Archive for the ‘更生支援・出口支援’ Category
特殊詐欺に加担してしまった少年事件における少年院送致回避に向けた弁護活動・付添人活動
【事例】
未成年者のAさんは、先輩から特殊詐欺の仕事を紹介されて、これを行ってしまいました。
具体的な内容は、指示役からの電話に従って、高齢者の家に行き、段ボール箱1箱を受け取るという仕事です。
Aさんとしては、そのようなことをしたくなかったのですが、先輩から「俺の代わりにこの仕事をしてくれる人を探している。今までよくしてやったのだから、お前がやるよな。」と強く言われて断れなかったからです。
結局、Aさんは、詐欺罪で逮捕されてしまいました。
Aさんや家族は、少年院に行くことだけは避けたいと思っています。
どうすれば良いでしょうか。
(事例はフィクションです)
この事例をもとに、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所であれば、Aさんの審判の対応について、今後の更生について交えながら解説します。
少年事件に関する詳しい弁護活動についてはこちらのページも参考にしてください。
特殊詐欺事件では少年事件であっても厳しい処分が下される可能性が高いです
まず20歳未満の人が犯罪をした場合、少年法が適用され、少年事件として扱われます。
大人では刑務所に入ってしまうのと同じように、少年は、少年院というところに入れられてしまうかもしれません。
そして、Aさんのように特殊詐欺をしてしまった少年は、少年院に入ることになる可能性が十分あります。
これは特殊詐欺が社会問題化して厳罰化の流れがあること、特殊詐欺に加担するケースでは交友関係や本人の規範意識にに問題があると判断されるケースが多い傾向にあることなどが理由になっているようです。
ですから、本当にしっかりとした対応をしないと、少年院送致を回避すること回避はできませんし、一生懸命頑張っても少年院に送致されてしまうことも珍しくないです。
もし特殊詐欺事件に加担したとして逮捕された場合には、早いうちから少年院に行かなくて済むようやれることをしっかりしていく必要があります。
特殊詐欺事件で弁護士はどのような事情を家庭裁判所に主張するか
Aさんの場合、弁護士から色々と主張することになります。
特殊詐欺事件で責任の重さを図る事情として主なものとしては以下のような事情があります。
・特殊詐欺に成功したのか
・成功したとして被害額はどれくらいなのか
・被害者に対しいくら賠償できているのか
・逮捕されるまでに何回くらい特殊詐欺をしているのか
・そもそも段ボールの中身を何と認識していたのか
早期に弁護士がつくことで上記の点について不利な調書が作成されることを回避する、被害者に対し賠償や示談を行っていくなどの弁護活動を受けることができます。
このように既にしてしまったことの分析も大切ですが、少年事件では今後どうするかということも大切です。少年事件において、家庭裁判所が処分を決める際に関心を持つ事項としては次のような事情があります。
・なぜ事件を起こしてしまったのか家族と話し合えているか
・今後犯罪をしないために家族はどうサポートするつもりか?
・今回特殊詐欺をしてしまった原因をどうやってなくすことができるか?
以上のような事情について、今後再犯をしないためにどのように改善していけるかが少年事件において処分を決める上で重要になります。
事例のケースにおける弁護活動
事例のAさんの場合、なかなか強く意見することができない先輩からの依頼を断れずに特殊詐欺に関与してしまっています。
Aさんを少年院に入れるかどうか判断する裁判官としては、この先輩との関係をどうやって断ち切るか、またその先輩以外にも不良交友がないか気にしてきます。
ですので、Aさんの弁護士としては、その先輩との関係はもちろん不良交友をなくすためにはどうすれば良いか、一緒に考えることになります。
しかしAさんの場合、今後も先輩から色々と接触される可能性が十分あります。大人であれば、誰かと縁を切ることも可能かもしれませんが、未成年者同士だといったんは会わなくなったけどSNSでまた接触してしまうということもあり得ます。
一方で、常に家族だけで子供の様子を見張るのも限界があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、Aさんのような方の審判対応や今後の更生を見据えて、身元引受業務を内容とする顧問契約のサービスを提供しています。
この顧問契約は、一定の期間(半年にするか、1年にするか、もっと長くするかは話合いで決めます。)、Aさんと弁護士が密に連携して、先輩から接触を受けていないかという確認をすること、先輩から接触があった場合には相談を受けて防衛のための協議をすることを行います。
もちろんそれ以外にも、最近の生活状況について丁寧に確認し、再犯防止のためのアドバイスをしていくことになります。
「このような身元引受業務を裁判が終わった後もしっかり続けますよ」ということを少年事件の裁判官にしっかりと伝えると、裁判官に対してもある程度の安心材料になるため有利な事情となってきます。
少年院送致も考えられた事例で、弁護士による継続的なサポートと監督を主張したことが考慮されて、試験観察処分を獲得し少年院送致を回避した事例もあります。
もちろんこういった業務をするからといって確実に少年院を避けられるわけではありません。それくらい特殊詐欺で少年院回避は大変です。
少しでも少年院回避の可能性を高めるためにも、また今後の更生のためにも弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、全力でサポートをさせていただきます。
ご関心があれば、いつでもお問い合わせください。
三重県名張市の強盗傷人事件 少年院で行われる社会復帰支援の内容について紹介します
【事例】
Aさんは、三重県名張市に住む17歳の高校生でしたが、友人らと一緒になって、老夫婦が住む三重県桑名市の一軒家に押し入り、老夫婦を殴ったり、蹴ったりといった暴行を加えて、現金100万円を奪い去りました。
このAさんたちの暴行により、老夫婦は骨を折るなどの怪我を負ってしまいました。
Aさんは、この強盗傷人事件を起こしたことで警察に逮捕されて捜査を受けました。
その後、津家庭裁判所に送致され、Aさんはこの強盗傷人事件で審判を受けることになりました。
Aさんは、この強盗傷人事件を起こす以前にも傷害事件を起こして保護観察処分を受けていたこともあって、少年院に送致されることになりました。
ところで、Aさんの両親は既に交通事故で他界しており、身寄りは高齢の祖母だけです。
Aさんの祖母は、何とかAさんの力になりたいと思っていますが、年齢や体調のこともあり、少年院から出てきた後のAさんの監督を十分にできるのか不安に思っていました。
場合によっては、交通の便が悪く、周囲に就業先も見当たらない自分の家に住まわせるよりも、別のところに住んでもらうのがいいのではないかということも考えています。
