断を受けるほど,自分の衝動を抑えきれない状況にありました。
これについて,一審裁判所も控訴審裁判所もは「万引きに直接影響したものではない」と言いました。
そして,いかに家族が更生環境を整えているとしても実刑は避けられない,と判断しました。

一方,控訴審ではさらに,被告人はADHDの診断を受けており普通の人よりも自分の衝動を抑えるのが難しいという事情を付け加え,「このような更生への取組みを刑罰により打ち切らずに継続させる方が望ましく、本件は情状に特に酌量すべきものがあるとして、再度の執行猶予を付し、もう一度だけ社会内での更生の機会を設けるのが相当であり、原判決の刑をそのまま維持するのは、重きに失するに至ったというべきである。」と判断しました。
ここは私見になりますが,ADHDの診断という点を控訴審が特別重要視したとは思われません。
その為,一審と控訴審は,ギャンブル依存症で万引きをした被告人を家族が献身的に支えている,という事情を見て,実刑判決だ(一審)/もう一度チャンスを与えても良い(控訴審),といったように真逆の判断をしているのです。

2 弁護活動のポイントについて

一審と控訴審で弁護士の方針等が違っていたのかもしれません。しかしながら,万引き再度の執行猶予をめぐる事件については,同じ事案に対しても裁判所によっては真逆の判断がありうるのです。
裁判で再度の執行猶予を勝ち取るのは容易なことではありません。裁判になるもっと前段階から,証拠集めや主張の整理をしておかなければいません。
あいち刑事事件総合法律事務所では万引きを何度も繰り返してしまっている方に対する弁護活動について豊富な経験があります。
執行猶予中に再犯をしてしまって再度の執行猶予判決を勝ち取ることは相当困難ですが、実際に獲得した事例の弁護も弊所では担当しています。
執行猶予中に再犯をしてしまったという方や,執行猶予を勝ち取れるか不安があるという方は,ぜひ裁判になる前段階から刑事事件に精通したあいち刑事事件総合法律事務所の弁護士にご相談ください。

またあいち刑事事件総合法律事務所では万引き事件を起こした方の更生支援活動についても弁護士がサポートさせていただきます。
詳しくは、見守り弁護士(ホームロイヤー)のページをご覧ください。

【裁判例紹介】執行猶予中に万引きの再犯をした事案について再度の執行猶予付きの判決を下した裁判例を解説します①

2025-03-20

1 裁判例について

今回の記事で紹介するのは令和6年9月24日付で名古屋高裁金沢支部が第1審判決を破棄して再度の執行猶予を付した判決です。
上記判決の基になる事案の概要は次のようなものでした。
【事案の概要】
被告人はギャンブルにはまって金融機関からの借金を負い,転売目的での万引きをしてしまい,執行猶予付きの有罪判決を受けてしまいました。その裁判の途中から,ギャンブル依存症などの治療も受けていたのですが,裁判が終わった3か月後にはまたギャンブルにはまってしまい,今度は食べるもの欲しさから万引きをしてしまったというものです。
二度目の裁判の間も被告人は依存症専門の病院で入院治療を受け,また家族もそれを熱心に支え続けました。
一審判決は裁判を受けた3か月後にまたやってしまったという点を重く見て,今度は実刑判決を言い渡しました。

しかし被告人が控訴したところ,名古屋高裁金沢支部の裁判官は治療の状況や家族の支援が期待できること等から再度の執行猶予を付するという判決を言い渡しました。

2 再度の執行猶予について

ここで,執行猶予について解説をします。
法律上原則として,執行猶予判決を受けている人に対してもう一度執行猶予判決を言い渡すということはできません。
執行猶予判決というのは,「この期間中は絶対に罪を犯さないでくださいね,もし今度罪を犯してしまったらほとんど確実に刑務所に行きますからね」という抑止力をもって,再犯を防止しようとするものです。
具体例でいうと,令和7年4月1日に「懲役1年,執行猶予3年」という判決を受けたとします(便宜上,上訴期間を除いて解説します)。
すると,令和7年4月1日から令和10年3月31日までの間,この人は執行猶予期間中ということになります。
この期間に新たに犯罪をしてしまい,再び有罪判決,例えば「懲役2年の実刑」という判決を受けてしまうと,一度宣告された「懲役1年」と新たに言い渡された「懲役2年」の合計3年の懲役刑を受けることになるのです。
一方,令和10年3月31日までに再犯して有罪判決を受けることがなければ,「懲役1年」を服役しなくてもよくなるのです。
このように,「次にやったら重い刑罰を受ける」という抑止力を利用して,社会の中で更生させようとするのが「執行猶予」という制度なのです。
そのため,執行猶予中に犯してしまった罪に対しては特に厳しく見られることになります。「もう一回執行猶予で良いよ」とはならないのです。

