Archive for the ‘更生支援・出口支援’ Category

「パパ活」から刑事事件につながってしまう場合について刑事事件に精通した弁護士が解説します

2024-07-18

1 パパ活について

近年「パパ活」という言葉をよく聞くようになったように思われます。
パパ活」というものそのものに明確な定義があるわけでないですが、多くの場合、若い女性が相当年上の男性から食事をご馳走されたり金銭をもらったりする対価として、擬似恋愛的な行為や性的な行為をするといった要素を含んでいます。
つまり「パパ活」というと可愛らしい雰囲気を感じる人もいるかもしれませんが、要するに「援助交際」です。また性交を伴うなら「売春」です。
パパ活」という言葉の雰囲気に惑わされず、それに伴ってされる行為の内容如何によっては、刑事事件に発展するリスクがあることを忘れてはいけません。

2 パパ活が刑事事件につながるケースについて

 さて、このパパ活が犯罪に繋がることがあります。
 まず、パパ活をしている側には、売春、わいせつ電磁的記録媒体公然陳列などの罪を犯したとして、被疑者・被告人扱いされることがあります。具体的には金銭を受け取って性交をしていると売春、パパ活相手の募集のため裸の写真をSNSにアップするとわいせつ電磁的記録媒体公然陳列という犯罪が成立する場合があります。
他にも「お父さんの手術のために100万円が必要なのに、お金がない。」などと嘘を言ってパパ活相手からお金を受け取ると詐欺などが成立し得ます。
 刑事事件の加害者となるだけではなく、パパ活をしたことで、盗撮や不同意わいせつなどの犯罪の被害者となることがあります。
 このように刑事事件に関わってしまった場合、刑事事件の被害者として巻き込まれた場合、どのような対応が必要になるでしょうか。

3 刑事事件に発展してしまった場合の対応

①刑事弁護対応
 まずパパ活をしている自分が被疑者・被告人となった場合には、刑事弁護の対応が必要になります。
取り調べで気を付けるべきことについて弁護士からアドバイスを受けるほか、詐欺など被害者のいる犯罪をしてしまった場合には示談をする必要があります。
起訴されて裁判になるようなケースで、パパ活が犯行の原因の一端になっている場合にはパパ活を今後行わないようにして再犯を防止する方策などを具体的に主張する場合もあります。
②被害者になった場合の加害者への責任追及
 盗撮や不同意わいせつ等の被害者となった場合、加害者に対して損害賠償請求をすることのほか、警察等捜査機関に被害届を提出する際のサポートを行うことになります。

4 刑事事件までは発展していないケースの対応

 加害者であれ被害者であれ「パパ活」から発生したトラブルの原因はパパ活にあります。パパ活は、内容によっては風紀を乱すものであり、行うべきものではない場合があります。
事件をきっかけに一度パパ活をやめたとしても、お金がなくなってきた頃にまたパパ活をしようと思ってしまったり、突然SNSにパパ活しないかと尋ねてくる人がいたりするかもしれません。
そのような時に二度と同じようなトラブルが起きないよう、継続的に顧問弁護士と相談できる体制を整えておく必要があります。

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所には、パパ活がきっかけで刑事事件のかが視野となり逮捕されたり起訴されたりする人の弁護活動や再犯防止のためのサポートを行っています。
や被害者となって加害者に対する責任追及を求める方のサポートや弁護活動もお引き受けしています。
お悩みの方は、ぜひ弊所までご連絡ください。パパ活に関係した刑事事件に限りませんが、充実した刑事弁護を行うとともに、一緒に更生のために必要なことを考えていくことができます。

ホストクラブに依存していたことから財産犯に手を染めてしまった方の弁護活動について解説します

2024-07-04

1 ホストクラブへの依存と犯罪

近頃、ホストに貢ぐお金を準備するために、犯罪行為をする人のニュースをよく耳にします。
例えば売春、つまり公園などの近くで通行人に性交渉を持ちかけて金銭を受け取る行為は売春防止法違反にあたります。
また出会い系サイトで被害者を騙してお金を巻き上げる詐欺事件や、職場のレジからお金を盗む窃盗事件もよく聞かれます。
ホストクラブにはまったことが契機となって大規模な詐欺事件を起こしてしまった事件については、こちらの報道を目にした方も多いと思います。

まずそもそもの話ですが、ホストクラブに通うかどうかは自らの意思で決めるべきことで、自分で用意できる範囲のお金で楽しむ分には全く問題ありません。
しかしながら犯罪をしてまで、お金を得てホストクラブ通いをしようとするのであれば、それはホストクラブに過度に依存しているといえます。
このような状況になってしまっているのであれば、健全な社会生活を取り戻すためにホストクラブに通うことをやめなければなりません。

そのような依存から抜け出すためには、まずはホストに対してお金を使う自分自身を見つめ直して、自身の行動を律する必要があります。
しかし、それが一人でできれば犯罪に関わるほど依存したことはなかったでしょうから、依存から脱却するためには周りのサポートが必要となってきます。
今回の記事では、このような事例において弁護士として、どのような対応をすることができるのか解説させていただきます。