そこで、Aさんの祖母は、少年院から出てきたとき、Aさんにどのように生活してもらうのがいいのか、あいち刑事事件総合法律事務所に相談することにしました。
(事例はフィクションです)
今回の事例は17歳の少年を対象にしましたが、仮に少年が18歳または19歳であった場合には現行の改正少年法においては特定少年という扱いになり、今回の事例のように強盗傷人罪を犯した場合には成人と同じ手続きにより審理される場合もあります。特定少年事件に関する詳しい説明につきましてはこちらのページも参考にしてください。
1 はじめに
前の記事で、出院(法律的な意味で少年院での拘束状態が解かれることをいいます。)の種類や、少年院による社会復帰支援が求められている理由や実情について解説してきました。
前回の記事についても興味がある方はこちらからお読みください。
今回は、少年院による社会復帰支援の内容について解説していきます。
2 少年院による社会復帰支援
⑴ 少年院が社会復帰支援をする根拠と対象者
以前の記事で、少年院から出院した場合の暮らす場所(住居など)や社会の中での居場所(就職先や学校など)が、その後の更生のためにも重要であることは解説してきました。
そして、少年院法44条1項柱書では、「少年院の長は、在院者の円滑な社会復帰を図るため、出院後に自立した生活を営む上での困難を有する在院者に対しては、その意向を尊重しつつ、」支援を行うとされています。
そのため、「出院後に自立した生活を営む上での困難を有する在院者」を対象に、少年院も出院後の社会復帰支援を行うことになります。
⑵ 社会復帰支援の内容
少年院法44条1項では、少年院の長が行う社会復帰支援の内容として、次のものを定めています。
①「適切な住居その他の宿泊場所を得ること及び当該宿泊場所に帰住することを助けること」(1号)
②「医療及び療養を受けることを助けること」(2号)
③「修学又は就業を助けること」(3号)
④以上の①から③のほか、「在院者が健全な社会生活を営むために必要な援助を行うこと」(4号)
①の具体的な例としては、親族の誰に引受人となってもらうのがいいのか、それとも親族ではなく、雇用主や更生保護施設、福祉施設に引受人となってもらうのがいいのかなどといったことを考え、引受人を確保すること(帰住先調整ということがあります。)などが挙げられます。
②の具体的な例としては、継続的な医療を受ける必要がある者に対して通院や入院が可能な病院を確保することや、障害者手帳等の取得が必要な者に対して取得手続きを補助することなどが挙げられます。
③の具体的な例としては、進学や復学を望むのであれば学校と調整を図ったり、就職を望むのであればハローワークや受入れ可能な雇主と調整を図ることなどが挙げられます。
少年院の社会復帰支援については、今後の記事でも解説していきます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件・少年事件に関わってきた経験を活かし、再犯防止に向けたサポートにも力を入れています。
具体的には少年事件に対する審判が終わった後についても、課題を出して取り組んでもらう、不良交友が再開しないように定期的に面談を行い確認するなどの更生支援活動を顧問として行っていきます。
少年院の出院後の社会復帰についてご興味のある方は、一度、あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
三重県名張市の強盗傷人事件 少年院で行われる社会復帰支援の必要性について解説します
【事例】
Aさんは、三重県名張市に住む17歳の高校生でしたが、友人らと一緒になって、老夫婦が住む三重県桑名市の一軒家に押し入り、老夫婦を殴ったり、蹴ったりといった暴行を加えて、現金100万円を奪い去りました。
このAさんたちの暴行により、老夫婦は骨を折るなどの怪我を負ってしまいました。
Aさんは、この強盗傷人事件を起こしたことで警察に逮捕されて捜査を受けました。
その後、津家庭裁判所に送致され、Aさんはこの強盗傷人事件で審判を受けることになりました。
Aさんは、この強盗傷人事件を起こす以前にも傷害事件を起こして保護観察処分を受けていたこともあって、少年院に送致されることになりました。
ところで、Aさんの両親は既に交通事故で他界しており、身寄りは高齢の祖母だけです。
Aさんの祖母は、何とかAさんの力になりたいと思っていますが、年齢や体調のこともあり、少年院から出てきた後のAさんの監督を十分にできるのか不安に思っていました。
場合によっては、交通の便が悪く、周囲に就業先も見当たらない自分の家に住まわせるよりも、別のところに住んでもらうのがいいのではないかということも考えています。
そこで、Aさんの祖母は、少年院から出てきたとき、Aさんにどのように生活してもらうのがいいのか、あいち刑事事件総合法律事務所に相談することにしました。
(事例はフィクションです。)
1 少年院から出ること
少年院に送致された少年が、(物理的に少年院から外に出るという意味ではなく、)法律的な意味で少年院での拘束状態が解かれることを「出院」と表現しています。
出院のバリエーションとしては、①仮退院(少年院法135条)、②退院(少年院法136条、136条の2)、③収容継続(少年院法137条、138条、139条)などがあります。
このうち、最も多いのは①仮退院で、少年院在院者のほとんどが仮退院で出院します。
仮退院の手続きの流れについて詳しく知りたい方はこちらのページも参考にしてください。
なお、「収容継続」というのは、法律で定められた少年院での収容期間(原則として少年が20歳になるまでです。)では、矯正教育の目的が達成できず、少年保護の観点からはその期間を延長し、矯正教育の目的が達成できるようにするためなど、特別な場合として収容期間を継続することです。
2 少年院による社会復帰支援
⑴ なぜ社会復帰支援が求められているか
少年院送致という処分は、懲役刑や罰金刑といった成人事件の刑罰とは性質が異なります。
少年院での矯正教育は、「在院者の改善更生及び円滑な社会復帰を図ることを目的」として行われます(少年院法1条)。
そのため、罰を与えることだけを目的としているのではありません。
それでは、社会復帰のためにはどのようなことが必要でしょうか。
まずは暮らす場所が必要です。
人が社会の健全な一員として社会生活を送るためには、住居等の宿泊場所の存在は欠かせません。
また、社会内の居場所も必要です。
具体的には、少年のことを助けてくれる人物や、学校や勤務先といった居場所も重要です。
このような場所がないと、少年院を出てからも社会に馴染むことができずに、最終的には再び非行に及んでしまうかもしれません。
⑵ 出院者の実情
それでは、実際に少年院から出院した人はどうしているのでしょうか。