ただし,どうしても実刑判決を科すのが不適当な場合があります。それが,事例の,繰り返してしまう万引きのような事例です。
法律上,特に情状で考慮すべき事情がある場合,要するに「どうしても刑務所に送るのが不適当/もう一度社会でチャンスを与えるべきではないか」と思われる事案に対しては,再度の執行猶予を言い渡すことができるのです。再度の執行猶予に関する詳しい解説についてはこちらのページもご確認ください。
ただし再度の執行猶予が認められることは非常に例外的な判断であり,再度の執行猶予が付されている事案は少数です。実際に再度の執行猶予が付される事案の多くは,交通事故のような過失犯や,軽微な万引きの事案です。

次回の記事では、紹介した事例において再度の執行猶予付きの判決が出された理由やその弁護活動について詳しく解説させていただきます。
執行猶予か,実刑かで,その後の生活において天と地ほども差があります。
執行猶予を目指すのであれば,刑事事件専門の弁護士に対して速やかに相談し,早期の対応を仰ぎましょう。

あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士が扱った再犯事件の弁護活動について解説します③~万引きを繰り返してしまった事案~

2025-02-20

【事例】
Aさんは、以前にもコンビニで万引きをしたことで逮捕されました。
依頼者の家族の依頼で弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士が初回接見を行って、その後も事件処理の依頼を受けたところ、勾留されることなく釈放され、コンビニとも示談ができました。
しかし、依頼者は、その後再度万引きをしてしまって逮捕された結果、前回の担当弁護士に接見を希望しました。
そこで、前回と同じ弁護士が初回接見をして、そのまま事件を担当することになりました。
接見でAさんは「今度こそ再犯をしないように早期に専門機関への通院をしたい」と治療を希望していました。
(プライバシー保護のために事案を一部改変しています)

1 治療のための早期釈放を実現

再犯の人は、初犯の人より重たい処罰を受ける可能性が高いので、身柄解放の可能性も低くなってしまいます。前回は、逮捕されたものの勾留されることなく2日程度で釈放となりました。
しかし、今回は再犯ですので、前回ほどスムーズに釈放となるか、ギリギリだったと思います。
それでも弁護士は、「勾留をすることなく早期に釈放してください」と検察官や裁判所に意見書を提出して釈放を働きかけました。
しかし、勾留請求を受けた裁判官は、依頼者を勾留する、つまり10日間身柄拘束を継続することを決定しました。

被疑者を勾留する裁判に対しては、一度だけ不服申立てをすることができますから、速やかに不服申立てをしました(これを準抗告といいます)。
準抗告の書面では、確かに前科があるとしても勾留するほどの重たい処分が見込めないこと、家族の監督の下早期に釈放することがAさんの更生に向けて重要なことを強調しました。
書面の内容及び、裁判官との面談で弁護士が治療の必要や身体拘束が不要であることを説得的に主張した結果、申立てが認められて、Aさんは逮捕されてから3日後に無事釈放となりました。

その後Aさんは弁護士が紹介した、窃盗を繰り返してしまう方向けに再犯防止に向けた治療を行う専門機関への通院を開始しました。
再犯なので身柄拘束継続の可能性もそれなりにある事件ながらも、早期の釈放を実現することができて、担当弁護士としてもかなり安心した事件です。

2 万引き事件での再犯防止向けたオーダーメイドの弁護活動

再度万引きをしてしまう方には、それぞれ様々な背景事情が存在します。
スリルを楽しむために万引きをする方、摂食障害を患っておられ吐くために商品を買うのがもったいなくて万引きをする方など千差万別です。
弊所で万引きの再犯事件を担当する場合には、上記事案のように専門機関をご紹介する場合もあります。
それだけでなく担当弁護士が丁寧に万引きに至った経緯をお聞きして、一緒になって再犯防止の対策に取り組んでいきます。
まさに事件を起こしてしまった方に向けた、オーダーメイドの弁護活動を行わせていただきます。

またあいち刑事事件総合法律事務所では事件の処分が決定した後も、引き続き再犯をしないように定期定期な面談や課題の実施をさせていただく更生支援に向けた顧問弁護士もお引き受けしています。
詳しくは見守り弁護士のページもご確認ください。
万引き事件を起こして逮捕されて早期の釈放を実現したい方、再度の万引きを防ぐための弁護活動をご希望の方などお困りの方は是非一度弊所にお問い合わせください。