2 ホストクラブへの依存から刑事事件を起こしてしまった場合の弁護活動

①被害者対応
 もし、ホストに貢ぐために詐欺や窃盗をしてしまったのであれば、被害者に対して弁償をする必要があります。
 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の名古屋支部が過去に解決した事案としては、インターネット上で知り合った人から1000万円以上の金銭を詐取したものの、示談をして不起訴を勝ち取った事例や職場から200万円以上の金銭を盗んだものの、弁償をして不起訴を獲得した事例があります。
②ホストクラブとの交渉
 ホストにハマってしまった人は、多額の買掛金を負担していることが少なくないです。ホストクラブ側には売掛金があることになります。
 売掛金や買掛金というのは難しい言葉ですが、要するに「ツケ」です。最近街の商店街がどんどん衰退しているので「ツケ」というものにも馴染みがなくなっているかもしれません。
 例えば大将と馴染みのお寿司屋さんでお客さんが「大将、今日の分ツケといて」などというシーンを昔のドラマなどで見たことがないでしょうか。要は、今日は手持ちのお金がないから次来た時にまとめて払わせてほしいという趣旨のものです。
 ホストクラブでは1本数百万円のボトルを一般のお客さんに平気で売りつけるところもあります。当然お客さんはそう簡単に数百万円も払えないのでツケ払いを選択した結果、泥沼にハマっていくことになります。
 弁護士がホストクラブとの間に入って、負っている債務に関して減額交渉や分割払いの交渉等をすることで、ホストクラブと円満に関係を解消すことができます
③継続的な顧問対応
 一度ホストクラブにハマってしまっていた方は、また通いたくなってしまうことが考えられます。
 ふとした時に突然ホストから誘いの連絡が来るかもしれません。
 いったん事件が落ち着いた後も顧問弁護士をつけておくことで、二度と同種のトラブルに巻き込まれないよう監督を図ることができます。
 顧問契約に関してはこちらの案内をご覧ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所には、ホストクラブに依存してしまったことにより事件を起こして逮捕されたり起訴されたりする人のサポートをしています。
お悩みの方は、ぜひ弊所までご連絡ください。ホスト絡みの事件に限りませんが、充実した刑事弁護を行うとともに、一緒に更生のために必要なことを考えていくことができます。

兵庫県豊岡市の特殊詐欺事件で少年院に送致された事例 少年院での処遇について③

2024-06-27

【事例】
Aさんは、兵庫県豊岡市に住む17歳の男子高校生です。
ある日、AさんはSNS上である投稿を見つけました。
それは、ある物を受け取って運ぶだけで何万円もの報酬を支払うといういわゆる闇バイトを募集する投稿でした。
犯罪かもしれないと思いながらその募集に応募したAさんは、兵庫県内や鳥取県内でいわゆる特殊詐欺に何件も加担してしまいました。
高齢の方が住む自宅に赴いてキャッシュカードをすり替えて盗んだり、そのキャッシュカードを使って何百万円ものお金を引き出して盗んだりしたのです。
その後、鳥取県内の警察署に逮捕、勾留され、再逮捕もされました。
捜査を受けた後、最終的に神戸家庭裁判所豊岡支部に事件が係属し、神戸少年鑑別所に収容するという観護措置が取られました。
そして、神戸家庭裁判所豊岡支部は、Aさんの少年審判を行い、少年院に送致するという処分を決めました。

AさんやAさんの家族は、少年院に送致するという処分自体には納得していましたが、少年院ではどのようなことをするのか、どこの少年院に行くことになるのか、どのくらいの期間行くことになるのかなどが知りたいと思い、それまでもAさんの弁護人、付添人であった弁護士に相談することにしました。
(事例はフィクションです。)

1 はじめに
以前の記事(この記事を読まれたい方はこちらからご覧ください)では、収容される少年院が決まる過程を説明するために、①家庭裁判所、②少年院、③少年鑑別所の違いについてみてきました。
今回の記事では、この点をより詳しくみていきます。

2 少年審判で決めること
少年審判で少年院送致という処分にする場合、①家庭裁判所が決めるのは、Ⓐ少年院の種類、Ⓑ処遇勧告、Ⓒ環境調整命令の3つです。

⑴ 少年院の種類(Ⓐ)
以前の記事で解説したように、少年院には第一種から第五種までの5種類の少年院があります。
家庭裁判所は、その5種類(実質的には3種類)の中からいずれの少年院に送致するのかを指定します(少年審判規則第37条第1項)。
少年院の種類についてはこちらの法務省のページも参考にしてください。

