釈放前指導

無期懲役で収容されている方でない限り、刑務所に収容されている方もいずれは釈放され社会復帰しなければならない時が来ます。

刑務所では、「懲役刑/禁固刑の執行の開始時」と「釈放前」には別途指導を行っています。

釈放前の指導とは何か

刑事施設収容法には、「釈放前の適当な期間、釈放後の社会生活において直ちに必要となる知識の付与その他受刑者の帰住及び釈放後の生活に関する指導」を行うとされています。

つまり、刑務所としては、「刑期を満了したからそのまま放り出す」のではなく、「釈放後にどのような生活を送るのか、きちんとプランを立ててから釈放する」というスタンスが求められているのです。

この釈放前の指導を行う期間は、概ね2週間とされています。

指導の中で必要が生じた場合には、もう2週間の延長をすることができますし、逆に、指導の必要が薄れれば短縮されることもあります。

ただし、当然のことですが、本来の受刑期間を超えて釈放前の指導を行うことはできません。

釈放前の指導の内容は、次の通りとされています。

  • 釈放後の生活で必要となる知識の付与
  • 一般社会に出来る限り近い日常生活の体験
    ※刑務所内の他の受刑者とは違う居住区画に移り、一般的な家庭の「居間」のある部屋での生活になります。
    また、室内で使用する物品についても他の受刑者とは異なり、社会復帰のために必要な物品が備えられることになります。
  • 一般社会での生活の体験
  • 社会復帰後の就職に関する知識、情報の付与
  • 一般社会での勤労の経験
  • 社会奉仕活動
    ※釈放前の指導では、刑務所外へ、外出することがあります。
    特に、釈放後の住居や就職を確保するために身元引受人や雇用主の元を訪問する必要がある等という場合には、外出が許可されることもあります。
    その他、釈放後の就職先での職場体験のために外出が認められていたケースもありますが、新型コロナウイルスの感染が拡大していた時期は、外出許可の件数も少なくなっていました。
  • 保護観察制度についての説明

これらの事項について釈放前の指導として、計24時間のカリキュラム(講義や個別の面談など)が組まれています。

満期出所ではなく仮釈放となる場合、カリキュラムの最後には仮釈放を許す旨の決定書の交付式が行われます。ちょうど、学校の卒業式のようなものです。

そのほかの釈放前の準備

受刑者本人に対して釈放前の指導を行う他にも、家族や身元引受人への支援も行われています。

仮釈放にあたっては、受刑者の帰住先の確保が重要になりますが、帰住先となる親族や身元引受人向けの勉強会が行われている事案もあります。

また、出所者の雇用を確保するために、事業主に対して出所者の雇用を促進したり、雇用の奨励金を給付したり、万が一雇い入れた出所者が雇用主に対して損害を与えてしまった場合等の見舞金を用意する等して、間接的に就職の支援も行っています。

受刑者本人だけでなく、その家族や身元引受人、雇用主も、釈放の前から様々な準備を進めていくことになるのです。

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