闇バイトに応募してしまい特殊詐欺事件に関わってしまった方に対する弁護活動について解説します④

2025-01-02

【事例】
Aさんは22歳の大学生でしたが、SNSで「簡単 稼げる」「日給10万」などの検索ワードを使って仕事を探していたところ、特殊詐欺事件の首謀者から連絡を貰って個人情報を伝えてしまいました。
Aさんは話を聞くうちに、そのグループが特殊詐欺に関与していることを知って仕事をやめようと思いましたが家族に危害を加えられることを仄めかされたために、やめることができず特殊詐欺を実行してしまいました。
その事件については、被害者が未然に警察に通報していたことでお金を騙し取る前にAさんは臨場していた警察官に逮捕されました。
(プライバシー保護の観点から、事務所で扱った事件から一部事実を改編しています)

今回の記事では前回の記事に引き続き、闇バイトに応募したところ特殊詐欺に関与してしまい逮捕されてしまった方の事例を基に闇バイトに関与してしまった方に対する弁護活動について解説していきます。今回の記事では事例の件で弁護士がどのような弁護活動を行って、起訴後すぐの保釈許可や執行猶予付きの判決を獲得したかについて解説します。

1 保釈獲得に向けた弁護活動

起訴後すぐに保釈が許可されるかは逮捕された方のその後の人生において非常に重要です。保釈の請求は起訴された後すぐに行うことができますが、起訴後すぐに保釈の申し立てを行うためには起訴される前から準備を進めていく必要があります。
Aさんの事例では、実際に弁護士がAさんの家族と連絡を取って、自宅でしっかりとAさんを監督することなど監督体制がしっかりしていること、Aさんの大学の講義の取得状況からさらに身体拘束が長期化すれば退学が余儀なくされること、Aさんの持病の治療のために留置環境下では医療体制が十分でないことなどをまとめた上申書を作成しました。また被害者への謝罪や賠償の状況についても経過をまとめた書面を作成しました。
これらの書面を添付した保釈請求書を起訴当日に提出し、裁判官と弁護士が面談を行って交渉したことでAさんは起訴当日に保釈が許可されて、無事に大学に復帰すること、持病に対する治療を再開することが叶いました。

2 執行猶予付きの判決獲得に向けた弁護活動

今回の事例は幸いにもAさんが関わった事件が未遂に終わった本件の1件だけだったこともあり、ある程度執行猶予付きの判決が見込まれる事件ではありました。それでも担当弁護士はAさんが決して再犯をしないための更生環境を整えるために精力的に弁護活動を行いました。
具体的には前回の記事で述べたような、闇バイトの実態や関わらないための注意点を弁護士から詳しく説明し今後は楽にお金を稼ぎたいという気持ちからSNSや知り合いの紹介から仕事を探さないことを約束してもらいました。また、今回のような事態になった際にすぐに家族に相談できるように家族間でのコミュニケーションをより密に取ることをAさんやAさんの家族が約束し、保釈直後から実践をしていました。これは単なる裁判のための対策ではなく、裁判の後に二度と闇バイトに関わらずに更生していくためにという視点で担当弁護士が再犯防止策をアドバイスさせていただいた結果です。
裁判においては以上のような再犯防止策をAさんの家族やAさん自身に証言してもらい、担当弁護士も裁判官に対し弁論の場で主張を行いました。判決では家族の下で再犯防止策を測っていることも評価されて無事執行猶予付きの判決を獲得することができました。

この事例も含めあいち刑事事件総合法律事務所では闇バイトに応募してしまったなどの事情から特殊詐欺事件に関与した事例も多く取り扱った実績があり早期の保釈許可や執行猶予付きの判決、少年事件であれば保護観察の獲得により少年院送致を回避した実績も豊富です。
ご家族の方が闇バイトに関与しているかもしれないと気づかれた方、闇バイトに関与して逮捕されてしまった方はなるべく早くあいち刑事事件総合法律事務所の弁護士に無料相談や初回接見の語彙新井をしてください。経験豊富な弁護士が親身に対応させていただきます。

3 あいち刑事事件総合法律事務所では出張事業のご依頼を受け付けています

あいち刑事事件総合法律事務所はこれまで多くの刑事事件、少年事件を取り扱ってきました。今回の紹介したような「闇バイト」に募集してしまい刑事事件の当事者となった方の弁護活動の経験も豊富にあります。そこで中高生の方向けに、闇バイトに関わらないようにするためには本人やそのご家族がどのようなことに注意するべきか、闇バイトに関わってしまうとその後の人生がどのように変わってしまうのかなど、闇バイトに関わることを防止するための出張授業をご準備しています。もちろん出張授業の内容は闇バイトの件に限らず、ご希望の内容に沿ってご相談に乗らせていただきます。