実は、実父母や養父母以外の方のもとに居住する人も一定数います。
2022年の「少年矯正統計調査」(https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00250006&tstat=000001012846&cycle=7&year=20220&month=0&tclass1=000001012848)によると、同年の出院者1363人のうち、雇主が引受人となっているのが89人、更生保護施設・自立準備ホームが引受人となっているのが93人、福祉施設が引受人となっているのが59人となっています。
また、出院者の進路としては、同じく2022年の「少年矯正統計調査」によると、就職決定が502人、復学決定が67人、進学決定が16人と半数近くに上ります。
加えて、就職先や進学先は決まっていないものの、就職希望が564人、進学希望が174人に上ります。
その一方で、その他の進路に進む者は21人、未定の者は19人にとどまります。
以上のように、親族以外が引受人となる場合が一定程度ある一方で、進路が不明瞭な状態で出院となる場合は限定的だとわかります。
少年院の社会復帰支援については、今後の記事でも解説していきます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、多数の刑事事件・少年事件に関わってきた経験を活かし、再犯や再非行の防止に向けたサポートにも力を入れています。
今回の事例であれば少年が事件に関わってしまった背景などについて面談を重ねて課題に取り組む、一緒に非行をした友人との人間関係を断つための監督をするといった更生に向けたサポートを顧問という形で行わせていただきます。
少年院の出院後の社会復帰支援、更生支援についてご興味のある方は、一度、あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
大津市の公然わいせつ事件 公認心理士とはどのような資格ですか?何の専門家ですか?
【事例】
Aさんは、20代の男性で、大津市内のマンションに両親と一緒に暮らしています。
Aさんは、仕事のストレスから、自暴自棄な気持ちになってしまい、自宅近くの路上で陰部を露出して通行人の女性に見せつけるという公然わいせつ事件を複数回にわたって起こしてしまいました。
通行人の女性から相談を受けた警察が捜査に乗り出し、犯人としてAさんが浮上して取調べを受けるなどしました。
その結果、Aさんは大津簡易裁判所で略式裁判のうえで罰金の判決を受けました。
幸運なことに職場に事件が発覚することはありませんでした。
また、検察官や警察官からは、「次に同じような事件を起こしたら正式な裁判を受けてもらうことになる。」といった趣旨の話もされていました。
そのため、Aさんや両親は、もしもまた事件を起こしてしまった場合、今度こそ職場に発覚するのではないか、二度と事件を起こさないためにはどうすればいいのか心配になりました。
そこで、Aさんと両親は、二度と事件を起こさないためにどうしたらよいのかを相談するため、あいち刑事事件総合法律事務所に相談することにしました。
(事例はフィクションです。)
1 はじめに
以前の記事で、Aさんが“カウンセラー”の力を借りるという方法が考えられること、“カウンセラー”、つまり、心理学の専門家の種類について解説していきました。
今回は、そのうちの1つである公認心理師について見ていきましょう。
2 公認心理師とは
公認心理師は、公認心理師法で定めらえた国家資格です。
公認心理師とは、「保健医療、福祉、教育その他の分野において、心理学に関する専門的知識及び技術をもって、」次の行為を業とする者をいいます(公認心理師法2条柱書)。
①心理に関する支援を要する者の心理状態を観察し、その結果を分析すること(公認心理師法2条1号)
②心理に関する支援を要する者に対し、その心理に関する相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うこと(公認心理師法2条2号)
③心理に関する支援を要する者の関係者に対し、その相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うこと(公認心理師法2条3号)
④心の健康に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供を行うこと(公認心理師法2条4号)
公認心理士に関しましてはこちらの厚生労働省のHPも参考にしてください。
3 公認心理師になる方法
公認心理師になるためには、公認心理師試験に合格せねばなりません(公認心理師法4条)。
もっとも、この試験は誰でも受けられるわけではありません。
いくつかの例外的な方法もありますが、代表的なのは次の2つでしょう。
1つは、4年制大学で特定の科目を履修したうえで卒業し、かつ、大学院で特定の科目を履修したうえで修了する方法です(公認心理師法7条1号)。
もう1つは、4年制大学で特定の科目を履修したうえで卒業し、かつ、法律で定められた施設で2年以上の実務経験を積む方法です(公認心理師法7条2号)。
以前の記事で解説をした臨床心理士も、公認心理師と同じく、臨床心理士養成に関する指定大学院を修了するなどして受験資格を取得したうえで、資格試験に合格する必要があります。
国家資格と民間の資格という違いはありますが、公認心理師も臨床心理士も大学院での勉強やそれに相当するような経験を積んだうえで、資格試験にも合格しなければ取得できないという点で共通しています。
その分、これらの資格を持つ方は、カウンセリングをはじめとする心理の専門性が高い方だということがいえるでしょう。
様々な専門家から多角的にサポートを得ることは、再犯防止に向けても有効でしょう。
心理の角度からは、カウンセリングを担当する方の持っている資格の種類により、受けられるカウンセリングの専門性の高さが変わる可能性があります。どのような方に相談すればいいか分からずにお困りの方も、あいち刑事事件総合法律事務所では様々な専門家の方と連携してきた豊富な実績がありますので、まずは一度ご相談いただければと思います。
そして、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件・少年事件に関わってきた経験を活かし、再犯防止に向けたサポートにも力を入れています。
具体的には刑事事件事件終了後にも、担当した弁護士が継続的に更生に向けたアドバイスや課題の実施をさせていただく顧問契約をご用意しています。
心理の角度だけではなく、法律の角度からもサポートを受けるかどうかについてご興味のある方は、一度、あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
覚醒剤所持事件の再犯 二度と再犯をしないために行うべきにはどのような対策が必要ですか?
