
今回は性犯罪事件を起こした方に対して更生や再犯防止のために弁護士がどのような活動ができるのか、弁護士の他にどのような専門機関に頼ることができるのかについて詳しく解説していきます。
1 性犯罪事件について
性犯罪は被害者に深刻かつ長期的なトラウマを与える重大事件です。同時に、加害者側にも認知の歪みや衝動制御の問題が背景にある場合が多く、適切な専門的治療なしには再犯を防ぐことは困難です。本記事では、性犯罪事件における再犯防止策と弁護士による更生支援の全体像を解説します。
性犯罪の再犯率と「認知の歪み」という問題
性犯罪の再犯率は全犯罪の中でも特に深刻な部類に入ります。法務省の調査では、性犯罪受刑者の出所後5年以内の再犯率が2割前後に上るとされており、適切な治療的介入なしに社会に戻るだけでは再犯を防ぐことができないことが明確になっています。
性犯罪の背景には、「被害者も望んでいた」「これくらい大した問題ではない」といった認知の歪み(cognitive distortion)が深く根付いているケースが多くあります。
認知の歪みを事件を起こした当事者の方が一人で認識することは難しいです。性犯罪をして事務所に相談に来られる方も多くは、だめだと思いながら誰にも相談できずに警察に捕まるまで再犯を繰り返してしまっている方が少なくありません。
仮に刑事罰を受けても、このゆがみが強制されなければ引き続き再犯をしてしまうリスクが高い状態が続いていると言えます。
この認知の歪みは、通常の反省や謝罪の機会だけでは修正されず、専門的な認知行動療法プログラムによる継続的な治療が必要です。
2 性犯罪に至る原因の例
●認知のゆがみ
認知の歪みとは先ほど説明したように被害者の感情を軽視・誤解する思考パターンのことをいいます。
例えば短いスカートをはいている人は盗撮されたがっているというような誤った考え方が盗撮することにつながることがあります。
専門的な認知行動療法なしには自覚・修正が難しいといえるでしょう。
●衝動制御の困難
性的衝動を適切にコントロールする能力が弱く、ストレス・孤独・飲酒などが引き金になるケースもあります。
車に例えるならばブレーキが請わtれ廷るような状態です。これはしてはいけないこと、したら警察に捕まると思いながらも犯行を思いとどまることができない方がいます。
●秘密・羞恥心による孤立
誰にも相談できず問題を抱え込むことで、ストレスが蓄積し再犯リスクが高まる悪循環が生じる。
これも相談の中でよく聞く話です。性犯罪をしていることを周囲に打ち明けることは難しいでしょうが、誰にも相談できないことで具体的な再犯防止策を立てられず、衝動や欲求に従ってずるずると犯行を続けてしまうことがあります。
●ネット・SNSとの関係
盗撮・のぞき・児童に対する性的アプローチなど、インターネットが犯行を容易にする環境が問題化している。
相談の中でも、「ネットで盗撮をしている動画を見て自分でもできると思った」「児童でも同意をすれば性行為をしていいと思った」などという誤った認識を植え付けることが多くなっています。
また不特定多数の人と容易につながれることが犯罪の機会を増やすことにつながっています。
3 性犯罪の処罰規定について
主な性犯罪と適用される法律・刑罰
| 罪名 | 根拠法 | 主な法定刑 |
| 不同意性交等罪 | 刑法177条 | 5年以上の有期拘禁刑 |
| 不同意わいせつ罪 | 刑法176条 | 6月以上10年以下の拘禁刑 |
| 盗撮(性的姿態等撮影罪) | 性的姿態撮影等処罰法 | 3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金 |
| 痴漢(迷惑行為防止条例違反) | 各都道府県条例 | 1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金(常習は倍) |
| 児童に対する性犯罪 | 児童買春・ポルノ禁止法ほか | 罪種により3年〜10年以下の拘禁刑等 |
近時の処罰規定の改正について
近時の法改正により、不同意性交等罪・不同意わいせつについて成立する範囲の拡張(罪の成立する行為類型の拡大、性交同意年齢要件の引き下げ)がされています。
また性的姿態等撮影罪が制定され盗撮罪についての処罰範囲や、法定刑も厳しくなっています。
このように近時では性犯罪に対してより厳しく処罰するという流れになっています。
ご自身のされた行為について、何罪が成立するのかどのような刑罰が科されるかの見通しに不安な方はすぐに弁護士にご相談ください。
次回は性犯罪事件を起こした場合に具体的にどのように再犯防止を図ればよいのか、弁護士によってどのような支援が受けられるかについて解説していきます。
弁護士は刑事手続の中で最大限の弁護を行いながら、本人が治療プログラムと繋がり、社会に戻った後も再犯しない環境を整えるための伴走者として機能します。性犯罪事件でお困りの方・ご家族の方は、一人で抱え込まずに、まず刑事事件に強い弁護士にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では刑事事件のご相談、弁護活動はもちろん、更生支援事業部を設けて事件後の再犯防止や真の更生のサポートにも全力で取り組んでいます。
刑事事件でお困りの方も事件で処分が出た後の方もお気軽にご相談ください。初回相談は無料で対応させていただきます。
