保護処分

保護処分とは

保護処分とは、少年審判を経て言い渡される最終的な処分のことです。
大人の裁判における判決(特に有罪判決)に相当するものです。

しかし、大人の裁判における判決とは、その性質がまったく異なります。

大人の裁判における判決では、有罪か無罪かが言い渡され、有罪の場合には刑罰が科されることになります。刑罰は、「自分がしてしまったことに対する制裁」という意味合いが強いです。

しかし、保護処分は少年の健全な育成のため、そして真の更生を図るためのものであり、教育という側面が強いものです。

刑罰が「自分がしてしまったこと=過去のことに対する制裁」であるのに対し、保護処分は「今後の健全育成のため、再非行をしないため=将来のための教育」というものなのです。

保護処分には、大きく分けて

  1. 保護観察
  2. 児童自立支援施設又は児童養護施設送致
  3. 少年院送致

の3種類があります(少年法24条)。

①は施設収容されることはなく、普段の生活に戻ることができます。一方で、②と③は施設に収容されることになります。

保護観察

保護観察とは、施設に収容されることなく、社会の中で生活することによって少年の更生や改善を図るものです。

「社会内処遇」などと呼ばれることもあります。

保護観察となった場合には、保護観察所による指導監督を受けることになります。

具体的には、保護観察官や保護司の指導監督のもと、様々な取り組みをしていくことになります。保護観察官は数が少ないため、ほとんどの場合、実働は保護司になります。

指導の内容はそれぞれの事件の内容や少年自身の反省の深まり度合いによっても異なりますし、担当する保護司によっても異なります。定期的な面談をする場合や、保護司からの課題に取り組む場合などが多いようです。

保護観察の期間は原則として20歳になるまでです。

保護観察の決定を受けてから少年が20歳になるまでの期間が2年未満の場合は、保護観察期間は2年となります(更生保護法66条)。

保護観察はその中でもさらに類型分けされており、

  1. 一般保護観察
  2. 一般短期保護観察(期間が6か月程度)
  3. 交通保護観察
  4. 交通短期保護観察

の4種類で運用されています。

保護観察では、保護観察者全員が守るべき「一般遵守事項」や個別に決められる「特別遵守事項」が定められ、遵守事項違反があった場合には、少年院等に送致されてしまう可能性があるので注意が必要です。

児童自立支援施設又は児童養護施設送致

児童自立支援施設とは、不良行為をなし、またはなすおそれのある児童及び家庭環境その他の環境上の理由により、生活指導等を要する児童を入所させ、または保護者のもとから通わせて、児童の状況に応じて必要な指導を行う施設です。

比較的低年齢の少年で、少年自身の問題よりも家庭環境に問題がある場合(例えばネグレクトや虐待があるなど、自宅に戻ることが適切でない場合)に選択されることが多いようです。

児童養護施設とは、保護者のない児童、虐待されている児童その他環境上養護を要する児童を入所させて養護し、自立支援援助をする施設です。

児童養護施設は、本来は非行少年を処遇するための施設ではないため、児童養護施設送致決定をする場合は稀です。

児童自立支援施設も児童養護施設も、「施設に収容される」という点で少年院と共通しています。しかし、児童自立支援施設や児童養護施設はあくまで福祉施設であり、矯正施設である少年院とは本質的な違いがあります。

なお、18歳・19歳の特定少年の場合はこの処分になることはありません。

少年院送致

少年院とは、少年を収容し、矯正教育その他の必要な処遇を行う施設です。

少年院の特徴は閉鎖施設であることです。

特別な事情がない限り、外泊などは許されません。規律ある生活を身に付けるためです。

少年院に収容することができるのは、原則として20歳までです。少年院送致決定を受けた日から20歳になるまでに1年を経過していない場合には、その日から起算して1年間に限り継続収容することができます。

少年院は少年の犯罪傾向を矯正し、健全な心身を培わせ、社会生活に適応するのに必要な知識や能力を習得させることを目的として、種々の矯正教育を行います。生活指導だけではなく、職業指導や教科指導なども行います。

少年院は全国に46施設あり、犯罪傾向の進み具合や年齢、男女の別などにより、どの少年院に送致されるかが決まります。場合によっては、自宅から離れた地域の少年院に送致されることもあります。

原則として20歳になれば退院となりますが、仮退院や矯正目的を達成したことによる退院もあります。

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