⑵ 処遇勧告(Ⓑ)
家庭裁判所は、少年院に送致するという決定をする場合、少年院に対して、その少年の処遇に関して勧告することができます(少年審判規則第38条第2項)。
具体的には、少年院に入る期間についてや、第三種少年院で医療措置を受けた後にどの種類の少年院に行くべきなのかについてといったものです。
このうち少年院に行く期間としては、約1年間というのが標準的な期間とされています。
しかし、事件の内容によっては、6カ月間(短期と表現することがあります。)や4カ月間(特別短期と表現することがあります。)といったそれよりも短い期間の処遇でよいとされる勧告がされることがあります。
その逆で、約2年間(比較的長期と表現することがあります。)やそれ以上の期間(相当長期と表現することがあります。)などといったそれよりも長い期間の処遇にすべきだと勧告されることもあります。

⑶ 環境調整命令(Ⓒ)
環境調整命令とは、家庭裁判所が保護処分を決定する際に保護観察所長に対して行う命令で、「家庭その他の環境調整に関する措置を行わせる」命令のことです(少年法第24条第2項)。
保護観察所長に対する命令ですので、家庭裁判所が保護観察に付するという処分(少年法第24条第1項第1号)をする場合になされることが多いですが、少年院退院後を見据えてなされる場合もあります。
例えば、少年院を仮退院した後の帰住先や就業先が確保できるように、保護者や児童相談所などとの調整を依頼するというようなものです。

次回の記事でも、収容される少年院が決まる過程についてさらに解説していきます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件・少年事件に関わってきた経験を活かし、少年審判後の再犯防止に向けたサポートにも力を入れています。
再犯防止に向けた弁護士のサポートにご興味のある方は、一度、あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

違法薬物の危険性について、刑事事件・少年事件を多数取り扱ってきた弁護士が解説します

2024-06-20

1 違法薬物について

皆様は、「違法薬物」と聞いて、どんなものを思い浮かべるでしょうか。
大麻、覚醒剤、アヘン、コカイン、MDMAなど、いろいろなものがあります。
違法薬物とは文字通りに、法律でその使用や所持などが規制されている薬物のことを指します。

2 違法薬物の危険性についてどこまで理解していますか

さて、これらの違法薬物は、当然危険なものだから法律で規制されているのですが、どのくらい危険なのでしょうか。
薬物の規制や危険性については、こちらの厚生労働省のホームページも参考にしてください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、これまで多くの刑事事件の解決に取り組んでおり、違法薬物事件の弁護もその一つです。
そして、実際に違法薬物を使っている人の中には、薬物を使うことに慣れてしまって危険なものであるという感覚がなくなってしまっている人も少なくないです。
その危険なものという感覚の欠如こそ、違法薬物の中毒性、依存性の表れであり、最も危険な作用の一つともいえます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が過去の経験により知る事例としては、LSDを使用した人が錯乱をしたのか幻覚を見たのか崖から飛び降りて命を落とした事件があります。
もし友達と一緒に違法薬物を使用した結果、その友達が死んでしまったら、どう思うでしょうか。また、もし自分の家族が違法薬物を使用した結果、死んでしまったら、どう思うでしょうか。
おそらく悔やんでも悔やみきれないでしょう。
また自分が違法薬物を使用した結果、錯乱し、死んでしまったとか一命を取り留めたものの重度の障害を残してしまったとしたらどうでしょうか。
違法薬物による一時の快感のためにその後一生に支障が出るリスクを犯すのは相当馬鹿らしいのではないかと思われます。

しかし、違法薬物を使用する人は、そのようなリスクについて考えてもいないことが少なくありません。そして、まさに違法薬物に関する正しい知識や理解が不十分であることこそが再犯につながってしまうのです。
あいち刑事事件総合法律事務所では多数の事件に関わってきた経験を生かして、上記のような話をするなど、当事者の方と密に対話をすることで薬物の危険を正しく理解してもらえるように努めています。

3 薬物事件に関わってしまった方の弁護活動について

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所には、違法薬物を使用して逮捕されたり起訴されたりする人のサポートをしています。
そのサポートの内容としては、早期の身柄解放や刑事処分の軽減といった刑事弁護活動をもちろん含みます。薬物事件一般の弁護活動についてはこちらのページも参考にしてください。
それに加えて、違法薬物を使ってしまった被疑者・被告人の方と密度の高い打合せを実施して、違法薬物の危険性についてよく考えることを促し、再犯防止のため具体策を取ることを含みます。
「子供が違法薬物で逮捕されてしまった、今後もまた使うことがないか不安だ」「前に裁判を受けたのにまた薬物を使ってしまった、次の裁判がどうなるか不安だしもう薬物をしないで済むよう専門家と話をできないか」とお悩みの方は、ぜひ弊所までご連絡ください。
薬物犯罪に限りませんが、充実した刑事弁護を行うとともに、一緒に更生のために必要なことを考えていくことができます。
あいち刑事事件総合法律事務所では、事件の処分や判決が確定した後も更生支援という形でその後の再犯防止の体制がより強固なものになるようにサポートさせていただいています。
是非一度お問い合わせください。

