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特定少年とは
特定少年は少年法改正によって新たに規定された定義であり、18歳、19歳の少年を指します。
民法改正により18歳以上の人を成人と定めたことに伴う規程であり、18歳未満の少年とは異なる取り扱いを受けることになりました。
特定少年で取り扱いが異なる主な点
特定少年にあたる場合にはそれ以外の少年と取扱いが異なると述べましたが、特に影響が大きいと考えられる取扱いの違いについては以下の点が挙げられます。
より詳しい取扱いの変化について知られたい方は弊所の少年法改正について紹介したホームページをご覧ください。
(1)原則逆送事件の対象範囲が拡大したこと
特定少年については、「故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件」だけでなく、「死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役・禁錮に当たる罪の事件」に関しても、原則として家庭裁判所から検察官に送致することとなりました。
具体的には、
- 強制性交等罪や強盗罪
- 現住建造物等放火罪など
が新たに対象となりました。
家庭裁判所が審判において検察官に事件を送致して、刑事裁判手続きで判断するように決定することを「逆送」といいます。
(2)ぐ犯事件の対象から除外されたこと
これまで、18歳・19歳であっても、ぐ犯事件の対象となっていましたが、民法改正により、18歳以上は成人として扱われることから、特定少年に関してはぐ犯事件の対象から除外されました。
(3)推知報道禁止の一部解除
これまで、少年事件においては、少年がどこの誰だか分かるような推知報道は禁止されていましたが、特定少年に関しては、少年審判で検察官に逆送され、公判請求されることとなった場合には、推知報道の禁止が解除され、少年の推知報道ができるようになりました。
特定少年に対する弁護活動で注意する点
では特定少年、すなわち犯罪をした18歳、19歳の方への弁護活動では特にどのような点に注意することが必要でしょうか。
上記取扱いの変更点のうち特定少年の処分選択で一番影響が大きいのは原則逆送事件の対象範囲が拡大したことになります。
原則逆送事件を犯したとして捜査が開始された場合どのような弁護活動を行っていく必要があるでしょうか。
(1)原則逆送事件として送致されないための弁護活動
まず原則逆送事件の対象となる罪名の嫌疑で逮捕された段階または捜査が開始された段階では、家庭裁判所に事件が送致される段階で原則逆送事件の罪名で送致されないことを目指す必要があります。
そのために早期の示談締結や取調べの対応が重要になってきます。
弊所で担当したケースでも強盗致傷罪で逮捕されたとしても早期に被害者の方や被害店舗との示談を成立させたことで、送致される際には窃盗罪及び傷害罪の罪名で送致されたケースがありました。
またこれも弊所で担当したケースですが、当初強制性交等罪の嫌疑で逮捕されていましたが、弁護士のアドバイスに従ってご自身の認識通りに取調べ時から一貫して未成年である被害者の方の同意があったと主張して条例違反に罪名が落ちて送致されたケースがありました。
いずれのケースについても原則逆送事件の対象事件として捜査が開始されましたが、送致時に罪名が落ちたこともあって逆送されずに家庭裁判所での保護処分が出されています。
このように捜査開始段階から弁護士を依頼して示談交渉に早期に着手すること、取調べ対応についてアドバイスを受けることが処分結果に大きく影響することは明らかです。
(2)原則逆送事件として送致されても逆送されないための弁護活動
原則逆送事件として送致された事件のすべてが検察官に逆送される決定が出されるわけではありません。
事件の内容や経緯、本人の反省や再犯防止の可能性を考慮して例外的に保護処分が決定されて逆送されずに終わる場合もあります。
そのためには早期に少年事件に精通した弁護士に依頼して、弁護人活動、付添人活動を受けた上で、調査官や裁判官に対し原則逆送事件ではあるが保護処分にあたるべき事案であることを粘り強く説得していく必要があります。
弊所で担当したケースでも、原則逆送事件であるわいせつ目的誘拐等の罪で家庭裁判所に送致されたものの早期から少年本人に対して課題を実施し、調査官、裁判官に対しても保護処分によっても十分更生が可能であることを主張した結果保護処分で終了したケースがありました。
特定少年で検察官送致して刑事裁判を受ける場合には単に大人と同じ刑罰を受けるのみならず、実名報道の可能性もあるなど今後の少年の人生に与える影響ははかり知れないものになっています。
ですので特に原則逆送事件で捜査を受けた場合には早期から適切な弁護活動を受けた上で、検察官送致されないことを目指した弁護活動を受けることが重要になります。
あいち刑事事件総合法律事務所では刑事事件、少年事件に精通した弁護士が多数在籍しています。特定少年にあたる方やそのご家族の方はまず一度ご相談いただければと思います。
弊所ではそのような方たち向けに無料法律相談や初回接見サービスを行っています。ご不安な方は是非一度弊所までご連絡下さい。