【事例】
Aさんは、仕事のストレスで覚醒剤を使用していたことが発覚し、覚醒剤所持の罪で逮捕されてしていました。
Aさんの覚醒剤使用で裁判になるのは2回目です。1回目の裁判では執行猶予付きの判決が下されており、猶予期間満了から3年目で再度の覚醒剤使用が発覚し起訴されました。
Aさんは、前回の裁判で覚醒剤にはもう関わらないことを約束し、裁判官からも次は刑務所に入ることになるので覚醒剤をしないようにと注意されていました。
Aさんは、裁判後猶予期間が満了するまで真面目に仕事をこなして覚醒剤と縁を切る生活をしていたのですが、猶予期間満了から2年ほどしたタイミングで覚醒剤を使い始め、猶予期間満了から3年目くらいでまた裁判になってしまったのです。
10日間の勾留後、Aさんは無事に保釈されましたが、今後の裁判や服役後の生活をどうすればよいか心配になり、裁判を担当してくれる弁護士に相談することとしました。
(事例はフィクションです)
この事例をもとに、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所であれば、裁判後にサポートをAさんにして差し上げられるか、解説します。
なお、裁判に関する活動については、前回の記事をご確認ください。
薬物事件の再犯防止には何が必要か
覚醒剤などの薬物を繰り返し裁判にまでなってしまった場合、裁判の場では、ほとんどすべての方が「もう二度とやりません。」と証言します。そしてしばらくは真面目に生活するはずです。
しかし、一度薬物を使ってしまった人は、他の人とどうしても違うところがあります。
これには薬物の強い依存性に原因があります。ですので「薬物をやめたい」という気持ちだけでは、薬物使用を再開してしまうリスクが非常に高いのです。
覚醒剤の危険性についてはこちらのサイトで詳しく説明していますので参考にしてください。
Aさんの例でいうと、普通の人であれば、仕事でストレスがたまると、ライブに行く、旅行に行く、美味しい料理やお酒を楽しむといったことを考えて、薬物を使おうとはつゆにも思わないのです。
しかし、Aさんのように一度薬物を使ってしまった人は、ストレスを感じた際に薬物が選択肢に入ってきてしまいます。
たとえ再度薬物使用で逮捕されれば刑務所に行くことになると分かっていても、薬物に手を出してしまう場合があるのです。これが薬物の依存性によるもので、再犯の一番の原因です。
つまり、覚醒剤をはじめとする薬物事件は、裁判を乗り越えればそれでおしまいというわけではなく、裁判が終わった後も薬物対策をしないと、ふとした時に薬物に再度手を出しかねないのです。
専門機関による薬物依存症に対する治療
今回のAさんのような場合、一人で再犯防止をできるとは限りません。なぜなら、先に述べたとおり、ふとした時に以前使った薬物というのを思い出してしまうからです。そして、思い出してしまうことは仕方ないのですが、大切なことは、思いついた覚醒剤を使わないということ、この使うか使わないかは自分の意思で決められるのです。
まずは薬物治療を受けましょう。近くのクリニックでは薬物治療をやっているとは限らないので、探すところからです。弁護士に相談して、どこが薬物治療を扱っているか、一緒に探すことも可能です。また、一人では通院をしなくなってしまうこともよくあります。なぜなら人は、慣れてくると面倒くさいという気持ちになってしまいやすい、そうするとふとした時に薬物をまた使ってしまう可能性が高まります。なので、弁護士が定期的に通院を促し、通院の記録を証拠として残すことも考えられます。
このように一人では再犯防止が不安という方のために、医療機関や弁護士がサポートをして、二度と薬物と関わらないように、刑務所に行くことがないよう努めていくことになります。
本来であれば、Aさんは、1回目の裁判が終わったタイミングで再犯防止のサポートしてもらえるような機関などを見つける活動をした方が良かったでしょう。
しかしながら、今後もAさんの人生は続いていきますし、薬物に二度と手を出さないための活動は非常に重要なものになります。
今回の記事では裁判を終えた後の活動を案内いたしました。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、今回のAさんのように、再犯を懸念している方のために顧問契約を締結して、担当弁護士による継続的な面談、通院、再犯防止に向けた課題の取組みなどのサポートを準備しております。
少しでも不安を抱えていらっしゃる方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
滋賀県大津市の公然わいせつ事件 臨床心理士とはどのような資格ですか?何の専門家ですか?