兵庫県豊岡市の特殊詐欺事件でで少年院に送致されることになった事例 少年院での処遇について①

2024-05-31

【事例】
Aさんは、兵庫県豊岡市に住む17歳の男子高校生です。
ある日、AさんはSNS上である投稿を見つけました。
それは、ある物を受け取って運ぶだけで何万円もの報酬を支払うといういわゆる闇バイトを募集する投稿でした。
犯罪かもしれないと思いながらその募集に応募したAさんは、兵庫県内や鳥取県内でいわゆる特殊詐欺に何件も加担してしまいました。
高齢の方が住む自宅に赴いてキャッシュカードをすり替えて盗んだり、そのキャッシュカードを使って何百万円ものお金を引き出して盗んだりしたのです。
その後、鳥取県内の警察署に逮捕、勾留され、再逮捕もされました。
捜査を受けた後、最終的に神戸家庭裁判所豊岡支部に事件が係属し、神戸少年鑑別所に収容するという観護措置が取られました。
そして、神戸家庭裁判所豊岡支部は、Aさんの少年審判を行い、少年院に送致するという処分を決めました。

AさんやAさんの家族は、少年院に送致するという処分自体には納得していましたが、少年院ではどのようなことをするのか、どこの少年院に行くことになるのか、どのくらいの期間行くことになるのかなどが知りたいと思い、それまでもAさんの弁護人、付添人であった弁護士に相談することにしました。
(事例はフィクションです。)

1 はじめに

今回紹介する事例では特殊詐欺事件について、家庭裁判所で少年院送致が決定されてしまった事例を題材にしています。
このように特殊詐欺事件では犯罪に関わることが初めての少年であったとしても少年院に送致される処分が決定することが珍しくありません。
特殊詐欺事件での付添人活動については、今回の記事では割愛させていただきますがこちらの記事で詳しく解説しています。
初めて少年院に送致されると決定された方のほとんどが少年院とはどんなところだろう、怖いところなのではないかと不安に思っているかと思います。
そこであいち刑事事件総合法律事務所の弁護士が少年院のことについて詳しく解説していきます。

2 少年院の種類について

まず、少年院の種類からみていきましょう。
少年院には、第一種から第五種までの次の5種類の少年院が定められています(少年院法第4条第1項)。

⑴ 第一種 保護処分の執行を受ける場合で、心身に著しい障害がないおおむね12歳以上23歳未満の場合
⑵ 第二種 保護処分の執行を受ける場合で、心身に著しい障害がない犯罪的傾向が進んだおおむね16歳以上23歳未満の場合
⑶ 第三種 保護処分の執行を受ける場合で、心身に著しい障害があるおおむね12歳以上26歳未満の場合
⑷ 第四種 少年院において刑の執行を受ける者
⑸ 第五種 18歳以上の少年(「特定少年」と言います。)が2年間の保護観察処分(少年法第64条第1項第2号)を受けた場合で、約束事を守らなかったことなどから少年院に収容するという決定(少年法第66条第1項)を受けた場合

この記載から分かるように、少年審判で保護処分として少年院に行くようにと決定される場合は、第一種から第三種のいずれかの少年院になります(少年審判規則第37条第1項)。
そして、第一種から第三種のいずれになるのかについては、その少年の年齢や心身に障害があるか否か、犯罪傾向の進み具合といったものから判断されることになります。

少年院の種類についてはこちらの法務省のホームページも参考にしてください。

3 全国各地の少年院

第一種から第五種までの区分とは別に、全国各地には複数の少年院があります。
Aさんは兵庫県に住んでいますが、兵庫県が属する大阪矯正管区内には、①浪速少年院、②播磨学園、③加古川学園、④泉南学寮、⑤和泉学園、⑥奈良少年院、⑦交野女子学院、⑧京都医療少年院と8つの少年院があります。
このうち、⑦交野女子学院は女子少年だけを収容する少年院で、⑧京都医療少年院は男女ともに収容する少年院です。
もっとも、特に女子少年を収容できる施設が限られていることからもわかるように、大阪矯正管区内に住んでいた少年だからといって、必ずしも大阪矯正管区内の少年院に収容されるとは限りません。

隣接する矯正管区である広島矯正管区内には、男子のみを収容する⑨美保学園、⑩岡山少年院、⑪広島少年院、女子のみを収容する⑫貴船原少女苑があります。
また、高松矯正管区内には、男子のみを収容する⑬松山学園、⑭四国少年院、女子のみを収容する⑮丸亀少女の家があります。

次回の記事では、収容される少年院が決まる過程などについて解説していきます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件・少年事件に関わってきた経験を活かし、少年審判後の再犯防止に向けたサポートにも力を入れています。
再犯防止に向けた弁護士のサポートにご興味のある方は、一度、あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

