
【事例】
Aさんは、福岡県春日市の実家に両親と兄の4人で住む17歳の高校生です。
Aさんは、同世代の人がSNSで羽振りの良い生活をアップしている投稿を見て、自分も同じような生活をしたいと考えるようになってしまいました。
そのような中で、SNSで高額のアルバイトを募集しているという投稿を見つけたので、Aさんは連絡を取って応募してしまいました。
Aさんが応募したのはいわゆる闇バイトで、行ったことの内容も、指示役の指示に従って被害者の家に行き、指示役の指示のとおりに被害者のキャッシュカードを騙し取るというものでした。
Aさんは福岡県内だけではなく、東は東京や名古屋、南は熊本や鹿児島でも同様のことを指示されて行っていました。
Aさんが、このように犯罪に手を染めてから1ヶ月ほどが経過したある日、警察官が春日市の自宅にやってきました。
そして、そのまま警察官に逮捕されてしまったのです。
しかもその警察官は、東京の警察官だったのです。
逮捕しに来たのは東京の警察官ですから、Aさんはその日のうちに東京に連れて行かれて、東京の警察署で身体拘束されることになりました。
Aさんがしたことを警察官から聞いた両親は、身体拘束されるのは仕方ないと思いつつも、このままずっと東京で身体拘束されるのだろうかということに強い不安を感じていました。
そこで、Aさんの両親は、あいち刑事事件総合法律事務所に連絡を取り、初回接見を利用して弁護士にAさんとの面会を依頼し、面会をした弁護士にこのことを相談することにしました。
(事例はフィクションです)
1 はじめに
昨今、特殊詐欺(いわゆるオレオレ詐欺)など犯罪地が広域にわたる場合がありますが、前回の記事では、その場合に警察はどこの警察が動くのか、どこの裁判所が担当するのかという点について、解説してきました。
具体的には、まずは東京の警察がこのまま動き、別の都道府県の警察(例えば熊本なら熊本)が逮捕しにくる(再逮捕)可能性もあるという内容でした。
今回は、どこの裁判所が担当するかという点について解説していきます。
2 担当する裁判所
今回のAさんのように、捜査の段階で身体拘束される場合は、事件を捜査している警察がある都道府県の警察署などに拘束されることがほとんどです。
そして、捜査を終えると事件は家庭裁判所に送られることになります(家庭裁判所送致)。
送致先の裁判所は、事件を捜査している警察署、検察庁に対応する家庭裁判所となります。
例えば、東京都の新宿警察署、東京地方検察庁が捜査をしていた場合、東京家庭裁判所が送致先となりますし、熊本県の熊本中央警察署、熊本地方検察庁が捜査をしていた場合、熊本家庭裁判所が送致先となります。
しかし、一旦は捜査している警察署、検察庁に対応する家庭裁判所に送致されても、その後にその少年の住んでいる場所に対応する家庭裁判所に移送されることが多いです。
つまり、Aさんの場合も、一旦は東京家庭裁判所や熊本家庭裁判所に送致されたとしても、住所地である春日市を管轄している福岡家庭裁判所に移送される可能性が高いといえます。
そのため、捜査の段階では各地で身体拘束される可能性が高いですが、家庭裁判所に送致された後には、福岡県に戻ってくる可能性が高いのです。
もっとも、各地の少年鑑別所から福岡県の少年鑑別所に実際にAさんが移動してくるまでには数日はタイムラグがあることも多いです。
福岡の家庭裁判所に移ったとの連絡が来たとしても、直ぐに福岡の少年鑑別所で面会できるとは限りませんので、家庭裁判所や少年鑑別所からの通知をよく確認する必要があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、少年事件が進行している段階での処分や身体拘束に向けた活動はもとより、刑事事件・少年事件に関わってきた経験を活かし、事件後の再犯防止に向けたサポートにも力を入れています。
再犯防止に向けた弁護士のサポートにご興味のある方は、一度、あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