【事例】
Aさんは、20代の男性で、大津市内のマンションに両親と一緒に暮らしています。
Aさんは、仕事のストレスから、自暴自棄な気持ちになってしまい、自宅近くの路上で陰部を露出して通行人の女性に見せつけるという公然わいせつ事件を複数回にわたって起こしてしまいました。
通行人の女性から相談を受けた警察が捜査に乗り出し、犯人としてAさんが浮上して取調べを受けるなどしました。
その結果、Aさんは大津簡易裁判所で略式裁判のうえで罰金の判決を受けました。
幸運なことに職場に事件が発覚することはありませんでした。
また、検察官や警察官からは、「次に同じような事件を起こしたら正式な裁判を受けてもらうことになる。」といった趣旨の話もされていました。
そのため、Aさんや両親は、もしもまた事件を起こしてしまった場合、今度こそ職場に発覚するのではないか、二度と事件を起こさないためにはどうすればいいのか心配になりました。
そこで、Aさんと両親は、二度と事件を起こさないためにどうしたらよいのかを相談するため、あいち刑事事件総合法律事務所に相談することにしました。
(事例はフィクションです。)
1 はじめに
前回の記事で、Aさんが“カウンセラー”の力を借りるという方法が考えられること、“カウンセラー”、つまり、心理学の専門家の種類について解説していきました。
今回は、そのうちの1つである臨床心理士について見ていきましょう。
2 臨床心理士の専門業務
以前の記事でも解説したように、臨床心理士は公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会が認定する民間の資格です。
その公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会は、「臨床心理士資格審査規程」というものを定めており、その中で、臨床心理士に求められる専門業務を定めています。
具体的には次のようなものです。
⑴ 臨床心理査定
様々な心理テストや観察面接を行い、その人ごとに独自性、個別性がある固有の特徴や問題の所在を明らかにしていく行為や、心の問題で悩む人々をどのような方法で援助するのが良いかを考える行為を意味します。
⑵ 臨床心理面接
その人ごとの特徴に応じて、精神分析、集団心理療法、行動療法、認知療法、家族療法など様々な臨床心理学的技法を用いながら、その人の心の支援に資する行為です。
いわゆるカウンセリングを意味します。
⑶ 臨床心理的地域援助
特定の個人を対象とするのではなく、地域や学校、職場などといったコミュニティを対象に、コミュニティ全体を考慮した心の情報整理や環境調整を行う活動や、心理的情報を提供したり低減したりする活動を意味します。
⑷ ⑴から⑶に関する調査・研究
専門資質の維持・発展のために、臨床心理的調査や研究活動をしたり、ある特定の問題や課題に特化した事例研究をしたりといった自己研鑽を意味します。
以上は公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会のホームページ(http://fjcbcp.or.jp/rinshou/gyoumu/)を参考にしています。
3 臨床心理士の職域
臨床心理士は医療、教育、福祉、産業、そして司法と様々な分野で活動をしています。
医療の分野としては、病院の精神科や心療内科、保健所、精神保健福祉センターなどで活動しています。
心の問題で不適応に陥っている人などへのサポートが行われます。
教育の分野としては、スクールカウンセラーなど学校内の相談室や教育センターなどが挙げられます。
福祉の分野では、児童相談所や女性相談センターなどで心理的側面からの援助がされます。
産業の分野としては、企業内の相談室やハローワークなどで活動しています。
司法の分野では、少年鑑別所での心理的側面に関するテストや調査、心理面接などが行われています。
このように臨床心理士の方は民間の資格といえど、様々な領域に対する専門的な知見を持つ必要があるため、とても信頼できる資格になります。
また活動についても多角的な視点から今後の更生に向けたアドバイスを受けることができるので、再犯防止にも重要な役割を果たしていただくことができます。
弊所でも依頼者様の特性に合わせて臨床心理士の方と協力しながら更生に向けた計画を立てたり、公判後の対応について検討をしたりした活動例がございます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件・少年事件に関わってきた経験を活かし、再犯防止に向けたサポートにも力を入れています。
様々な専門家から多角的にサポートを得ることは、再犯防止に向けても有効でしょう。
弁護士のサポートにご興味のある方は、一度、あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
滋賀県大津市の公然わいせつ事件 カウンセリング受ける場合には誰にお願いすればいいの?
【事例】
Aさんは、20代の男性で、大津市内のマンションに両親と一緒に暮らしています。
Aさんは、仕事のストレスから、自暴自棄な気持ちになってしまい、自宅近くの路上で陰部を露出して通行人の女性に見せつけるという公然わいせつ事件を複数回にわたって起こしてしまいました。
通行人の女性から相談を受けた警察が捜査に乗り出し、犯人としてAさんが浮上して取調べを受けるなどしました。
その結果、Aさんは大津簡易裁判所で略式裁判のうえで罰金の判決を受けました。
幸運なことに職場に事件が発覚することはありませんでした。
また、検察官や警察官からは、「次に同じような事件を起こしたら正式な裁判を受けてもらうことになる。」といった趣旨の話もされていました(刑罰の種類に関する詳しい解説に関してはこちらも参考にしてください)。
そのため、Aさんや両親は、もしもまた事件を起こしてしまった場合、今度こそ職場に発覚するのではないか、二度と事件を起こさないためにはどうすればいいのか心配になりました。
そこで、Aさんと両親は、二度と事件を起こさないためにどうしたらよいのかを相談するため、あいち刑事事件総合法律事務所に相談することにしました。
(事例はフィクションです。)
1 はじめに
Aさんが公然わいせつ事件を起こした原因は、仕事のストレスから自暴自棄な気持ちになってしまったためだと言います。
今後Aさんが再犯せずに更生していくためには、ストレスに適切に対処することが重要になります。
このようなAさんの心の問題については、“カウンセラー”の手助けを受けるという方法が考えられます。
しかしながら、現代ではカウンセリングと一言で言っても様々な資格を持った方がカウンセリングの担当すなわち、‘‘カウンセラー‘‘をされています。