出張授業にご興味のある方はこちらのページからお問い合わせください。

闇バイトに募集してしまい特殊詐欺事件に関わってしまった方に対する弁護活動について解説します③

2024-12-26

【事例】
Aさんは22歳の大学生でしたが、SNSで「簡単 稼げる」「日給10万」などの検索ワードを使って仕事を探していたところ、特殊詐欺事件の首謀者から連絡を貰って個人情報を伝えてしまいました。
Aさんは話を聞くうちに、そのグループが特殊詐欺に関与していることを知って仕事をやめようと思いましたが家族に危害を加えられることを仄めかされたために、やめることができず特殊詐欺を実行してしまいました。
その事件については、被害者が未然に警察に通報していたことでお金を騙し取る前にAさんは臨場していた警察官に逮捕されました。
(プライバシー保護の観点から、事務所で扱った事件から一部事実を改編しています)

今回は以前闇バイトを取り扱った際に紹介した事例とは別の事例を用いて闇バイトの恐ろしさや関わってしまった方に対する弁護活動について解説させていただきます。今回紹介する事例は以前の記事とは異なり、成人の刑事事件で起訴され、最終的には弁護活動の甲斐あって執行猶予付きの判決を得る事ができた事例になります。

1 闇バイトに関与してしまうきっかけ

執筆者個人が過去に取り扱った特殊詐欺の入り口の多くは
(1)最初から特殊詐欺など犯罪だと解っていて関与を始めたもの
(2)最初は特殊詐欺とは思っていなかったが実際にやってみると怪しい仕事だと解ったもの
(3)本当はやりたくないのに自分や家族への危害を仄めかされて犯罪をせざるを得なかったものなど、さまざまです。
上記で紹介した事例は、途中までは楽に稼げる仕事との認識の程度だったが、途中から特殊詐欺だと気づきやめようとしたが個人情報を握られていたことで脅されて、実行に移してしまったケースなので(3)の類型にあたります。

上記のように闇バイトを首謀するグループは、脅迫の手段を使って闇バイトへの関与を強いてくることもあります。怪しい仕事の紹介では安易に個人情報を渡さないようにしましょう。履歴の残らない連絡手段(シグナルやテレグラム)を案内された場合、個人情報を要求された場合は違法な仕事を紹介しようとしているのではないかと考え、連絡を取ることをやめ、家族や警察に相談することをおすすめします。闇バイトに関する注意喚起についてはこちらのページも参考にしてください。

2 本件の逮捕後の手続きの流れ

Aさんは逮捕された後に、特殊詐欺グループとの接触のおそれや逃亡のおそれがあるとして裁判所から勾留するとの決定を受けました。その後余罪がないかなど取調べのために勾留延長が認められて、勾留期間は法定の上限である20日間に及びました。Aさんは起訴された後に、担当弁護士が直ちに保釈請求をして裁判官との交渉を行った甲斐あって、起訴後直ちに保釈が認められて判決が下されるまでの期間を自宅で過ごすことが出来ました。

このように事例のAさんは、自分が特殊詐欺に関与してしまった結果とはいえ20日間という長期間にわたって拘束されることになりました。20日間という期間は学生であれば大学などの講義やテストに出席が出来ず単位を落とす危険が出てくる期間です。社会人であれば20日間の間本人からの連絡なく会社を休むことになれば懲戒解雇となるリスクが非常に高いです。
仮に本件のように保釈が認められなかったら、裁判が終わるまでの数か月間身体拘束を受けたままになります。
特殊詐欺事件で逮捕されるケースの多くが逮捕されていない共犯者もいることから身体拘束が長期化するおそれが高いです。そして見込まれる判決としても、被害額が大きく社会問題にもなっている件であるので、前科のない方でもいきなり実刑判決を受ける可能性が高い事件になっています。
闇バイト」という言葉は何か軽いようなものにも聞こえます。しかし実際に「闇バイト」のつもりで特殊詐欺事件に関わってしまえば、何週間、場合によっては何か月間もも拘束されて、判決や処分の内容によっては何年も刑務所や少年院に入ってしまうようなことです。「闇バイト」という誘いで犯罪に関わることが絶対にないようにしてください。

