執行猶予の制度と執行猶予の取消しについて刑事事件少年事件に精通した弁護士が解説します④

執行猶予の制度と執行猶予の取消しについて刑事事件少年事件に精通した弁護士が解説します④

ガベル

【事例】

Aさんは、大阪府岸和田市に住む30代の女性です。

Aさんは、20代の頃から仕事でストレスを感じると万引きを繰り返してしまっており、何度か警察に捕まって罰金刑を受けたこともありました。

それにもかかわらず、Aさんは万引きを繰り返してしまい、今回、大阪地方裁判所岸和田支部で刑事裁判を受け、執行猶予付きの判決を言い渡されることになってしまいました。
裁判官から判決を言い渡される際にも、次に犯罪をしたら長期間刑務所に行くことになる可能性が高いという趣旨の話をされています。

その一方で、インターネットで調べると、再度の執行猶予という制度があることも知りました。

Aさんは、二度と犯罪はしないと思っていますので、執行猶予が取り消されるかもしれないという心配はする必要がないと思っています。
ただ、どのような場合に執行猶予の判決が取り消されるのかは気になってしまいました。

その一方で、Aさんの両親は、Aさんが現に繰り返してきていますから、このままではまた繰り返してしまうのではないかと心配しています。
そこで、万が一にも執行猶予が取り消されるようなことがないように、Aさんのためにできることはしておきたいと考えています。

Aさんと両親は、更生支援にも取り組んでいるということをインターネットで知り、あいち刑事事件総合法律事務所に相談に行くことにしました。
(事例はフィクションです)

1 はじめに

前回までの記事では、Aさんや両親の疑問について解説していく前提として、執行猶予とできる条件や期間、保護観察などを解説してきました。
今回の記事では、どのような場合に執行猶予が取り消されるのかについて解説していきます。

2 執行猶予の取消し

どのような場合に執行猶予が取り消されるのかは、刑法26条と26条の2に定められています。

⑴ 必要的取消し

刑法26条では、再度の執行猶予とされるのでなければ、次のいずれかに該当する場合は、必ず執行猶予が取り消されると定められています。
①「猶予の期間内に更に罪を犯して拘禁刑以上の刑に処せられ、その刑の全部について執行猶予の言渡しがないとき」(1号)
②「猶予の言渡し前に犯した他の罪について拘禁刑以上の刑に処せられ、その刑の全部について執行猶予の言渡しがないとき」(2号)
③「猶予の言渡し前に他の罪について拘禁刑以上の刑に処せられたことが発覚したとき」(3号)

⑵ 裁量的取消し

刑法26条の2では、次のいずれかに該当する場合、執行猶予を取り消すこともできる旨が定められています。
①「猶予の期間内に更に罪を犯し、罰金に処せられたとき」(1号)
②執行猶予の言渡しの際に、保護観察にも付された人が、保護観察に当たって定められた「遵守すべき事項を遵守せず、その情状が重いとき」(2号)
③「猶予の言渡し前に他の罪について拘禁刑に処せられ、その刑の全部の執行を猶予されたことが発覚したとき」

今回、Aさんが1年の拘禁刑で、その執行を3年間猶予するという判決を受けていたとします。
Aさんがこの3年間の間に、再び犯罪をしてしまい、例えば裁判で拘禁刑1年6月の実刑とされたとします。
この場合は、刑法26条1号に基づき、今回受けた3年間猶予するという執行猶予が取り消され、新たに言われた1年6月だけでなく、今回受けた1年の分も刑事施設に行かなければならなくなります。

次回の記事では、再度の執行猶予について解説していきます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事裁判での弁護活動や警察の捜査を受けている段階での弁護活動はもとより、刑事事件・少年事件に関わってきた経験を活かし、事件後の再犯防止に向けたサポートにも力を入れています。
再犯防止に向けた弁護士のサポートにご興味のある方は、一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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