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少年事件の流れの特色について
少年事件についても基本的には成人の刑事事件の手続きと大きくは異なりません。
しかしながら、成人事件と比較して異なる点もありますので以下では成人の刑事事件の流れと異なる点について解説していきます。
(1)全件送致主義
刑事事件では捜査中に示談が締結されるなどした場合については、仮に犯罪をした事実が認められると検察官が考える場合でも起訴猶予処分として事件が裁判所に起訴されない場合があります。
これに対して少年事件の場合、検察官が犯罪事実が認められると判断した場合には原則として全件が家庭裁判所に送致されます(少年法41条、42条)。
これを全件送致主義といいます。
家庭裁判所では後述するように審判を開くかどうか、審判を開くとしてどのような処分をするべきかを判断します。
(2)勾留に代わる観護措置
少年が刑事事件で逮捕された場合には、勾留だけではなく勾留に代わる観護措置という制度が定められています(少年法43条1項)。
勾留に代わる観護措置には通常の勾留と比較して、10日間以上延長できないこと(少年法44条3項)などいくつか異なる点があります。
(3)観護措置
家庭裁判所に送致された少年については観護措置決定がなされると、少年鑑別所で身体拘束がされることになります(少年法17条1項2号)。
観護措置は、家庭裁判所が調査・審判を行うために、少年を鑑別所に収容して身柄を保全し、調査・鑑別を行いながら少年を保護するための手続きです。
期間について少年法上は原則2週間となっていますが、実務上は4週間となることが通例となっています。
(4)家庭裁判所による審判
少年事件では成人の少年事件とは異なり原則として家庭裁判所での審判において事件に対する処分が言い渡されます。また調査の結果審判を開始しないという決定がなされる場合があります。
審判では事件を起こした少年に対して、不処分、保護処分、検察官送致のいずれとするかが判断されます。
保護処分には保護観察、少年院送致、児童自立支援施設又は児童養護施設送致があり、試験観察などの中間的処分がなされる場合もあります。
保護処分は成人の刑事裁判で科される刑罰とは異なり前科とはなりません。
審判の結果について
先ほど少年事件については一般的に家庭裁判所の審判によって処分が決定されると説明しました。
以下では少年審判において判断される処分について概略を説明します。
(1)不処分
不処分決定が出される場合とは、家庭裁判所が、審判の結果、保護処分に付することができず、または保護処分に付する必要がないと認めるときです。
(2)保護観察
保護観察とは在宅で保護観察所の指導監督の下、少年の更生を図ろうとする社会内処遇である。
通常は20歳になるまで行われるが、20歳を待たずに解除される場合もあり、約半年間一定の課題を与え重点的な指導をして終了する短期保護観察処分もあります。
(3)児童自立支援施設又は児童養護施設送致
これらの処分は施錠のない開放施設で、一寮に数名から十数名を収容し家庭的な雰囲気の下で生活指導を行う施設処遇である。
一般的に14歳以下の少年が送致される。
(4)試験観察
試験観察とは終局処分の決定を一定期間留保する処分である。
試験観察の期間終了後に改めて審判が開かれて終局処分が決定される。
少年を家庭などに戻して行う在宅試験観察、少年を適当な施設や個人に補導を委託する補導委託の2種類がある。
(5)少年院送致
少年院送致は、少年院という閉鎖された施設において少年の自由を拘束する点で、最も強力な保護処分です。
少年院の種類や処遇に関しては少年院のページで詳しく解説していますのでそちらを参照してください。
(6)検察官送致
いわゆる逆送と言われる処分で検察官に送致された上で起訴された場合には成人の刑事事件手続きとほぼ同じように手続きが進みます。
少年法改正により特定初年についての規定が新たに設けられて検察官送致が原則なされる事件の範囲も変わっていますので詳しくは特定少年の弁護活動のページも確認してください。
以上のように少年事件については通常の刑事事件とは手続きの流れが異なる点、手続きの内容や処分が異なる点が多くあります。
あいち刑事事件総合法律事務所では刑事事件と共に少年事件手続きに精通した弁護士が多数所属しています。
ご家族が少年事件に関わられた場合は早急に少年事件に精通したあいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。