次回の記事では今回紹介した事例で、保釈許可や執行猶予付きの判決を獲得するために実際に弁護士が行った弁護活動日ついて紹介させていただきます。




兵庫県豊岡市の特殊詐欺事件で少年院に送致されることが決定した事例 少年院での処遇について⑫

2024-12-05

【事例】
Aさんは、兵庫県豊岡市に住む17歳の男子高校生です。
ある日、AさんはSNS上である投稿を見つけました。
それは、ある物を受け取って運ぶだけで何万円もの報酬を支払うといういわゆる闇バイトを募集する投稿でした。
犯罪かもしれないと思いながらその募集に応募したAさんは、兵庫県内や鳥取県内でいわゆる特殊詐欺に何件も加担してしまいました。
高齢の方が住む自宅に赴いてキャッシュカードをすり替えて盗んだり、そのキャッシュカードを使って何百万円ものお金を引き出して盗んだりしたのです。
その後、鳥取県内の警察署に逮捕、勾留され、再逮捕もされました。
捜査を受けた後、最終的に神戸家庭裁判所豊岡支部に事件が係属し、神戸少年鑑別所に収容するという観護措置が取られました。
そして、神戸家庭裁判所豊岡支部は、Aさんの少年審判を行い、少年院に送致するという処分を決めました。

AさんやAさんの家族は、少年院に送致するという処分自体には納得していましたが、少年院ではどのようなことをするのか、どこの少年院に行くことになるのか、どのくらいの期間行くことになるのかなどが知りたいと思い、それまでもAさんの弁護人、付添人であった弁護士に相談することにしました。
(事例はフィクションです。)

1 はじめに

前回の記事では、定められた処遇期間で、どのような処遇を受けていくのかについて解説をしてきました。
今回の記事では、前回行った新入時期の解説に引き続き、中間期、出院準備期についてみていきます。

2 中間期

中間期は、新入時期におけるせいかを踏まえて、個々の少年の特質や教育の必要度合いに応じた矯正教育が実施されます。
教科指導や職業指導といったものもこの期間に行われます。
教科指導としては、学校教育法による学校教育の内容に準じる内容の指導(少年院法26条1項)が行われて行きます。

少年院での処遇期間のうち、最も長い期間を占めるのがこの中間期です。
仮に処遇期間が11カ月だとすると、新入時期は約2ヶ月、この中間期は約6ヶ月になることが多いようです。

3 出院準備期

出院準備期では、その少年ごとの必要性に応じた進路指導が行われていきます。

就職を希望する少年であれば、仕事の探し方も含めた具体的な指導が行われます。
場合によっては、ハローワークとも少年院が連携をしたり、雇用主との面接が行われたりといったことも行われます。
進学を希望する少年であれば、受験指導も行われますし、受験のために外出することもあります。
他にも進路が未定の少年に対しては情報提供を行うなど、個々の少年に応じたきめ細やかな指導がされていきます。

また、進路指導以外にも、外出をともなう社会奉仕活動や社会見学などといった少年院外での活動が行われることもあります(少年院法44条、45条)。

それに加えて、社会適応訓練も活発に行われているようです。
例えば、社会に戻った際に、また非行を行ってしまいそうになる場面を予想し、その場面で適切な対処ができるように、ロールプレイングを行ったり、集団で議論を行ったりすることも行われています。

以上が少年院での処遇の概要になります。
個々の少年の特性や状況に応じて、きちんと段階を踏みながら、相応の時間をかけて働きかけを行っていることがわかると思います。
Aさんのように、残念ながら少年院に行くことになってしまった場合には、このような指導を受けながら社会復帰を目指していくことになります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件・少年事件に関わってきた経験を活かし、少年審判後の再犯防止に向けたサポートにも力を入れています。
再犯防止に向けた弁護士のサポートにご興味のある方は、一度、あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。例えば見守り弁護士という形で事件後の更生をサポートさせていただく活動を行っています。詳しくはこちらのページをご覧ください。

闇バイトに募集してしまい特殊詐欺事件に関わってしまった方に対する弁護活動について解説します②

2024-11-28

【事例】
 Aさんは、SNSで知り合った友人から、一日で稼げるアルバイトがあると紹介されました。Aさんは、それに応じまして、アルバイトの依頼人と繋がりました。最初は普通の仕事だと思っていたものの、だんだん特殊詐欺など危ない事件だと気づき始めましたが、学生証などの個人情報を依頼人に提供しており、アルバイトを拒否すれば自分や家族に危害を加えられるかもしれないと思って、断ることができませんでした。
(事例はフィクションです)

 今回の記事では、前回の記事に引き続きこの事例をもとに、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所であれば、闇バイトに関わってしまった方に対してどのようなサポートをして差し上げられるか、あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士が解説します。
 闇バイトの危険性についてはこちらの警察庁のページでも注意喚起されています。当然ですが闇バイトには絶対に関わらないようにしてください。

