刑務所内での就労支援

再犯を防止するためには、安定した住居と就労が重要であるとされており、政府も、再犯防止推進計画の中で「住居と就職の確保」に優先的に取り組んでいるようです。

そのため、刑務所内においても、出所後の生活を見据えて、様々な就労支援や指導がなされます。

刑務所内での就労支援

刑務所内での就労に向けた支援は、刑期の途中から開始されます。

刑務所内で、支援の対象者を選別した上で実施されます。具体的には、刑務所内で各地方の職業安定所で行っている就労支援業務のうち、職業相談、職業紹介、職業講話、求人情報の提供といったものが行われます。

刑事施設で収容されている間の就職活動として困っていた点の一つが、求人情報などに一切アクセスができないという点です。

刑務所内ではもちろんインターネットは使えませんし、求人情報誌を見て電話を掛けたりすることもできません。

受刑者側から雇用主に対して連絡を取る手段がほとんどないのですから、就職活動は極めて困難です。そのため、刑事施設が行う就労支援が、ほぼ唯一の就職活動の手段となります。

支援の対象となれば、仮釈放などで出所する前から、職業安定所に対して求職申込書の提出ができますし、受刑者であったことを前提とした雇用主からの求人を受けることができるため、効率的に就職活動を行うこともできます。

また、求人そのものに関するものだけでなく、いわゆる「キャリア支援」も行われます。

職業安定所に、受刑者や出所予定者の支援を専門とする部門が置かれ、各自に担当者がついて、求職活動のためのアドバイスや履歴書の添削、面接指導が受けられます。

更に、職業訓練の斡旋やセミナーの受講などについてまで支援があります。

刑事施設における就労支援の対象となるのは、基本的に出所見込みから3か月以内にある人で、稼働能力がある(身体的、精神的な健康状態から働くことができる)こと、就労支援を受ける意思があることが前提となります。

同じ刑事施設内で多数の人が就労支援を希望する場合には、施設内でより意欲が高いと思われる人から優先的に選定されることになります。

民間事業主側の支援

一方、まだまだ数は少ないものの、刑事施設からの出所者に向けた求人を積極的に行っている事業主の方もいます。

社会復帰求人応援サイト「ネクスト」

https://next-kyujin.jp/aboutus/

広島県にある株式会社豊生という会社が運営している、刑事施設からの出所者の支援に特化した求人サイトです。

求人を出している事業主も、刑務所から出所する方や社会復帰を目指している方も対象に含めて求人をしているため、「前科のある人は採用できない」等といったミスマッチが起き得ないものになっています。

求人情報誌「Chance‼」紹介記事

https://www.bengo4.com/c_5/n_7557/

こちらは刑務所、少年院に在所している人へ向けた求人情報誌になります。

株式会社「ヒューマン・コメディ」という会社が発行しているもので、「ネクスト」と同様に前科のある方、刑務所から出所した方の雇用を前提として、事業主が求人を出しているものになります。

その他、個々の事業者の方の中では刑事施設からの出所者も求職者として対等に扱うところもありますが、やはり多くの事業主の方は敬遠してしまいます。

法務省も、施設出所者を雇い入れる事業主を「協力事業主」として支援を行っていますが、それでも求職者側(施設の出所者)と、事業主側とのマッチングは難しいところがあるでしょう。

社会復帰のためには安定した住所と就労活動が重要です。そのためにも官民が良く連携した構造が必要不可欠であろうと思われます。

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