薬物事件

薬物事件の特徴

薬物事件の特徴には高い再犯率が挙げられます。

これは違法薬物自体の強い依存性が関係しており、その薬効による禁断症状と呼ばれる症状の影響で容易には薬物依存から抜けだすことは容易ではないと一般に言われています。

また近年ではスマートフォンの普及やSNSを利用する人数の増加に伴って薬物の使用を開始する年齢の低年齢化が進行していると言われています。SNSを通じて家族に隠れて薬物の売人と接触し薬物を入手することが簡単になってしまったためです。

しかしながら薬物は人体に重大な悪影響を及ぼし、薬物の購入にも莫大なお金がかかってしまいます。

ひとたび刑事事件になれば、逮捕され仕事や家族を失うなど社会生活に重大な影響を与えるものです。

そして薬物への依存から再犯をすれば刑務所に行かなければならない、周囲の人間が離れていくなどさらに状況は悪化してしまいます。

そこで、もし薬物に関わってしまったとしても、再犯をしないこと、再犯をしない環境を作ることは薬物事件の当事者になってしまった方やそのご家族にとって重要なことです。

生活環境や交友関係の改善

薬物に関わりを持ってしまう方の特徴として生活状況が乱れている、交友関係が乱れているなどの特徴が多く見られます。

生活状況の改善には規則正しい生活をすること、ストレスを溜めない生活をすることが必要です。再犯防止という意味では家族などの同居により、薬物に関わらないように監督をすることも必要になってきます。

先ほど述べたように近年ではSNSを経由して薬物を入手するケースも多くなってきますので、携帯電話の履歴にも目を光らせておく必要があります。

交友関係については薬物に関わっている人間との関りを一切絶ってしまうことが重要です。

薬物の売人からすれば一度薬物を販売した相手は商売のためにも、再度接触しようと近付いてきます。

もちろん当事者が強い気持ちをもって二度と関わらないことが大事なのですが、薬物の誘いはその依存性も相まって本人の力だけでは簡単に断ち切れるものではありません。

一度薬物を使用していたという話が広まれば、その噂から薬物の使用を勧める人間や、薬物の売人と繋げようとする誘いが来ると言われています。ここでもご家族や周囲の方々の支援や監督の目が重要になってきます。

薬物に関わっている人間との関わりは、たとえ薬物を介する付き合いがなくなったとしても控えるようにすること、薬物に関わった人間の下へ戻らないように孤独を感じさせないようにすること、そのためにカウンセリングなどを受診させることなど、周囲の助力によって薬物の再犯防止につなげることができるのです。

これら再犯防止のために生活状況や交友関係を改善していることは刑事裁判においても重要な情状事実として評価されます。

薬物事件で逮捕されてしまった場合には早期に、薬物事件に詳しい弁護士に相談、依頼をしてこれらの改善に向けて動くことが、刑事裁判でより有利な判決を得ること、そしてその後の更生に向けて非常に重要になってきます。

薬物依存症の治療

薬物依存症に向けた治療のプログラムとしては病院の医師によるプログラムや、薬物依存症脱却支援団体(ダルク等)を利用することが考えられます。

いずれの方策をとるとしてもまずは当事者自身が「薬物依存症は病気であり、自分一人の力だけでは脱却できない」ことを自覚することが大事になってきます。

医師によるプログラムの特徴は、通常生活を送りながら、欲求を抑制するためにカウンセリングを受診する、投薬するなどの治療を受けることにあります。

各都道府県のホームページでも依存症治療の指定病院などが示されていますので、どこの病院で治療を受けるか迷われている方はその指定病院を参考に医療機関を選ぶとよいかと思います。

それに対して薬物依存症脱却支援団体は施設に入所して、その施設内で生活を送ることにあります。薬物とのかかわりがない環境で生活ができますので、再犯防止の効果は高いと言われています。

しかし生活環境が一変するため、その環境に飛び込みしっかりと治療を継続するというより強い覚悟が必要になってきます。

薬物事件の当事者になった方の生活状況や依存症の進行の程度によってもどのような治療が適切かは変わってきます。

是非薬物事件に豊富な経験を有するあいち刑事事件総合法律事務所の弁護士に一度ご相談ください。

一部執行猶予判決の獲得

刑の一部執行猶予制度は、違法薬物事犯の再犯防止に向けて「薬物法」による特例を認めています。

薬物法とは、正確には「薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部の執行猶予に関する法律」といい、まさに薬物事犯を対象に刑の一部執行猶予を付する目的で設けられた法律です。

対象となるのは大麻・覚醒剤(覚せい剤)・麻薬などの単純所持や使用にあたる罪を犯した者であり、言い渡される刑罰が3年以下の懲役または禁錮であるという点に差はありません。

ただし、薬物法による特例が適用されると、前科に関する規制が緩和されています。

つまり、「以前に禁錮以上の刑に処せられた」「前回の刑罰から5年が経過していない」といった場合でも、刑の一部執行猶予が可能なのです。

執行猶予中に再犯をしてしまったなど実刑判決の見込みが高い事件であっても、上記法律の制定によって一部執行猶予付きの判決の獲得へのハードルが低くなっているといえます。

治療を希望しており、なるべく早期に社会に復帰し治療を開始したいという希望がある場合などには是非一部執行猶予の主張に関してご相談ください。

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