1 闇バイトに関わってしまった方に対する弁護活動

 闇バイトに関わってしまった場合の弁護活動については、まだ犯罪を実行している場合と実行していない場合でその方針が大きく異なりますので、以下のように場合を分けて解説させていただきます。

(1)まだ犯罪を行っていない場合
まだ犯罪を行っていない、言い換えると闇バイトに応募してしまっただけ、闇バイトの依頼者と連絡を取り合ったというくらいであれば、警察に逮捕されることはまずないと思って大丈夫でしょう。仮に闇バイトの依頼者から、危害を加えるなどの脅しを受けている場合、警察に相談することで寧ろ保護してもらえるかもしれません。

 したがって、応募してしまっただけ、連絡を取ってしまっただけというタイミングであれば、遠慮なく警察や役所の方に相談することをお勧めします。

 ただし、被害者である高齢者などの家の近くにまで行ってしまっているケースの場合、特殊詐欺の未遂罪という犯罪が成立している可能性もあります。確かに家の近くに行っただけではお金もキャッシュカードも受け取っていないのですが、それでも詐欺や窃盗の未遂という犯罪が成立して、逮捕されたり被疑者として扱われたりする可能性があります。

 単に連絡をとっただけでなく、いろいろと動き回るようなことをしてしまった場合には、警察などに相談する前にまず家族に打ち明けて弁護士と相談した方が良いでしょう。

(2)既に犯罪を実行してしまった場合

 上記の未遂のほか、実際に被害者である高齢者の家を訪問したりお金やキャッシュカードを受け取ったりしていると、犯罪が成立する可能性がとても高いです。

 仮に闇バイトの依頼者から脅されているなどの事情があっても、犯罪をしている以上、逮捕される可能性はそれなりに高いと思われます(もちろん自首などが成立する可能性はあります。)。

 自分で警察に行って逮捕されてしまうと家族や学校や職場に連絡が取れなくなってしまうので、まず家族に打ち明けて弁護士と相談した方が良いでしょう。弁護士から、自首が成立すること、家族が有利な証言をしていることなど必要な書類や資料を準備したうえで警察に出頭すれば、逮捕されたとしても周りとの連絡を円滑に取れるようにすることができますし、場合によっては逮捕を免れることができるかもしれません。

2 更生支援に向けた活動について

 ご家族の方としては事件が解決した後にも、また闇バイトの組織から連絡が来るのではないか、また軽い気持ちから闇バイトに関わってしまうのではないかと心配な方も多いと思います。ご本人様も同じような不安を抱えて生活をスタートしていくのではないのでしょうか。
 弊所では、事件後に再度犯罪に関わらないか月1度の連絡を取って確認する「見守り弁護士」の活動や、特殊詐欺に関わることの恐ろしさについて課題等を通じて理解してもらう「更生支援活動」を行っています。

 将来の真の更生向けて弁護士のサポートを希望される方、闇バイトの組織からの連絡が心配でいつでも弁護士に相談できる体制をとりたい方に対しても、ご希望に即した弁護活動を提供させていただきます。お気軽にお問い合わせください。

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、本件のような特殊詐欺事件を豊富に扱っており、そのノウハウを生かして最大県のサポートが可能です。

 悩まれている方はお気軽にこちらからお問い合わせください。

闇バイトに募集してしまい特殊詐欺事件に関わってしまった方に対する弁護活動について解説します①

2024-11-21

【事例】
 Aさんは、SNSで知り合った友人から、一日で稼げるアルバイトがあると紹介されました。Aさんは、それに応じまして、アルバイトの依頼人と繋がりました。最初は普通の仕事だと思っていたものの、だんだん特殊詐欺など危ない事件だと気づき始めましたが、学生証などの個人情報を依頼人に提供しており、アルバイトを拒否すれば自分や家族に危害を加えられるかもしれないと思って、断ることができませんでした。
(事例はフィクションです)

 この事例をもとに、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所であれば、闇バイトのおそろしさやどのようにして闇バイトに関わってしまうのか、闇バイトに関わってしまった方に対してどのようなサポートをして差し上げられるか、あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士が解説します。

1 闇バイトについて

 ここ最近、「闇バイト」という言葉が世間をにぎわすようになりました。ただ「闇バイト」という言葉自体は、数年前から存在しており、ツイッターで「闇バイト」と検索すると、いくつか怪しいツイートを発見することもできました。

 ここ最近になってこの言葉が広がったのは、東南アジアにいた特殊詐欺グループの重役が逮捕されて話題になったことや広域強盗団が現れ始めたことがきっかけでしょう。

 闇バイトに関わらないようにするための方策や闇バイトの恐ろしさについてはこちらの記事も参考にしてください。

2 どのように闇バイトに関わってしまうのか

 弊所では、「闇バイト」という言葉が広まる前から様々な特殊詐欺等の事件を扱ってきました。このブログの執筆者だけでも10件前後対応しているので、事務所全体ではもっと多いはずです。

