不良措置
保護観察の期間は、刑期満了までです。
保護観察期間中に再犯をしてしまったり、遵守事項の違反があれば、不良措置が採られることになります。
不良措置には、保護観察の停止と仮釈放の取消しがあります。
保護観察の停止とは、仮釈放者が居住すべき届出住居に居住せず、その所在が分からなくなった場合など、所在不明により保護観察が実施できなくなった場合に、保護観察所長の申出により地方委員会が決定するものです。
保護観察が停止すると、①刑期の進行が停止し、②時効完成まで刑に付されている身分が終わらなくなる、という大きな不利益を受けることになります。
仮釈放者の所在が判明すれば、保護観察の停止は解除されます。
仮釈放の取消しとは
- 仮釈放中に更に罪を犯し、罰金以上の刑に処せられたとき
- 仮釈放前に犯した他の罪について罰金以上の刑に処せられたとき
- 仮釈放前に他の罪について罰金以上の刑に処せられた者に対し、その刑の執行をすべきとき
- 遵守事項違反があったとき
に採られる措置です(刑法29条1項)。
仮釈放の取消しは、④の場合は保護観察所長の申出を受けた地方委員会が、それ以外は申出不要で地方委員会が決定します。
仮釈放が取り消されると、当然ですが刑務所に再度収容されることになります。
なお、①から④に該当すれば「必ず」仮釈放が取り消されるというわけではなく、法律上は「取り消すことができる」という規定になっています。
不良措置による不利益は非常に大きいですので、仮釈放中に再犯をしてしまうようなことはもちろんのこと、所在不明となることや遵守事項に違反するようなことは絶対に避けるようにしましょう。
不服申し立て
保護観察の停止や仮釈放の取消しに対しては、行政不服審査法に基づく不服申立てをすることができます。