ストーカー事件

ストーカー事件の類型と流れ

最近ではストーカー行為から殺人や不同意性交等(旧 強制性交等・強姦)等の重大犯罪に発展するケースがニュースなどで報道され、ストーカー行為に対して厳罰やストーカー被害を受けた被害者の保護を求める世論が高まっています。

いわゆるストーカーと言われる行為は法律の規制上大きく分けて2つの類型に分けられます、1つ目はストーカー規制法で規制されているもので、「特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情、またはそれが満たされなかったことに対する恨みの感情を満たすため」という目的のもと住居を見張る、何度も連絡を繰り返すなどのつきまとい行為(ストーカー規制法に類型が規定されています)を行う類型です。

2つ目はストーカー規制法で定められている恋愛感情等以外の感情(例えば嫌がらせをする目的)から、つきまとい行為をする類型で、仮にストーカー規制法の要件を満たさないとしても各都道県の迷惑防止条例違反として処罰される場合があります。

ストーカー規制法では刑事罰に加えて「警告」「禁止命令」という制度を規定しています。

「警告」とは、①被害者から申し出があり、②実際につきまとい等をしていたことが確認され、③その行為をさらに反復してするおそれがあると認められる場合、警察署長等から、さらに反復してその行為をしないよう警告することいいます。

警告自体は刑罰ではありませんが、警告を受けているにもかかわらずその行為を続けた場合には、逮捕されるリスクが高くなります。

「禁止命令」とは、都道府県の公安委員会が、つきまとい等をして相手を不安にさせた者が、さらに反復してその行為をするおそれがあると認めるときに、被害者からの申し出により、または職権で、さらに反復してその行為をしてはならないこと等を命令することをいいます。

禁止命令に違反した場合、6か月以下の懲役または50万円以下の罰金となります。

禁止命令に違反してストーカー行為をした場合、2年以下の懲役または200万円以下の罰金となります。

このようにストーカー事件は一度該当する行為を行った場合でも、警告や禁止命令が出されるにとどまり直ちに刑事事件にならない場合もあります。

ストーカー事件では被害者の方との示談も重要ですが、警告や禁止命令が出された段階で早期に弁護士に相談をして、事実確認を行い、二度と同様の行為を繰り返さないようにすることが刑事事件となり、刑罰を科されることを防ぐために重要になってきます。

ストーカー行為をする背景

ストーカー行為をする方については、乳幼児期に安定した親子関係を築けなかったために、他者との距離感をうまく調整できない心の病の側面もあると言われています。

そのような方はストーキングをしないと不安や絶望感に駆られてしまい、問題行動を繰り返してしまいます。

ストーカー行為に心の病が関係している疑いがある場合には、早期に精神科などの専門機関を受診してカウンセリングを受けるなどの対応をとる必要があります。

ストーカー行為をした方の相談では、警察から警告を受けている、禁止命令が出ているといったケースでも、「被害者は本心では連絡を取りたがっている」、「周囲の人の陰謀で警告が出されているだけだ」、「被害者の本当の気持ちが知りたいので連絡を取った」などと言った話をしばしば耳にします。

このような考え方の背景には、事実を客観的に捉えられておらず、認知に歪みが生じている疑いがあります。

このような認知の歪みが疑われる場合には、早期に面談を実施して警告や禁止命令の意味を理解してもらうこと、今後も行為を継続することのリスクを説明するなどして、認識を改めていただくことが必要になります。

ストーカーの再犯防止のための弁護活動

先述したようにストーカー行為をした方に対しては、ストーカー行為に至った経緯や理由をしっかりと把握した上で再犯防止に向けた活動をしていくべきです。

まずは事件を起こされた方としっかりと面談をして、カウンセリング等の治療が必要な場合には早期に受診するようにアドバイスをさせていただきます。

認知の歪みが疑われる方に対しては、正常に判断していただけるように面談で粘り強く働きかけを行って参ります。

またストーカー行為は日常生活の中で反復して行われるものです。現代ではスマートフォンやSNSが発達しており家に居ながらにしてもストーカー行為を行うことは可能になってきます。

ご家族など事件を起こされた方の周囲の方とも協力しながら再犯防止に取り組んでいく必要があります。

ストーカー事件で起訴された場合に、より軽い判決を得るためには再犯防止策を具体的に主張することが非常に重要です。

具体的な監督体制や、専門機関への通院状況を訴えて、被害者の方に再度の接触や、危害を加えることをしないように信用してもらうように、裁判では具体的に主張していくことが必要です。

ストーカー事件は警告や禁止命令に違反した場合、警告等が出ている段階で被害者に危害を加えた場合には身体拘束のリスクが非常に高く、科される刑事罰も重くなる傾向にあります。

したがって早期から弁護士に相談するなどして違反行為を繰り返すことを防ぐことがその後の再犯防止や更生に向けても重要になります。

その上で、心の病や認知の歪みが疑われる場合には専門機関の助力も受けながら根本的な更生を目指していく必要があります。

ストーカー行為で警告や禁止命令が出された場合、ご家族が警告等を受けられた場合には、なるべく早くストーカー事件などの刑事事件に豊富な経験を持つあいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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