窃盗症・クレプトマニア

クレプトマニアについて

クレプトマニアを日本語に訳すと「窃盗癖」又は「窃盗症」になります。

なお国際疾病分類(ICD-10)では、「病的窃盗」と記載されています。簡単に言い換えれば「盗みを止めたくても止められない」という精神疾患です。

クレプトマニアの診断基準については、アメリカの精神疾患の診断基準であるDSM-5において「窃盗症」と記載されている精神疾患ですが、診断基準については次の5つがあげられています。

A 個人的に用いるでもなく、またその金銭的価値のためでもなく、物を盗もうとする衝動に抵抗できなくなることが繰り返される。

B 窃盗に及ぶ直前の緊張の高まり。

C 窃盗を犯すときの快感、満足、または解放感。

D 盗みは、怒り又は報復を表現するためのものでもなく、妄想又は幻覚に反応したものでもない。

E 盗みは、行為障害、躁病エピソード、または反社会的人格障害ではうまく説明できない。

ここで示されている基準は1つの目安ではありますが絶対のものではありません。

またAの要素について、実際の事件では満たす場合は多くなくこの基準を満たすかどうかだけで考えるのは危険です。

そこで盗みを止められたくても止められないという悩みを抱えられている方は、まず専門機関で受診を受けることをおすすめします。

以下ではクレプトマニアが疑われる方の弁護活動について解説していきます。

2 クレプトマニアが疑われる方の弁護活動

(1)専門機関での治療

クレプトマニアが疑われる方は、盗みを止めたくても止められないという悩みを抱えられているので、自分ひとりの力で再犯を防止することは難しいです。

そこで早期に専門機関を受診して診察を受けるとともに、適切な治療を受けることが重要になります。症状の程度によっては入院治療などの集中的な治療を行うこともあります。

何より一人やご家族だけで抱え込まないで適切な専門機関を知って、そこを受診することが重要になってきます。

(2)ミーティングへの参加

クレプトマニアが疑われる人については、各地域で行われている自助グループによるミーティングに参加することをお勧めしています。

ミーティングでは共通の悩みを持つ方たちと自分のした犯行について話したり、反対に他の人の経験を聞いたりすることができます。

ミーティングに参加する目的は、他のクレプトマニアの方の話を聞いて共感したり、他人の姿を通して自分の病気への認識を深めることがあります。

クレプトマニアが疑われる方は近しい方や周囲の人には自分の犯罪のことを相談しづらいという悩みを抱えている方も多いと思います。

ミーティングでは「言いっぱなし、聞きっぱなし」というルールがあるので批判されることはありません。

周囲に悩みを打ち明けることで居場所ができるという経験をすることもでき、自分を受け入れた上で更生に向けて前向きに頑張ることができるようになります。

居場所がないと感じている方にとっては特にミーティングへ参加することを前向きに考えてみてはいかがでしょうか。

最近ではコロナ禍の影響もありzoomなどで参加できるミーティングもあるそうなので、ぜひ問い合わせてみることをお勧めします。

(3)公判での弁護活動

クレプトマニアが疑われる方の場合、2回、3回と再犯に及んでいることが珍しくありません。

当然ですが複数回起訴されていますと執行猶予判決が認められることは難しくなり、特に執行猶予期間中に再犯に及んで起訴されてしまった場合、再度の執行猶予を獲得することは非常に高いハードルがあります。

しかしながら、クレプトマニアが疑われる方にとって、刑務所に入ることは根本的な問題の解決にはつながらないことがしばしばあります。

そのことは近年徐々に裁判所にも受け入れられてきて、クレプトマニアの影響が犯行にあると認められるケースで再度の執行猶予が認められたケースもあります。

このように裁判所に認めてもらうためには、専門家の証人を呼んで犯行に影響を与えたことを裁判官に分かってもらうことや、再犯防止のために治療等を初めて今後も継続していくこと、治療の効果が上がっていることなどを粘り強く主張し、判決を下す裁判官に理解してもらうことが必要です。

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