このページの目次
特殊詐欺事件の背景
特殊詐欺事件とは俗に振り込め詐欺と言われるような事件のように組織的に行われ、被害者の方をだましてキャッシュカードを渡させたり、言葉巧みにお金を振り込ませたりする事件のことを言います。
特殊詐欺事件ではお金を引き出す役割の「出し子」やキャッシュカードを受け取る役割を担う「受け子」といった者が被疑者として逮捕されるケースがほとんどです。
そして「受け子」や「出し子」を担当しているのは、SNS等で「裏バイト」などと募集されて、または友達から誘われて参加した中高生などの学生や20代の若者が多いように思われます。
特殊詐欺は被害額が大きくなることがほとんどであり、裁判での量刑判断も初犯であっても多数の実刑判決が出されるなど非常に厳しいものになっています。
裁判でより有利な判決を受けるためには再犯防止策をしっかり講じていることを主張することも重要な事情になります。
特殊詐欺事件においては、詐欺事件と同様にお金に困った方の犯行も多いですが、中には割のいいバイト感覚で参加してしまって事件に関わってしまう方が多いことも特殊詐欺事件の特徴であるといえます。
様々な理由で経済的に困窮した方の再犯防止や更生支援については 詐欺事件のページで詳しく解説しましたのでこのページでは割愛します。
SNSリテラシーの構築
最近ではSNSを通じて犯行への参加を募集するケースが非常に多くなっています。
中には「割のいい短期バイト」「高額報酬約束」などと甘い言葉を並べて、犯行への参加を持ちかけられるケースがあります。
そのような言葉で興味を持った者を誘って、テレグラムなどのアプリに誘導し、個人情報を聞き出すなどして犯行から抜けられないようにするのが犯行グループの常套手段となっています。
このような経緯で犯行に至ってしまった場合には今後のSNSリテラシーを身に付けることが重要です。
そのポイントとしては、
- 不自然な高額報酬を謳った勧誘は怪しいと考える事
- 仕事内容が明確でないもの(特に荷物を受け取るだけ、お金を振り込むだけといった目的がはっきりしないものは特殊詐欺に加担してしまう可能性が高い仕事といえます)
- テレグラムなど履歴が見れなくなるアプリを連絡手段として持ち掛けられた場合には怪しいと考えること
などです。
甘い話だからと言ってこのような勧誘に乗ってしまっては犯行に加担してしまうことケースが多いです。上記のような典型的に犯行への加担を持ち掛けてくるおそれが高い場合を理解して、二度と犯行に参加しないようになる必要があります。
また特殊詐欺に関わった方の周囲の人も、二度と本人を事件に関わらせないためにSNSの利用についてはしっかりと監督する必要があります。
本人がお金に困った状態になる、仕事にストレスをためている状況などは先述のような誘いに引っ掛かってしまいやすい状況であります。
そのような状況が窺える場合には、そのような状況の改善も含めてしっかりと監督する必要があるかと思います。
周囲の人間関係の整理
特殊詐欺事件ではSNSだけでなく友人からの誘いで犯行に参加してしまうケースも多くあります。
特に1度犯行への参加を持ち掛けてきた友人関係は、事件の後にしっかりと清算していく必要があります。
そして人間関係の成算には周囲の人間の協力も不可欠です。
特に事件前にも友人関係にあった場合にはなかなか関係が切れずに、また別の犯行を持ち掛けられるケースもあります。
関係をきっちり断てるようにスマートフォンを確認するなど周囲の人が本人を監督していくことが再犯防止と本人の更生のためには重要になってきます。
特殊詐欺事件での弁護士の役割
特殊詐欺事件の弁護活動では、まず本人に事件に関わってしまった経緯を振り返ってもらって自分が加担してしまった原因は何か、どのように考え、行動していれば犯行に参加してしまう前に踏みとどまれたのかを弁護士との面談を通じて考えてもらいます。
また自分が軽い気持ちで参加した犯行によって被害に遭った人がどのような気持ちになるのか、自分の家族が同じ被害に遭ったらどのように思うのかなど考えてもらうことをしています。
示談ももちろんですが、自分がしたことの重大さを理解した上で、二度と犯罪に加担しないためにはどのようなことに気を付けて行動するべきなのかを考える事が更生の第一歩になります。
そして、そうやって考えた事件への反省や更生への道筋を裁判で主張していくことで裁判官にも再犯の危険性がないことを訴えていきます。
あいち刑事事件総合法律事務所ではこれまで多くの「受け子」や「出し子」など、特殊詐欺事件の末端として関わってしまった方の弁護を担当してきました。事件に至った経緯や背景は人それぞれで、更生への道筋も様々です。
特殊詐欺に関わってしまった方や、ご家族が特殊詐欺に関わってしまった方は是非一度あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。