兵庫県姫路市の不同意わいせつ事件 保護観察中の性犯罪再犯防止プログラムについて解説します

【事例】
Aさんは、神戸市内の大学に通う18歳の方で、兵庫県姫路市内のマンションで両親と一緒に生活しています。
Aさんは、大学近くの路上で女性に抱きつくという不同意わいせつ事件を起こしてしまいました。
その後、警察の捜査を受け、最終的に神戸家庭裁判所姫路支部は、Aさんを保護観察処分としました。
性犯罪は再犯率が高いというインターネット上の記事を読んだAさんの両親は、Aさんが今後、再犯をしないためにはどうしたらいいのか不安になりました。
そこで、Aさんと両親は、保護観察処分ではどのようなことをするのか、Aさんの再犯防止に向けてどのようなことができるのかを相談するために、あいち刑事事件総合法律事務所に相談することにしました。
(事例はフィクションです。)

前回の記事では少年事件での保護観察処分について詳しく解説させていただきました。
今回の記事ではその保護観察の内容をさらに掘り下げて、性犯罪事件を起こした少年を対象にするプログラムについて解説させていただきます。
少年事件の流れや弁護活動についての一般的な解説はこちらのページも参考にしてください。

1 特別遵守事項について

前回の記事で、Aさんが受ける保護観察について解説をしてきました。
そして、Aさんのようにいわゆる性犯罪を理由に保護観察となった場合、特別遵守事項(保護観察にあたって、日常生活で守らなければならないルールとして設定されるもの)として(更生保護法51条)、「性犯罪再犯防止プログラム」の受講が義務づけられることがあります。
今回はその「性犯罪再犯防止プログラム」の対象について解説していきます。

2 「性犯罪再犯防止プログラム」とは

性犯罪再犯防止プログラム」とは、いわゆる性犯罪の再犯率の抑制を目指して、保護観察所が実施している認知行動療法に基づいたプログラムです。
令和4年の3月までは、「性犯罪者処遇プログラム」と呼ばれていました。

この「性犯罪再犯防止プログラム」では、数カ月間かけ、段階的にプログラムを実施していきます。
また、いわゆる性犯罪を理由に保護観察を受けた人だけではなく、家族に対するプログラムも実施されることがあります。
このようなプログラムを通じて、受講者の方は性的欲求をコントロールする術を身につけていくことになります。
詳しいプログラムの内容については、また別の記事で解説します。

3 「性犯罪再犯防止プログラム」の対象者

①対象として定められている一部の犯罪を行った方で、②保護観察処分を受けた方が、一部の例外を除き、保護観察所における「性犯罪再犯防止プログラム」の対象となります。

⑴ 対象となる犯罪
まず、保護観察処分を受けた理由に、不同意わいせつ罪(刑法176条)、不同意性交等罪(刑法177条)、監護者わいせつ及び監護者性交等(刑法179条)、不同意わいせつ等致傷(刑法181条)、強盗・不同意性交等及び同致死(刑法241条)が含まれる場合です。
それだけでなく、下着窃盗や住居侵入など、罪名に関わらず、犯罪の原因・動機が性的欲求に基づく場合も対象となります。

⑵ 保護観察処分のバリエーション
まず、少年法は、18歳以上の少年に対する処分の1つとして、「保護観察所の保護観察に付する」という処分を設けています(少年法64条1項1号2号)。
ただし、「性犯罪再犯防止プログラム」の対象となるのは、保護観察処分を受けた少年のうち、18歳以上で、必要性が認められる場合に限られます。

しかし、少年が保護観察処分を受けるのはこの場合だけではありません。
少年院から仮退院を許されて保護観察に付される場合もあります(更生保護法48条2号)。
18歳以上で、必要性が認められる場合に限られるのは同様です。

また、成人だったとしても、仮釈放を許されて保護観察に付される場合(更生保護法48条3号)、保護観察付の執行猶予の判決を受けた場合(更生保護法48条4号)には、保護観察に付されることになります。

⑶ Aさんの場合
Aさんは、18歳以上で、不同意わいせつ罪という対象の犯罪で保護観察処分を受けていますから、必要性が認められれば、この「性犯罪再犯防止プログラム」の対象として、特別遵守事項で受講が義務づけられる可能性があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件・少年事件に関わってきた経験を活かし、保護観察中のサポートにも力を入れています。
通常の刑事弁護活動に加えまして、審判後の方を対象に再犯防止の計画を一緒に立て、課題を実施し、審判後も継続的に面談を実施する顧問契約もご用意しています。
再犯防止に向けた計画や課題の内容は、直接面談を実施させていただき、対象となる方お一人お一人に合わせて全てオーダーメイドで内容を準備させていただきます。
保護観察中の弁護士のサポートにご興味のある方は、一度、あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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