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一般情状について
先ほどのページでも説明しましたが、一般情状とは犯罪に関する事実である犯情事実を除いた事情のことを指します。
犯情事実の方が判決における量刑に与える影響が大きいと書きましたが、当然ながら一般情状に関する事実も量刑に考慮される事情には変わりませんので、何の事情を主張していくのか、事案に応じてどのような事実を作出していくのか、弁護士と相談しながら進めていくことが重要です。
一般情状の事実として挙げられるものとしては、
- 被告人の年齢
- 学齢や生活歴
- 性格
- 健康状態
- 職業の有無及び地位・収入・資産
- 日頃の勤務状況
- 日頃の生活状況
- 家庭その他の環境
- 保護監督者の有無
- 前科前歴・非行歴
- 同種前科前歴の有無
- 粗暴癖
- 盗癖
- 酒癖
- 薬物依存の傾向
- 性犯罪傾向等の性癖の有無程度
- 遵法精神の有無
- 反省の有無
- 被害者への謝罪意思と被害弁償の努力
- 示談成立と被害者の宥恕
- 贖罪寄付
- 家族・雇用主の監督誓約の有無
- 長期間の勾留による事実上の制裁の有無
- 職場の解雇
- 会社の倒産
- 社会的信用の失墜等の社会的制裁の有無
- 生活環境の整備・改善
- 社会事情の推移
- 関連法規の変動
- 再犯可能性・更生可能性の有無など
が考慮されます。
上記で挙げた事実の中では、前科や年齢など弁護活動によって変える事ができない事情もあれば、示談成立や生活環境の整備など弁護活動を受けることによって主張できるようになる事情もあります。
裁判でどのような事情を一般情状として主張していくのか
先ほど犯情事実以外の事実を一般情状といい、犯情事実の方が量刑判断に与える影響が大きいと述べました。
上述したように一般情状に関する事実と言われている事実は非常に多岐にわたっています。
一般情状に関する事実のなかでも当然ながら、量刑判断に与える影響が大きい事実もあれば、量刑判断においてあまり考慮されない事情もあります。
そして一般情状に関する事実のうち何が重要な事実かは事件の類型や、当該事件に至った具体的な原因によっても変わってきます。
例えば犯行の経緯に性依存症が関わっている性犯罪においては示談の締結を目指すだけでなく、専門機関への通院などを通じて性依存症の治療を行い、再犯防止を目指していくことが重要な情状として量刑判断に影響するといえます。
このような事件では犯行に至った原因や背景について出来る限り早く気付き、再犯防止に向けた活動を始めていくことが重要になります。
刑事事件において裁判までの期間は限られているといえますので、早期に刑事事件に精通した弁護士に相談することをお勧めします。