今回は、そのような“カウンセラー”、つまり、心理学の専門家の種類について解説していきます。
2 心理に関する資格の種類
心理に関する資格としては、
①公認心理師
②臨床心理士
③精神保健福祉士
④認定心理士
⑤産業カウンセラーなどその他の資格
が挙げられます。
この中で最も特異なのは①公認心理師です。
この公認心理師という資格は、日本で初めての心理に関する国家資格で、2017年に作られた認定心理士法という法律で作られた比較的新しい資格です。
この公認心理師については、別の記事で解説をします。
また、同じく③精神保健福祉士も精神保健福祉士法という法律に基づいて取得する国家資格です。
もっとも、精神保健福祉士は、「専門的知識及び技術をもって、精神科病院その他の医療施設において精神障害の医療を受け、又は精神障害者の社会復帰の促進を図ることを目的とする施設を利用している者の地域相談支援」「の利用に関する相談その他の社会復帰に関する相談に応じ、助言、指導、日常生活への適応のために必要な訓練その他の援助を行うこと」を業としてする者をいいます(精神保健福祉士法2条)。
そのため、精神科病院などから社会復帰する際のサポートに重点を置いている点で、他の資格とは方向性が違うものといえます。
その一方で、①臨床心理士、④認定心理士、⑤産業カウンセラーなどその他の資格は民間の資格になります。
3 臨床心理士
民間の資格とは言っても、臨床心理士の資格を取得するのは簡単ではありません。
臨床心理士の資格を取得するためには、公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会の資格試験に合格する必要があります。
しかし、この資格試験を受験するためにも条件があります。
例外もありますが、基本的には、臨床心理士養成に関する指定大学院を修了するか、専門職大学院を修了する必要があります。
また、資格を取得してからも、5年ごとに資格の更新をしなければなりません。
臨床心理士ができることについては、別の記事で解説します。
4 認定心理士
その一方で認定心理士とは、公益社団法人日本心理学会によって認定される資格ですが、心理学の専門家として仕事をするために必要な、最低限の標準的基礎学力と技能を修得しているという資格です(https://psych.or.jp/qualification/)。
同じ民間資格ではあるものの、臨床心理士のように指定大学院の修了が受験資格となっていたり、資格試験の合格が必要だったりする資格ではありません。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件・少年事件に関わってきた経験を活かし、再犯防止に向けたサポートにも力を入れています。
刑事弁護のご依頼を受けた際に、お近くで頼れるカウンセリングの専門家や心療内科をご紹介させていただく場合もあります。
様々な専門家から多角的にサポートを得ることは、再犯防止に向けても有効でしょう。
あいち刑事事件総合法律事務所では事件終了後の再犯防止、更生支援にも力を入れています。
カウンセリングだけでは解決できない相談や、事件を担当した弁護士にだからこそ話せる相談などもあるかと思います。
その場合、あいち刑事事件総合法律事務所では事件終了後も顧問契約という形で真の更生に向けたサポートをさせていただけます。
弁護士による更生に向けたサポートにご興味のある方は、一度、あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
兵庫県姫路市の不同意わいせつ事件 性犯罪再犯防止プログラムではどんなことをするの?
【事例】
Aさんは、神戸市内の大学に通う18歳の方で、兵庫県姫路市内のマンションで両親と一緒に生活しています。
Aさんは、大学近くの路上で女性に抱きつくという不同意わいせつ事件を起こしてしまいました。
その後、警察の捜査を受け、最終的に神戸家庭裁判所姫路支部は、Aさんを保護観察処分としました。
性犯罪は再犯率が高いというインターネット上の記事を読んだAさんの両親は、Aさんが今後、再犯をしないためにはどうしたらいいのか不安になりました。
そこで、Aさんと両親は、保護観察処分ではどのようなことをするのか、Aさんの再犯防止に向けてどのようなことができるのかを相談するために、あいち刑事事件総合法律事務所に相談することにしました。
(事例はフィクションです。)
1 はじめに
以前の記事で、いわゆる性犯罪を理由に保護観察を受けるAさんは、保護観察所の「性犯罪再犯防止プログラム」の対象となる可能性があるという解説をしてきました。
以前の記事の内容に興味を持っていただいた方はこちらから読んでいただけます。
今回は、その「性犯罪再犯防止プログラム」の内容について、さらに解説していきます。
2 認知行動療法について
「性犯罪再犯防止プログラム」は保護観察所が実施する認知行動療法に基づいたプログラムです。
この認知行動療法とは、ある状況に出くわした時に、私たちが持つ感情と行動が、その状況をどうとらえているか(つまり、「認知」)によって影響を受けることに着目した心理療法です。
認知行動療法の対象の方の感情や行動に影響を及ぼしている極端なとらえ方(歪んだ認知)を、対象の方と治療者が共同で確認します。
その上で、対象の方が、より現実的で幅広いとらえ方(認知)を自分自身で選択できるようにすることで、本来持っている力を発揮できることを目指すという心理療法です。
なお、認知行動療法に関する以上の記載は厚生労働省の「e-ヘルスネット」(https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-044.html)を参照しています。
3 「性犯罪防止プログラム」
「性犯罪防止プログラム」は、導入プログラム、コアプログラム、メンテナンスプログラムの三段階に分けて行われます。
⑴ 導入プログラム
保護観察処分を受けた方のうち、仮釈放を許されて保護観察に付された場合など、一度刑事施設に収容されて、そこで刑事施設でのプログラムを受講した方以外の方が受けるプログラムです。
プログラムの目的や概要の説明を受けたり、自分の事件当時の状況やこれからの目標などを確認することでコアプログラムへの動機付けを行なったりします。
原則的には、コアプログラムを実施する予定の保護観察官が、個別に面接形式で実施されるとされています。
⑵ コアプログラム
保護観察開始後、おおむね2週間に1回ほどの頻度で行われ、全5過程をおおむね3か月間で実施することになります。
具体的には、
