
前回の記事では執行猶予や保護観察の制度について解説していきました。
今回の記事では実際の執行猶予期間や保護観察期間中についてよくお受けするご相談やご質問について弁護士が回答・解説をさせていただきます。
1 よくある疑問——保護観察中の具体的なQ&A
転職・引越しはできる?
転居・転職は可能ですが、いずれも事前に保護観察官に届け出て許可・了解を得る必要があります。
「事後報告でいい」と思い込んで黙って動いてしまうと遵守事項違反になります。特に転居の場合は管轄の保護観察所が変わるため、手続が必要です。
海外旅行・出張はできる?
保護観察中の海外渡航は原則として制限されており、保護観察所長の許可等が必要です。業務上やむを得ない場合でも、事前に相談・申請を行わないと遵守事項違反となります。
保護司との面談はどの程度?
頻度は事件の種類・本人の状況によって異なりますが、一般的には月1〜2回程度が目安です。
正当な理由なく面談を拒否・無断欠席すると違反とみなされます。面談日に都合が悪い場合は必ず事前に連絡して日程変更を依頼してください。
猶予期間中に別件で逮捕されたら?
逮捕されただけでは直ちに執行猶予の取り消しにはなりませんが、有罪判決が確定した時点で取消し手続が進みます。また逮捕される原因となった事件が遵守事項違反になるような場合は、裁判の結果を待たずに執行猶予が取り消される場合もあります。
逮捕直後に弁護士へ連絡し、旧刑の取消しを防ぐための弁護活動を同時並行で進めることが不可欠です。
2 保護観察期間中の注意点について
保護観察期間中にやるべきこと
保護司との面談に必ず出席する
転居・転職は事前に届け出る
旅行・出張前に保護観察官に連絡
特別遵守事項(通院等)を継続する
生活の変化はこまめに報告する
不明点はすぐ弁護士・保護観察官に確認
保護観察中に絶対に避けるべきこと
無断での転居・長期不在
面談の無断欠席・連絡無視
薬物・被害者関係者への接触
新たな犯罪行為(軽微でも起訴リスク)
保護観察官への虚偽報告
特別遵守事項の中断・自己判断での停止
3 執行猶予・保護観察期間中の弁護士によるサポート活動
それではこれまで解説させていただいた執行猶予・保護観察期間中における弁護士によるサポートの全体像を見ていきましょう。
【判決直後】遵守事項の内容を正確に把握・説明する
内容が難しいような遵守事項を自分一人で理解するには限界があるかもしれません。弁護士は判決後に遵守事項の内容を改めて整理し、「何をしてはいけないか」「何を届け出る必要があるか」を本人と家族に具体的に説明します。
スタートラインでの理解不足が、のちの「うっかり違反」の最大の原因になるからです。
【保護観察期間中】問題が起きたときの早期相談窓口
転職・引越し・海外出張の予定が生じたとき、面談に行けない事情が生じたとき、あるいは再び問題行動をしてしまいそうなとき——こうした事態が生じた場合に、保護観察官への対応をどうすべきかを弁護士に相談することで、「黙って動いて違反になる」という最悪のシナリオを回避できます。
【遵守事項違反が発覚した場合】取消し阻止のための緊急対応
保護観察所から「遵守事項違反の可能性あり」として警告・申告がなされた場合、または別件で逮捕されてしまった場合には、執行猶予取消しを阻止するための緊急の弁護活動が必要になります。弁護士は保護観察所との交渉・裁判所への意見提出・新たな事件の弁護を同時並行で行い、旧刑の執行を防ぐために可能な限りの手を尽くします。
【猶予期間満了に向けて】満了後の生活設計のサポート
執行猶予期間を満了すると刑の言渡しの効力が失われ、保護観察も終了します。ただし前科の記録自体は残るため、就職・資格・海外渡航への影響が続く場合があります。弁護士は満了後の生活設計(資格回復・刑の消滅の見通し・前科の影響範囲)についても、正確な情報を提供しサポートします。
4 猶予期間満了後の「刑の消滅」とは
刑法34条の2により、拘禁刑以上の刑の執行猶予が満了した場合、その後一定期間(罰金は5年、拘禁刑は10年)を経過し再犯がなければ「刑の消滅」が認められ、資格制限が解除されます。
ただし前科の記録(犯歴)自体が消えるわけではなく、また資格ごとに回復のタイミングは異なります。詳細は弁護士にご確認ください。
5 記事のまとめに変えて——執行猶予期間は「もう一度やり直すためのチャンス」--
執行猶予は、裁判所が「社会の中で更生できる」と判断したからこそ与えられた機会です。その期間中に遵守事項を守り、保護司・保護観察官との関係を誠実に続けることが、猶予満了という「ゴール」への唯一の道です。
「これくらいは大丈夫だろう」という自己判断が、取消し・実刑という最悪の事態を招きます。迷ったとき・困ったとき・何かが起きそうなときは、早めに弁護士に相談することが、猶予期間を無事に満了するための最善策です。
以上のように執行猶予期間中の生活には思わぬところに落とし穴があります。特に保護観察を受ける場合には生活の中にも執行猶予が取り消されるリスクが多く存在します。そして再犯をせずに執行猶予期間を過ごせるのか心配な当事者の方やご家族の方もいらっしゃると思います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、見守り弁護士として執行猶予期間中の生活の不安にお答えしたり、再犯防止に向けた課題を実施したりする弁護活動をご用意しています。
見守り弁護士のご依頼をいただいた方にはその期間中いつでも弁護士が相談や疑問のお答えさせていただきます。事件を起こされた方はもちろん、執行猶予付きの判決をすでに受けている方でも執行猶予期間中の過ごし方や再犯についてご心配がある場合にはぜひ一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にお問い合わせください。
相談については初回無料で対応しています。