京都府山科区の不同意わいせつ事件 再犯防止と職業の関係③~協力雇用主の制度について解説します~

2024-05-23

【事例】
Aさんは、滋賀県高島市で両親と一緒に生活をしている26歳の男性です。
Aさんは大学を卒業後、京都市山科区にある会社に就職しました。
ある日、Aさんは会社近くの路上で、女性の臀部を触るという不同意わいせつ事件を何件も起こしてしまい、後日、警察に逮捕されてしまいました。
Aさんが不同意わいせつ事件で逮捕されたというニュースは、京都府内の新聞に記事が載ってしまい、ほどなく会社の知るところとなってしまいました。
警察署で拘束されているAさんのもとに会社の人がきて話し合った結果、Aさんは会社を退職することになりました。
その後、Aさんは刑事裁判を受けることになりましたが、裁判が進行している間に被害者の方との示談が成立したこともあり、Aさんは保護観察付の執行猶予判決を受けることができました。

Aさん家族はその後のAさんの生活について話合いをしましたが、意見が割れてしまいました。
Aさんと母は、一日も早く、再就職先を見つけて働いた方がいいと考えています。
しかし、Aさんの父は、保護観察中、執行猶予中という身で就職活動をすると、その就職活動の中で前科があることが会社に発覚し、そのまま世間にも知られてしまうのではないかということを心配し、再就職先を探すことに反対しています。

そこで、Aさんと両親は、今から再就職先を探していいものなのか、あいち刑事事件総合法律事務所に相談することにしました。
(事例はフィクションです。)

1 はじめに

前回までの記事では、法務省のホームページ(https://www.moj.go.jp/hisho/seisakuhyouka/hisho04_00040.html)を参考にしつつ、公表されている統計の数値をもとに、職業を有しているかどうか、適当な行き場があるかどうかという点と再犯率の関係についてみてきました。
今回は、そのような問題に対する対策について解説していきます。
具体的には、就労の支援について協力雇用主の制度について解説させていただきます。

2 協力雇用主について

前回の記事のとおり、仕事がある人と仕事がない人の再犯率を比べると、仕事がない人の方が約4倍も再犯率が高いということがわかりました。

そこで、保護観察所は、協力雇用主となってくれる雇用主を増やすことに力を入れています。
協力雇用主というのは、保護観察の対象者となっている人を、前科などがあるという事情を理解したうえで雇用してくれる民間の事業主です。
全国に約1万4000もの事業主の方がいるようです。
業種としても、建設業が48パーセント、サービス業が15パーセント、製造業が13パーセントと公表されています(平成27年4月1日時点。法務省保護局資料)。
もちろん、どのような仕事が合っているのかは人それぞれですから、保護観察所としても幅広い業種の事業主を求めていて、少しでも合った仕事と出会えるようにと努めているようです。

また、協力雇用主が安心して雇用できるようにと、支援制度も用意されています。
試行的に雇用した場合の支援もあれば、継続的に雇用した場合の奨励金を支払うという仕組みもあります。
さらに最長で1年間、雇用された人の身元を保証して、雇用主に損害を被らせた場合に、雇用主に見舞金を支払う制度も用意されています。

以上は法務省及び厚生労働省が出しているパンフレット(https://www.moj.go.jp/content/001378346.pdf)を参考にしています。

このように協力雇用主が増えていけばいくほど、前科などがある人を雇うことへの社会全体の漠然とした抵抗感も薄れていくかもしれません。

3 Aさんの場合

これまで解説してきたとおり、Aさんの再犯防止ということを考えれば、定職に就くというのは非常に大事だということがわかります。
そして、Aさんは執行猶予に保護観察が付されていますから、担当の保護観察官に相談をして、Aさんを雇ってくれる協力雇用主を探すという方法も考えられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件・少年事件に関わってきた経験を活かし、裁判後の再犯防止に向けたサポートにも力を入れています。
刑事事件が終了したものの、その後の再犯防止や更生に向けて不安がある方については弁護士が相談に乗らせていただきます。
さらに継続的に弁護士に相談をしたり、再犯防止に受けた計画を立てて課題に取り組んでいったりすることを希望される方には顧問契約という形で継続的にサポートをさせていただきます。
顧問契約の費用や内容につきましてはこちらのページも参考にしてください。
再犯防止に向けた弁護士のサポートにご興味のある方は、一度、あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

【事例紹介】大麻所持の少年事件で、少年に対する働きかけが奏功し不処分を獲得した事例①

2024-05-02

【事例】
17歳のAさんは、同級生の友人と一緒に大麻を使用していました。
ある日、その友人と一緒に遊んでいた際に警察官から職務質問を受けて、Aさんは、友人と一緒に大麻を所持していることが発覚して逮捕されてしまいました。
その後Aさんはあいち刑事事件総合法律事務所に弁護を依頼し、最終的には家庭裁判所で開かれた少年審判において「不処分」の判断を得る事ができました。
(プライバシー保護のため事案を簡略化しています)

以上の事例は、実際に弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所で担当した事件をもとにした成功事例の一つです。
今回の記事では少年事件と成人している者の刑事事件では最終的な処分の内容にどのような違いがあるのか、今回の事例において当事者の少年に処分によってどのような不利益があるのか解説させていただきます。