①性加害のプロセス
②性加害に繋がる認知
③コーピング(対処方法)
④被害者の実情を理解する
⑤二度と性加害をしないために
という5過程が行われます。
①「性加害のプロセス」とは、性加害を起こすときの行動や気持ちなどを振り返り、自分が性加害を起こすパターンなどについて考えるものです。
②「性加害に繋がる認知」とは、性加害に繋がりやすい特有の認知があること、認知を選び直す方法について学ぶものです。
③「コーピング(対処方法)」とは、日常生活で上手くいかないときにどのように対処すればよいかを考えるものです。
④「被害者の実情を理解する」とは、性加害が被害者に及ぼす被害の実情について学び、被害者に対する認知の癖などを改めて考えるものです。
⑤「二度と性加害をしないために」とは、性加害をしないとともに、なりたい自分になるための再発防止計画をまとめるものです。
なお、コアプログラムにおいては、共通の指導のみでは対応困難な対象者に対して、その特性等を踏まえた指導も実施されます。
⑶ メンテナンスプログラム
保護観察官や保護司の定期的な面接を行い、コアプログラムまでで学んだことを復習したり、再発防止計画の点検や見直しを行なったりします。
なお、以上の記載は法務省のホームページ(https://www.moj.go.jp/hogo1/kouseihogoshinkou/hogo_hogo06_00002.html)に公開されている「刑事施設及び保護観察所の連携を強化した性犯罪者に対する処遇プログラムの改訂について(令和4年度~)」を参照しています。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、これまで数多くの刑事事件・少年事件に関わってきた経験を活かし、保護観察中のサポートにも力を入れています。
審判終了後後であっても顧問契約を準備させていただいており、真の更生に向けて弁護士作成の課題を実施するなどの更生支援活動を行っています。
保護観察中の刑事事件・少年事件に精通した弁護士によるサポートにご興味のある方は、一度、あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
執行猶予中の再度の万引き事案 裁判後に再犯しないように弁護士がサポートをさせていただきます
【事例】
Aさんは、現在75歳ですが、スーパーで食料品や衣料品を万引きしたことが発覚し、窃盗罪で逮捕されてしていました。
Aさんの万引きは今回が初めてではなく、5回目で、今回の件の5カ月前に執行猶予付きの判決が下されていました。
Aさんは、前回の裁判で執行猶予の判決を受けた際、裁判官から「次同じようなことがあった場合、あなたは刑務所に行くことになります。十分に気を付けて生活をしてください」と言われて、「もう絶対にやりません。」と答えていました。
しかしAさんは、裁判後に単独行動をした際、万引きの衝動をどうしても抑えることができず、今回の万引きを行っていました。
Aさんは、10日間の勾留後、無事に保釈されましたが、今後の裁判や服役後の生活をどうすればよいか心配になり、裁判を担当してくれる弁護士に相談することとしました。
(事例はフィクションです)
この事例をもとに、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所であれば、どのようなサポートをAさんにして差し上げられるか、解説します。
再度の執行猶予について
まず事例のAさんが再度猶予判決を受けることは可能でしょうか。
執行猶予中に再犯をした場合に再度執行猶予付きの判決を得るためには、再度の執行猶予(刑法25条2項)の要件を満たす必要があります。
現状の刑法においては再度の執行猶予の要件は以下の通りです。
①前の刑について執行猶予期間中の者で、保護観察に付せられていない者
②今回、言い渡される刑が「1年以下の懲役又は禁錮」である
③情状に特に酌量することがある
ただし刑法改正により今後②の要件が「1年以下の懲役又は禁錮」から「2年以下の拘禁刑」と緩和されるようになります。
拘禁刑と懲役刑・禁錮刑の違いについては別の記事で解説させていただきますが、再度の執行猶予の要件は一部緩和されています。
しかし、いずれにせよ再度の執行猶予を得られるかどうかについて最も重要なのは③の情状に特に酌量するべき点があるといえるかどうかです。
万引き事件において再度の執行猶予を獲得している例を見ると次のような要素が、「特に酌量すべき事情」として考慮されてているようです。
・摂食障害の影響が認められ、専門的な治療を開始している
・被害者との間で示談が成立している
・今後の更生支援計画が策定され、裁判後の社会内での再犯可能性が低くなっている
もちろんこれらの事情が全てある場合でも、必ず再度の執行猶予判決が得られるわけではありません。
ですが、重要なのは再度万引きをしないようにするためにはどうすればよいのかを真剣に考え、上記の事情など有利な事情を積み上げて、それを適切に裁判所に伝えることです。
そのためには専門機関との協力が必要な場合、お店への対応が必要な場合、ご家族の協力が必要な場合と事件によって、当事者の方の特性によっても様々です。
再度の執行猶予に関しては弊所の窃盗事件専門サイトにも詳しく解説をしていますので、より詳しい解説を読みたい方はこちらも参考にしてください。
あいち刑事事件総合法律事務所では、今後の再犯防止と真の更生のために必要な対策を実施し、そのためには社会内での更生が相当であることを裁判所に訴えていきます。
場合によっては、後述するように判決後に再犯を防止するための弁護士による支援計画や更生計画について作成し、それを公判で証拠として提出させていただくことも可能です。
それらの弁護活動の結果として、あいち刑事事件総合法律事務所では執行猶予中に万引きの再犯をしてしまったケースでの再度の執行猶予判決や、1度執行猶予を受けている方について2度目の執行猶予判決を得た多数の実績があります。
また、窃盗症・クレプトマニアが疑われる方の詳しい弁護活動の内容についてはこちらのページも参考にしてください。
判決後の再犯防止のサポートについて
万引きを繰り返し裁判にまでなってしまった場合、裁判の場では、ほとんどすべての方が「もう二度とやりません。」と証言します。そして、多くの人は、その場では本当にもう万引きをやりたくないと思っているところでしょう。
しかし、執行猶予判決が出ているにもかかわらず、万引きの衝動や欲求を抑えることができず、万引きを繰り返してしまう方がいます。盗んだ物を捨ててしまったり、人にあげたり、クローゼットに隠すなど、盗んだ物を使わない方も多いです。そのような方は、物が欲しくて万引きするのではなく「万引き」という行為自体に依存してしまっています。その衝動は、もしかしたらクレプトマニア(窃盗症)よるものかもしれません。
