服役中の処遇プログラム

※2025年6月1日より、改正刑法に基づき懲役刑および禁錮刑は「拘禁刑」に一本化されました。当ページでは法改正に基づき「拘禁刑」と表記していますが、旧制度や過去の事件に関連する場合は「懲役」「禁錮」の表現も含まれます。

刑務所は、社会から隔離されるだけの場所ではありません。出所後に再び罪を犯さないために、心身を整え、生活能力を高める“改善更生”を目的とした施設です。

そして、令和7年6月1日から懲役刑・禁錮刑は「拘禁刑」として一本化され、処遇の柔軟性が大きく向上しました。

以下では、その内容を含め服役中の処遇プログラムわかりやすくご説明します。

1.「拘禁刑」による処遇の変化

従来、懲役刑では「必ず刑務作業」が義務付けられ、禁錮刑では「作業の義務はない」運用でしたが、これらは廃止され拘禁刑に一本化されました。拘禁刑の条文では刑務作業の実施は任意であることが明文化されました。

新たに導入された拘禁刑では、「必要な時に作業を行い、必要な時に指導を受ける」柔軟な対応が可能となりました

これにより、以下のような処遇が実現する予定であることが法務省により示されています(https://www.moj.go.jp/kyousei1/kyousei05_00164.html)。

  • 高齢者や障害を抱える方は必要に応じてリハビリ中心のプロセスを受けられます(高齢福祉課程など)
  • 薬物依存やギャンブル依存のある方は、依存回復プログラムがより充実します
  • 若年受刑者に対する学習支援・就労技術訓練も強化されます

2.処遇プログラムの分類

① 一般改善指導

これまでの「一般改善指導」と同様に、社会生活に不可欠な心構えや生活習慣などを身につけるためのプログラムです。次の3つを柱に実施します。

  • 罪の責任を自覚させる講話・教材で罪悪感を醸成
  • 生活習慣改善のための講話、面接、体育など
  • 資格取得支援・対人コミュニケーション教育

拘禁刑導入後も、これらは受刑中を通じ継続されます。

② 特別改善指導

依存症・性犯罪・暴力団関係など、個別の問題に対応する集中型プログラムです。

従来通り、調査センターの調査結果と日々の服役態度に基づき、必要な人に実施されます。

例として:

  • R1:薬物依存脱却
  • R2:暴力団離脱
  • R3:性犯罪再犯防止

…など計6種類の集中型プログラムがこれまでに引き続き実施されます。

拘禁刑のもとでは、こうしたプログラムの時間や内容が、刑務作業とのバランスを踏まえつつ柔軟に設定されるようになりました。

③ 拘禁刑の導入に伴って加えられる予定のプログラム

  • 教科教育:小中学校や高校相当の学び直し
  • 福祉的支援:知的障害・精神障害のある方、70歳以上の高齢者を対象にした支援課程
  • 新たな刑務作業:対人スキル訓練など、作業に教育要素を取り入れた試み

3.処遇プログラムの具体例

課程名 対象者 内容の一例
一般改善指導 全ての拘禁刑受刑者 講話、グループワーク、読書、体育、資格取得支援
依存症回復課程 薬物・ギャンブル依存がある方 グループでの実践支援、専門家による指導など
若年課程 26歳未満の若年受刑者 学力向上、就労訓練、小集団ユニットでの支援
高齢福祉課程 70歳以上・障害のある高齢者受刑者 認知機能維持トレーニング、日常生活支援
新たな刑務作業形態 任意参加 議論型作業による対人スキル向上

各課程は、個々の受刑者のアセスメントに応じて、刑務所が柔軟に組み合わせて実施します。

4.まとめ~重要なポイント~

  • 令和7年6月1日以降に犯した事件に対する有罪判決から「拘禁刑」が適用されることになります。
  • 拘禁刑導入後は刑務作業は不要になるわけではなく、必要に応じて行う任意のものとなります。
  • 拘禁刑においては受刑者の特性に応じた更生のためのプログラムがされることが予定されています。
  • プログラムは個々の状態に合った内容で、詰め込むのではなく“改善”に重きを置いた内容になります。

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