少年事件での処分について

まずAさんは、20歳未満です。通常、犯罪行為をした場合には罰金を支払ったり刑務所に入ったりと刑罰を受けることになりますが、Aさんのような未成年者の場合、刑罰とは違った処分が見込まれます。
20歳以上の大人に対しては、自分がした犯罪行為に対して刑罰という報いを受けさせることになるのですが、20歳未満で犯罪をしてしまった人(刑事手続では少年と言います。)に対しては刑罰ではなく保護処分という教育的アプローチをとることになります。
もっとも教育的アプローチといっても、例えば少年院など少年自身を社会から隔離するなど、厳しい処分になることもありますので、刑罰でないから安心とはいえません。

保護処分には先ほど説明した少年院に収容する処分の他に、これまで通りの社会生活を送りながら定期的に保護司という方の下に通い、更生をサポートしてもらう保護観察という処分もあります。
そして審判を開いた結果、これらの保護処分を科さないという決定をすることを「不処分」といいます。
少年事件で受ける処分や少年事件の流れについてのより詳しい説明についてはこちらのページを参考にしてください。

保護処分によるAさんへの不利益について

Aさんは、今後、留学をする予定だったのですが、少年審判で不利益な処分を下されると、留学に支障が出かねません。
特に少年院に収容するという処分が決定されればその期間に留学をすることは不可能になります。
また保護観察処分となった場合でも定期的に保護司との面談が必要なので、保護司の方との話し合いにはなりますが保護観察中の留学が制限されてしまう可能性もあります。
特に大麻に関わった少年の場合、大麻との隔離が求められますので、例えば大麻の使用が合法な国への留学は更生を阻害するとして認められ辛いかもしれません。
保護司との間で決められた約束(これを「遵守事項」といいます。)を破ると保護観察が取り消されて少年院に収容されるおそれもあります。
一度保護観察で決められた遵守事項はこのように厳格に扱われます。
そこで、Aさんは、何も処分を受けない「不処分」という結果を目指していくことになりました。

では、Aさんの事例では少年審判での不処分獲得に向けてどのような弁護活動を行ったのでしょうか。弁護活動の内容については次回の記事で詳しく解説させていただきます。
事例とは別の少年事件での弁護活動に関してはこちらの記事でも紹介していますので、興味のある方はご覧になってください。

京都市山科区の不同意わいせつ事件 再犯防止と職業との関係②~再犯率と帰住先の有無は関係あるのか?

2024-04-18

【事例】
Aさんは、滋賀県高島市で両親と一緒に生活をしている26歳の男性です。
Aさんは大学を卒業後、京都市山科区にある会社に就職しました。
ある日、Aさんは会社近くの路上で、女性の臀部を触るという不同意わいせつ事件を何件も起こしてしまい、後日、警察に逮捕されてしまいました。
Aさんが不同意わいせつ事件で逮捕されたというニュースは、京都府内の新聞に記事が載ってしまい、ほどなく会社の知るところとなってしまいました。
警察署で拘束されているAさんのもとに会社の人がきて話し合った結果、Aさんは会社を退職することになりました。
その後、Aさんは刑事裁判を受けることになりましたが、裁判が進行している間に被害者の方との示談が成立したこともあり、Aさんは保護観察付の執行猶予判決を受けることができました。

Aさん家族はその後のAさんの生活について話合いをしましたが、意見が割れてしまいました。
Aさんと母は、一日も早く、再就職先を見つけて働いた方がいいと考えています。
しかし、Aさんの父は、保護観察中、執行猶予中という身で就職活動をすると、その就職活動の中で前科があることが会社に発覚し、そのまま世間にも知られてしまうのではないかということを心配し、再就職先を探すことに反対しています。

そこで、Aさんと両親は、今から再就職先を探していいものなのか、あいち刑事事件総合法律事務所に相談することにしました。
(事例はフィクションです。)

1 はじめに

前回の記事では、法務省のホームページ(https://www.moj.go.jp/hisho/seisakuhyouka/hisho04_00040.html)を参考にしつつ、公表されている統計の数値をもとに、職業を有しているかどうかという点と再犯率の関係についてみてきました。
今回は、前回の記事に引き続き、他にどのような事情が関連しているのかについてみていきましょう。

2 再犯率と帰る場所があるかどうかの関係

前回も解説したように、刑務所から仮釈放を許されて出所する際、保護観察に付されることになります(更生保護法48条3号)。
このように刑務所から出所して保護観察となった人のうち、適当な行き場がある人の再犯率と、適当な行き場がない人の再犯率を見てみましょう。
適当な行き場とは家族との同居先があることや、住み込みで働く就業先があることなどを指す場合とお考え下さい。