クレプトマニアは精神疾患の一種と位置付けられています。
このようなクレプトマニアの疑いがある場合には専門のクリニックで診察を受けることが重要ですが、少しでも再犯の可能性を下げるため、家族や専門家といった誰かのサポートが必要となってきます。
今回のAさんの場合、執行猶予判決後5カ月で万引きを行ったことになるので、万引き行為に対する依存性が心配されます。そこでクレプトマニアを専門にする精神科などの病院に通院することが考えられます。
しかし、万引きは、ふとした瞬間に起こしてしまう犯罪であり、四六時中Aさんの監督をすることを専門医に期待することは現実的ではありません。
より再犯のリスクを下げるためにはAさんを支えることができる人物が多いに越したことはありません。
あいち刑事事件総合法律事務所の更生支援に向けた顧問契約
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、今回のAさんのように、再犯することなく窃盗症を克服する必要のある方のために、更生支援を目的とする顧問契約を用意しています。
この顧問契約は、顧問の期間中に、何か困ったことや不安があった場合に、いつでも弁護士に相談して、アドバイスを受けることができるというものです。
またご希望される方に対しては担当中に聴き取った万引きをしてしまう原因等に応じて、再犯を起こさないための計画を一緒に立てさせていただきます。
その際に顧問契約の期間中に実施する課題についても、担当弁護士が事件を起こされた方に合わせてオーダーメイドで作成させていただきます。
万引きをした方の裁判を数多く担当した弁護士が専門的な立場からアドバイスや定期的な監督をすることで、再犯をすることなく窃盗症克服や真の更生に向けて精一杯サポートをいたします。ご関心があれば、いつでもお問い合わせください。
大麻使用からの更生は大変? 真の更生に向けて弁護士がサポートさせていただきます
(事例)
Aさんは、現在30歳ですが、10年以上前から継続的に大麻を使用していました。
今回、初めてAさんは逮捕されてしまい、その間、仕事に行くことができずに退職せざるを得なくなってしまいました。
Aさんは、裁判で執行猶予の判決を受けて、裁判官から「今後はもう大麻などの違法薬物に手を出さないように。」と言われて,「もう絶対にやりたくない。」と思っています。
しかしAさんは、独り身であるため、一人で大麻などの違法薬物との関係を断つことができるか、不安に思っています。一方で、もう逮捕されて仕事を失うようなことには絶対になりたくないとも思っています。
どうすればよいか心配になったAさんは、裁判を担当してくれたあいち刑事事件総合法律事務所の弁護士に相談することにしました。
(事例はフィクションです)
この事例をもとに、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所であれば、Aさんの今後の更生に向けてどのようなサポートをAさんにして差し上げられるか、解説します。
薬物事件に関する詳しい弁護活動についてはこちらのページも参考にしてください。
薬物事件からの更生は容易ではありません
大麻などの違法薬物に手を出してしまった場合、裁判の場では「もう二度とやりません。」と約束していただくことになります。
中には「裁判だし、そう言っておいた方がいいよな。」くらいの感覚で言う方もいらっしゃるでしょうが、多くの人は、本当にもう薬物をやりたくないと思っているところでしょう。
ただ、大麻をはじめとする違法薬物は、依存性が強く、何かしんどいことがあった時、久しぶりに薬物仲間と会った時などに手を出してしまい、また逮捕されて、今度は刑務所に入ってしまうことが一定数いることは紛れもない事実です。
実際に令和4年度版の犯罪白書によれば覚醒剤取締法違反で検挙された者のうち再犯をして検挙された者の割合は実に68.1%、大麻取締法違反で検挙されたもののうち再犯をして検挙された者の割合は24.2%にのぼります。
いずれも再犯率は高いものの、大麻の方が比較的再犯率が低いように思われる方もいるかもしれません。
しかし大麻を使用していた方が再犯をする場合はより薬効の強い覚醒剤や麻薬を使用するケースも多く、その場合はこの統計上の大麻の再犯には数えられないので実際は大麻の使用者からの再犯者はもっと多いことが考えられます。
薬物事件こそ更生のために第三者の協力が不可欠です
少しでも再犯の可能性を下げるためには、誰かのサポートが必要となってきます。
また今回のAさんの場合、かなり長い間、大麻を使用してきたことになるので、依存性が心配されます。そこで薬物に関する専門的な病院に通院することが考えられます。
再犯をしないようにするためにはどこでそのような治療をしているか分からないこともあるでしょう。
また、一度通院をしても、だんだん面倒くさくなってきて通わなくなるのは、悲しいながらも人間の自然な行動傾向でしょう。
そのような場合にもAさんを監督できる体制を準備しておくことが再犯防止や真の更生のためには重要になってきます。
本来であればそばにいる家族に監督してもらうのが一番でしょう。しかし家族に薬物の事を話せない、家族が遠方に住んでいるなどの事情から家族に監督をお願いできない場合には、事件を担当しており事件の経緯や事情を詳しく把握している弁護士を頼りにしてみるのはどうでしょうか。
あいち刑事事件総合法律事務所では更生のための顧問契約をご用意しています
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、今回のAさんのように、再犯防止のために違法薬物との関係を断つ必要のある方のために、顧問契約を用意しています。
この顧問契約は、顧問の期間中に、何か困ったことがあった場合に、いつでも弁護士に相談して、アドバイスを受けることができるというものです。
まず、どこで治療を受けられるか解らない方のために、これまでの弁護活動を通じて把握している病院の候補をいくつかご教示いたしますし、場合によっては一緒にお探しいたします。
また、定期的な通院を忘れないよう、リマインドの連絡を入れることや通院状況の記録を作成することで、モチベーションの維持にも協力いたします。
裁判の時点から弁護をお引き受けする場合には、判決後の生活においても弁護人が定期的に面談を行う記録の作成を行って更生をサポートしていく計画を立てていることを裁判の証拠として提出させていただきます。
ご関心があれば、いつでもお問い合わせください。