兵庫県神戸市の恐喝事件 家庭裁判所における調査官調査の対応に精通した弁護士

【事案】
兵庫県神戸市中央区に住む高校生のAさん(17歳)は友人ら3名と一緒に、同級生のVさんを呼び出して、「10万円を払うか4人でボコボコにされるか選べ」と言って10万円を払わせたという恐喝の容疑で生田警察署に逮捕されました。
Aさんは警察署に10日間勾留された後、観護措置決定がされて少年鑑別所に移送され神戸家庭裁判所の調査官による調査官調査が開始されることになりました。
Aさんの家族がAさんに面会したところによれば、Aさんは今回の犯行について友人から誘われ断ったら自分が被害に遭うかもという考えから仕方なく参加してしまったのだと涙ながらに話していたとのことでした
(事例はフィクションです)

今回の記事では少年事件における家庭裁判所の調査官調査や、家庭裁判所の調査官調査に対してどのような対応をしていく必要があるかについて事例を基にあいち刑事事件総合法律事務所の弁護士が解説します。

調査官調査とは

まずは少年事件で行われる調査官調査について解説します。
少年事件のより詳しい流れについては当サイトの少年事件の流れのページも参照してください。
調査官調査とは一言でいえば、家庭裁判所の調査官によって、事件を起こした少年に対して行われる調査のことをいいます。
調査官調査では、事件を起こした少年の方の成育歴や、事件に対する内省の深まり、今後の更生の意欲や可能性などが調べられます。


今回の事例では少年に対し少年鑑別所での観護措置決定がされていますので、少年鑑別所での少年への面接や、少年の両親に対する面接が調査官調査の主な内容になります。
調査が行われる時期については事件の内容や担当する調査官の方針にもよりますが、本件のように少年鑑別所に少年がいる場合には移送されてから1週間から10日ほどたった時期にで第1回の調査官調査が行われることが多いように思います。
このように、本件のように身体拘束が継続したまま家庭裁判所での手続きが始まった場合には、調査官調査は逮捕されてから比較的早い時期に行われることになります。

調査官調査の持つ意味

調査官は調査において主に判断されるのは事件を起こした少年の要保護性の有無やその程度です。
要保護性という言葉は聞きなれない言葉かと思いますが、一言で言ってしまえば事件を起こした少年が今後更生していくためにはどのような保護処分ないしは手続きが必要かという判断がされます。
調査官調査が行われる場合には調査票という記録が作成されます。調査票の中では、少年に対してどのような保護処分が適当かどうか(ないしは大人と同じような手続きで判断されるべきかどうか)という意見とその理由が付されます。
調査官調査の結果が審判の結果に与える影響は非常に大きいです。なぜならば裁判官は審判の場で初めて少年に会うのに対し、調査官は児童心理などを専門に学ぶなど専門的知見を有しており、何度も少年に会って調査を行っているので処分結果を決める裁判官も調査官の判断を信頼し尊重する傾向にあるからです。
ですから少年院送致などの厳しい処分を避けるためには、調査官調査において少年の要保護性が高くないことや、事件を起こした後に要保護性が低下していることをしっかりと伝えていくことが必要になります。
勘違いしないでいただきたいのは、調査官はあくまで少年が今後の更生のために何が必要かを考えてくれる人であり、自分に対し厳しい罰を与えようとする人ではないということです。調査では特に隠しごとなどをせずに積極的に事件や今後についての自分の考えを述べることが大事になります。
ただしあくまで調査官の方は裁判所という中立的な立場で調査官調査にあたるため、次で述べるように少年事件では本人の側に付く付添人が非常に重要になってきます。

調査官調査に向けた弁護士の役割

調査官調査は早期に行われることは述べましたが、回数も限られています。そのなかで自分の起こした事件への反省や、今後の改善点を自分の言葉で述べて調査官の方に分かってもらうことは容易ではありません。
しかし調査官調査は何回でも行ってくれるものではなく、多くても2,3回程度です。限られた回数の中でうまく伝えられないと調査官の印象や要保護性の判断も厳しいものになってしまいます。
そうならないように、逮捕された直後から要保護性の改善に向けた働きかけを少年に対して行っていくことが重要になります。
まずは早期に弁護士が少年への面会を行い、少年が犯行に至った原因や動機、被害者がどのような気持ちになっているか、同じことをしないようにするためには何が必要かなどを考えてもらうことが必要です。
また同時に社会内での更生ができることを調査官に説明するためには環境調整も重要になります。
環境調整とは一言でいえば、少年が社会に戻った際に再犯をするリスクが低い状態であることを調査官に訴えていくことになります。
例えば本件の事案でいえば、Aさんが友人から言われて犯行に加担してしまった理由、どのようにすれば今後同じ誘いを受けた際にどのように断るのか、今回犯行に加担した友人たちとの関係をどうするのかといったことが、調査官調査で問題になることが予想されます。
早期から、問題になる点について弁護士から説明し少年によく考えてもらうことが、事件後の更生を考える上でも非常に重要になります。
調査官調査に安心して対応できるようにしておくことは、ひいては今後の更生につながることでもあるので、事件を起こした少年の真の更生のためにも早期から弁護人がついて、少年に働きかけをしていくことは重要になります。
少年事件に対する弁護士の役割については当サイトの少年審判での弁護活動というページもご参照ください。

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