平成21年から25年の累計で、適当な行き場がない人たちのうち、3カ月もかからずに再犯に及ぶのはなんと22パーセントにのぼります。
また、6カ月もかからずに再犯に及ぶのは13.3パーセント、1年もかからずに再犯に及ぶのは18.1パーセントと続きます。
このように、出所後に適当な行き場のない人たちの53.4パーセントが、1年も経たずに再犯に及んでしまっているのです。

ちなみに、1年以上3年未満の期間中に再犯に及んでしまっているのは29.4パーセント、3年以上5年未満の期間中に再犯に及んでしまっているのは8.9パーセント、5年以上再犯に及んでいないのが8.3パーセントとなります。

それでは、なぜこのような状態になっているのかを考えると、真摯にサポートしてくれる方の存在というのが大きいのかもしれません。
Aさんの場合には、同居している家族がいるのは、再犯防止に向けて重要な要素といえるでしょう。

以上のとおり、帰る場所があるのかどうかというのも、仕事があるかどうかというのと同じように再犯防止という観点から非常に大事な要素だということがお分かりいただけるはずです。

次回の記事では、職業を有しているかどうかが再犯防止のために大切であることを前提に、そのような問題に対する対策について解説していきます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件・少年事件に関わってきた経験を活かし、裁判後の再犯防止に向けたサポートにも力を入れています。
再犯防止に向けた弁護士のサポートにご興味のある方は、一度、あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
その他あいち刑事事件総合法律事務所では事例のように性犯罪をして逮捕された方に対して、より社会名での攻勢が可能になるために刑事処分の軽減を目指していく弁護活動にも力を入れています。性犯罪をされてしまった方の弁護活動についてはこちらのページも参考にしてください。

親族以外の者の受刑者への面会について~お世話になった人に刑務所で会えないのですか?~

2024-04-05

【事例】
Aさんは、窃盗の罪で実刑判決を受けてしまい、現在はP刑務所に収容されています。
Aさんは、家族を亡くしていましたが、刑務所に入る前は、近所づきあいがとてもよく、大変お世話になっていた知人のBさんがいました。
Bさんは、Aさんのことをとても気にかけており、もしAさんが刑務所から出てこられたら、仕事探しを一緒に手伝うなど、再起を促したいと考えています。
Bさんは、そのことをAさんと話したいと考えて、P刑務所に面会へ行きましたが、なぜか面会できません。どうしてなのでしょうか。
(事例はフィクションです)

今回の記事ではなぜこの事例のように受刑者面会できないことが起きるのか、事例のような場合に受刑者への面会はどのように行えるようになるのかについて弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が説明します。

受刑者に面会できる者の範囲

刑務所内で受刑者面会できる人は、限られています。
そもそも刑務所で面会できる人は、受刑者の親族が原則です。
次に給料の支払いなど社会生活上不可欠な面会や弁護士など裁判をするための打合せなど特定の目的を持った人との面会です。
そして受刑者の更生に資すると認められる人も面会をすることができます。
より詳細を知りたい方は、以下のウェブリンクから、法務省の掲載するルールを確認してください。
https://www.moj.go.jp/kyousei1/kyousei_kyouse37.html

さて、事例のBさんを考えてみましょう。
受刑者の中には、身内の方が亡くなってしまったとか疎遠になってしまったといった様々な理由で、面会に来てくれる親族や社会復帰の支援をしてくれる親族がいない人も少なくないです。
そんな人にとっては、元交際相手、職場の元同僚、近所付き合いの良かった人など、親族ではないけれども親身になって支えてくれる人たちの存在はとても重要です。
しかしそのような人たちは、親族でないため、面会をすることができないのです。

親族以外の者が受刑者に面会するための流れ

では、どうすればそのような人たちも受刑者面会できるようになるのでしょうか。
以下のような流れで、親族以外の人も更生に資する人として面会ができるようになる可能性があります。
まず受刑者自身で、特定の誰かを身元引受人として指定する必要があります。今回のケースでいうと、Aさんは、自分でBさんを身元引受人として指定する必要があります。
刑務所では、Bさんが親族でないのに身元引受人としてよいか、保護観察所の担当者に確認を求めます。
そして保護観察所の担当者が身元引受人として指定された人と面談をするなどいくつかの調査をします。そうした調査の結果を踏まえて、Bさんを身元引受人とすることが適切だと判断された場合には、BさんもAさんと面会できるようになります。
この調査は、すぐ終わるようなものでなく、数か月かかることも少なくないです。
したがって面会や身元引受環境の整備などなるべく早く面会して力になりたい場合には、早期に身元引受人の指定に向けて動く必要があります。

このように親族でないBさんがAさんと面会できるようになるためには、Aさん自身にBさんを身元引受人として指定してもらわないといけません。
しかし、受刑者の中には、そのあたりのルールをしっかり把握できていない人もいます。
そうした人のためのメッセンジャーとして弁護士が定期的に受刑者と面会し、Bさんが身元引受人となれるよう環境調整して、早期の仮釈放の実現など更生支援をしていくことも可能です。
仮釈放の実現に向けてはこちらのページも参考にしてください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、受刑者への定期的な連絡やアドバイス、早期の仮釈放に向けた準備をお手伝いさせていただくために顧問契約をご準備しております。受刑中のお困りごとの解決や早期の仮釈放実現にご興味のある方は、遠慮なくお問い合わせください。

違法薬物を使用した罪で実刑判決を受けたケース 仮釈放向けて弁護士ができることは?