 執筆者個人の経験では、
(1)最初から特殊詐欺など犯罪だと解っていて関与を始めたもの
(2)最初は特殊詐欺とは思っていなかったが実際にやってみると怪しい仕事だと解ったもの
(3)本当はやりたくないのに自分や家族への危害を仄めかされて犯罪をせざるを得なかったものなど、人によって様々です

 今回、例に挙げたAさんの場合、(3)に該当します。Aさんは、どう対応することが良いでしょうか。これについては、まだ犯罪を行っていないのか、それとも犯罪を行ってしまったのか、確認する必要があります。具体的な対応については次回の記事で詳しく解説させていただきます。

3 怪しい行動を見かけたら早急に弁護士に相談を

 Aさんのような事例の場合、犯罪に関わっていると分かっても誰かに相談することができないような状況にありました。中高生くらいのお子さんをお持ちのご家族としては、お子さんがこのような闇バイトに関わっていないか心配かと思います。もし急にだれか分からない人と会う約束することが増えた、急に金遣いや交友関係が派手になったという場合には高額の収入を得る闇バイトに関わってしまっている可能性があります。

闇バイトは事例のようになかなか周囲に相談できずに繰り返してしまう事例が少なくありません。先ほど言ったような兆候が見られたら是非ご家族で相談の上早急に弁護士にご相談いただくことをおすすめします。

あいち刑事事件総合法律事務所では初回無料で相談に乗らせていただきます。お気軽にご連絡ください。

兵庫県豊岡市の特殊詐欺事件で少年院に送致されることになった事例 少年院での処遇について⑤

2024-08-22

【事例】
Aさんは、兵庫県豊岡市に住む17歳の男子高校生です。
ある日、AさんはSNS上である投稿を見つけました。
それは、ある物を受け取って運ぶだけで何万円もの報酬を支払うといういわゆる闇バイトを募集する投稿でした。
犯罪かもしれないと思いながらその募集に応募したAさんは、兵庫県内や鳥取県内でいわゆる特殊詐欺に何件も加担してしまいました。
高齢の方が住む自宅に赴いてキャッシュカードをすり替えて盗んだり、そのキャッシュカードを使って何百万円ものお金を引き出して盗んだりしたのです。
その後、鳥取県内の警察署に逮捕、勾留され、再逮捕もされました。
捜査を受けた後、最終的に神戸家庭裁判所豊岡支部に事件が係属し、神戸少年鑑別所に収容するという観護措置が取られました。
そして、神戸家庭裁判所豊岡支部は、Aさんの少年審判を行い、少年院に送致するという処分を決めました。

AさんやAさんの家族は、少年院に送致するという処分自体には納得していましたが、少年院ではどのようなことをするのか、どこの少年院に行くことになるのか、どのくらいの期間行くことになるのかなどが知りたいと思い、それまでもAさんの弁護人、付添人であった弁護士に相談することにしました。
(事例はフィクションです。)

1 はじめに

前回の記事では、少年審判後の手続き、特に具体的にどこの少年院に収容されることになるのか、少年審判後に家庭裁判所から少年鑑別所に移っていく過程について解説をしていきました。
前回の記事を読まれたい方はこちらからお読みください。
今回の記事では、そのようにして少年鑑別所に移ってからの過程をより詳しく解説させていただきます。

2 少年鑑別所での手続き

前回解説してきたように家庭裁判所から執行指揮を受けた少年鑑別所長は、その少年を「収容すべき少年院を指定する」ことになります(少年鑑別所法18条1項)。

それでは、少年鑑別所長は、どのようにしてその少年を「収容すべき少年院」を決めるのでしょうか。
少年鑑別所法18条1項では、少年の「鑑別を行い」、「矯正教育課程」「その他の事情を考慮して」決めるとされています。

⑴ 矯正教育課程
少年院法では、法務大臣が、各少年院ごとに「その少年院において実施すべき矯正教育課程を指定する」とされています(少年院法31条)。
矯正教育課程とは、法務大臣が定める少年院における矯正教育全体に適用される計画で、「在院者の年齢、心身の障害の状況及び犯罪的傾向の程度、在院者が社会生活に適応するために必要な能力その他の事情に照らして一定の共通する特性を有する在院者の類型ごとに、その類型に該当する在院者に対して行う矯正教育の重点的な内容及び標準的な期間を定めたもの」です(少年院法30条)。
具体的には、「矯正教育課程に関する訓令(平成27年法務省矯少訓第2号大臣訓令)」というものの中に定められています。
この矯正教育課程については、また別の記事で解説していきます。

