【事例】
Aさんは、神戸市内の大学に通う18歳の方で、兵庫県姫路市内のマンションで両親と一緒に生活しています。
Aさんは、大学近くの路上で女性に抱きつくという不同意わいせつ事件を起こしてしまいました。
その後、警察の捜査を受け、最終的に神戸家庭裁判所姫路支部は、Aさんを保護観察処分としました。
性犯罪は再犯率が高いというインターネット上の記事を読んだAさんの両親は、Aさんが今後、再犯をしないためにはどうしたらいいのか不安になりました。
そこで、Aさんと両親は、保護観察処分ではどのようなことをするのか、Aさんの再犯防止に向けてどのようなことができるのかを相談するために、あいち刑事事件総合法律事務所に相談することにしました。
(事例はフィクションです。)
このページの目次
1 保護観察処分とは
現在、成人となる年齢は18歳とされています(民法4条)。
しかし、少年法においては、「二十歳に満たない者」を「少年」と定めて(少年法2条1項)、少年法の適用対象としていますから、犯罪をしてしまった18歳以上20歳未満の方には、未成年の方と同様に少年法が適用されます。
そして、少年法は、18歳以上の少年に対する処分の1つとして、「保護観察所の保護観察に付する」という処分を設けています(少年法64条1項1号2号)。
保護観察というのは、少年を少年院などの施設に収容することはせずに、家庭や職場などに任せたまま、継続的に指導や監督などをすることで、社会内で少年の改善更生を目指す処分です。
保護観察や、少年事件の流れなどについてより詳しく知りたい方は当事務所の少年事件に関するページも参考にしてみてください。
2 保護観察処分を担当する者
保護観察を担当する機関は、少年の住居地を管轄する保護観察所です(更生保護法60条)。
実際に保護観察を実施するのは、保護観察所の保護観察官や保護司と呼ばれる方です(更生保護法61条1項)。
保護観察官は、「医学、心理学、教育学、社会学その他の更生保護に関する専門的知識に基づき」「犯罪をした者及び非行のある少年の更生保護並びに犯罪の予防に関する事務に従事する」国家公務員です(更生保護法31条2項)。
一方の保護司は、「保護観察官で十分でないところを補い」、保護観察所などの所掌事務に従事することを役割としています(更生保護法32条)。
非常勤かつ無給の国家公務員ですが、誰でもなれるわけではありません。
保護司は、①「人格及び行動について、社会的信望を有すること」、②「職務の遂行に必要な熱意及び時間的余裕を有すること」、③「生活が安定していること」、④「健康で活動力を有すること」という条件を全て満たす必要があります(保護司法3条1項)。
そして、保護司選考会の意見を聴いた保護観察所長の推薦を受け、法務大臣またはその委任を受けた地方更生保護委員会の委員長に委嘱されて初めて保護司となることができます(保護司法3条)。
3 保護観察ですること
保護観察処分を受けると、月に2回程度、担当の保護司のもとを訪れて、その指導を受けることが多いです。
また、保護観察の処分を受けた場合、いくつか日常生活で守らなければいけないルール(「遵守事項」といいます。)が設定されます。
遵守事項には、一般遵守事項と特別遵守事項の2種類があります。
一般遵守事項は、「再び犯罪をすることがないよう、又は非行をなくすよう健全な生活態度を保持すること」(1号)や「保護観察官又は保護司の呼出し又は訪問を受けたときは、これに応じ、面接を受けること」(2号イ)などと法律で定められています(更生保護法50条)。
特別遵守事項は、一般遵守事項以外にも、特別に遵守すべき事項がある場合に、具体的に定められます(更生保護法51条)。
Aさんのように、いわゆる性犯罪を理由に保護観察となった場合には、「性犯罪再犯防止プログラム」の受講を特別遵守事項として義務付けられることがあります。
この「性犯罪再犯防止プログラム」については、別の記事で詳しく解説します。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件・少年事件に関わってきた経験を活かし、保護観察中のサポートにも力を入れています。
少年事件で保護観察処分を受けた後についても、少年事件を担当した弁護士がそのまま保護観察中にも継続的に面談を行い更生の支援をサポートする顧問契約もご用意しています。
性犯罪を起こしてしまった方で今後更生していけるか心配な方や、保護観察中の弁護士のサポートにご興味のある方は、一度、あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。