2024-03-29

【事例】
Aさんは、違法薬物を使っていた罪で実刑判決を受けてしまい、現在はP刑務所に収容されています。Aさんは、早く仮釈放を認めてもらって社会復帰したいと考えています。
しかし、刑務所に入るのが初めてなので、どうすれば仮釈放が認められやすくなるのか、全く解りません。
弁護士の中には、受刑者と面会や手紙のやり取りをしたうえで仮釈放のサポートをしてくれる人もいることを知ったAさんは、X弁護士にその依頼をしました。
X弁護士は仮釈放に向けて、どのようなことをしてくれるのでしょうか。(事例はフィクションです)

この事例をもとに、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所であれば、Aさんの仮釈放に向けてどのようなサポートをするか説明します。

仮釈放について

仮釈放は、簡単にいうと、本当はもっと長く刑務所に入っていないといけないのに早めに釈放してもらえる制度です。
例えば、1年間刑務所に入りなさいという判決になっても、仮釈放が認められれば、10か月くらいで釈放になる可能性もあります。
令和3年度の仮釈放に関するデータはこちらです。
このデータを見てみると、短縮された期間の長短の差はあると思いますが、実刑判決を受けた者のうち半数以上の者について仮釈放が認められていることが分かると思います。

では仮釈放はどのような場合に認められるでしょうか。
仮釈放を認めるかどうかは、刑務所の関係者が決めることなのです。ですから、受刑者本人や弁護士がどれだけ頑張っても仮釈放を認めてもらえないこともあります。
しかし、刑務所の関係者の方(具体的には刑務所長や地方更生保護委員会の委員)に「ああ、この人はもう仮釈放を認めても大丈夫だな」と思ってもらえれば、本人や弁護士の頑張りによって早期の仮釈放が認められることもあるのです。
仮釈放の具体的な要件や、手続きの流れについてはこちらのページを参考にしてください。

仮釈放に向けて弁護士がお手伝いできること

それでは、仮釈放を認めてもらうため、受刑者から依頼を受けた弁護士はどういうことをするのでしょうか。
まずは仮釈放を認めるべきであるとする申立てを刑務所長又は地方更生保護委員会することになります。専門的な文書なので、弁護士のサポートのある方が安心です。
この申立てでは、なぜその受刑者の方は早めに釈放を認めても問題ないといえるのか、上記の方に説明することになります。
しかし、ある受刑者と「初めまして」の状態で一回話を聞いただけで仮釈放の申立ての作成やそのお手伝いをすることはかなり難しいです。
というのも、刑務所での面会は弁護士でも長くて30分くらいしかできません。それだけの時間で、仮釈放という専門的なことについて詳しく話を聞いて説得的な文書を作るのは、やはり難しいのです。もちろんご依頼をいただければ、一生懸命やるのですが早期にご依頼いただいた方が事件の内容や周囲の環境など詳しく聴き取った上での活動ができますので、活動の選択肢が広がり、主張の説得力も増すと思います。
ですから、仮釈放を認めてもらいたいと考えている時期より前の段階から、定期的に目回や手紙のやり取りをすること、受刑者の家族や知人など監督者と協議することなど、今後の動きを見据えて事前準備をしていくことになります。

手紙のやり取りについては、定期的に、どんな刑務作業をしているか、どんな講習を受けたか、どんな課題をしたか、どんな評価を受けたか、刑務所内での人間関係に問題はないか、など問い合わせて、報告をしてもらいます。
面談では、手紙では伝わらない込み入った話をする場合や、身体的な事情(目が悪い、手足が不自由等)で手紙のやり取りが困難な方と定期的な面談をします。
実際に受刑者の方と面会すると、そういった仮釈放のための活動の前段階のことでそもそもつまづいている人がいることにも気づきます。
例えば、「刑務所のルールが複雑で手紙を出したけど、ルールが解らない。でも刑務官の人が怖くて質問できない。」という話はそれなりの頻度で出てきます。受刑者からすると確かに刑務官は怖いかもしれませんが、弁護士からそこまで怖がる必要はないという、もし何かされたら教えてほしいと励ますと、しっかり対応してもらえることもあります。
家族や知人など監督者については、もし受刑者が釈放された場合、どういうサポートをするのか、例えば就職先を一緒に探してくれるのか、どこか住むところを提供してくれるのか、確認することになり、これらの準備がある場合には申立書に書き添えることになります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、こういった活動を定期的に行うための顧問契約をご準備しております。早期の仮釈放実現にご興味のある方は、遠慮なくお問い合わせください。

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