⑵ 少年の鑑別
主には、少年院に送致するという決定を受けた少年に対して、面接などを実施して行われることになります。

もともと観護措置が取られていた場合は、そのまま少年鑑別所で面接などを受けることになります。
一方で、観護措置が取られていなかった場合でも、執行指揮を受けた少年鑑別所の職員が行うことになるとされています。

次回の記事でも、収容される少年院が決まる過程についてさらに解説していきます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件・少年事件に関わってきた経験を活かし、少年審判後の再犯防止に向けたサポートにも力を入れています。
再犯防止に向けた弁護士のサポートにご興味のある方は、一度、あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

兵庫県豊岡市の特殊詐欺事件で少年院に送致されることになった事例 少年院での処遇について④

2024-08-15

【事例】
Aさんは、兵庫県豊岡市に住む17歳の男子高校生です。
ある日、AさんはSNS上である投稿を見つけました。
それは、ある物を受け取って運ぶだけで何万円もの報酬を支払うといういわゆる闇バイトを募集する投稿でした。
犯罪かもしれないと思いながらその募集に応募したAさんは、兵庫県内や鳥取県内でいわゆる特殊詐欺に何件も加担してしまいました。
高齢の方が住む自宅に赴いてキャッシュカードをすり替えて盗んだり、そのキャッシュカードを使って何百万円ものお金を引き出して盗んだりしたのです。
その後、鳥取県内の警察署に逮捕、勾留され、再逮捕もされました。
捜査を受けた後、最終的に神戸家庭裁判所豊岡支部に事件が係属し、神戸少年鑑別所に収容するという観護措置が取られました。
そして、神戸家庭裁判所豊岡支部は、Aさんの少年審判を行い、少年院に送致するという処分を決めました。

AさんやAさんの家族は、少年院に送致するという処分自体には納得していましたが、少年院ではどのようなことをするのか、どこの少年院に行くことになるのか、どのくらいの期間行くことになるのかなどが知りたいと思い、それまでもAさんの弁護人、付添人であった弁護士に相談することにしました。
(事例はフィクションです。)

1 はじめに

前回の記事では、収容される少年院が決まる過程を説明するために、少年審判で決めることについて解説をしていきました。
今回の記事では、少年審判後の手続き、特に具体的にどこの少年院に収容されることになるのかをより詳しくみていきます。

結論を先にお伝えすると、どこの少年院に収容されるのかを決めるのは、裁判所ではなく少年鑑別所になります。
少年鑑別所の概要や少年審判の流れにつきましてはこちらの法務省のHPも参考にしてください。
今回は、少年審判後に家庭裁判所から少年鑑別所に移っていく過程を解説していきます。

2 審判後の裁判所の手続き

家庭裁判所が少年審判で少年院に送致するという処分を決定した後、その少年院送致決定という決定を実行に移す手続きのことを執行といいます。
ややこしいのは、あくまで処分を実行するというわけではなく(実行するのはあくまで少年院となります。)、処分を実行する機関(少年院)への移行手続きをするということです。

少年事件においては、家庭裁判所が、「家庭裁判所調査官、裁判所書記官」などを指揮して、少年院送致決定という決定を執行させます(少年法26条、少年審判規則4条1項)。
具体的には、家庭裁判所の裁判官の指揮に基づいて、調査官や書記官などといった人々が具体的な執行担当者を指定し、その執行担当者が少年の身柄を指定された少年院に連れて行って、少年院に引き渡すことになります。

そして、この執行指揮は、通常、少年鑑別所長に対して行われます。
少年院送致決定となる少年は、Aさんのように観護措置が取られていることがほとんどです。
そのため、このような場合、収容されていた少年鑑別所少年鑑別所長に執行指揮がされます。
少年自身も、少年審判の後には一旦、それまで観護措置が取られていた少年鑑別所に戻ることになります。

問題はもし観護措置が取られていない場合です。
このような場合、家庭裁判所は、少年鑑別所までの執行を調査官や書記官に命じ、少年鑑別所から少年院までの執行を少年鑑別所長に命じることになるとされています。

次回の記事でも、収容される少年院が決まる過程についてさらに解説していきます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件・少年事件に関わってきた経験を活かし、少年審判後の再犯防止に向けたサポートにも力を入れています。
少年事件での付添人活動についてはこちらも参考にしてください。
再犯防止に向けた弁護士のサポートにご興味のある方は、一度、あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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