今回の記事では拘禁刑が導入されるのと同時に改正された再度の執行猶予制度を中心に刑務所外での再犯防止策について解説します。
1 刑務所外での再犯防止策の強化
さらに、刑務所の外における再犯防止策も拡大しています。今回の刑法改正では、再犯者に対する執行猶予制度が見直され、裁判所が再度の執行猶予(いわゆる「刑の二回猶予」)を付与できる範囲が拡大されました。
改正前は「1年以下の懲役・禁錮」の場合にしか再度の執行猶予は認められませんでしたが、改正後は言い渡し刑期が「2年以下の拘禁刑」まで再度猶予可能となっています。
また、保護観察付き執行猶予中に罪を犯した場合でも状況によっては再度の執行猶予を付すことが可能になりました。
この改正により、以前であれば再度の執行猶予を付けることが法律上できなかったケースでも再度の執行猶予を選択することが可能になっています。
法改正によって再度の執行猶予を付すことができる事例が拡大すれば、そのケースの被告人に引き続き社会内で更生の機会を与え、継続的な指導監督下に置くことができます。
言い換えれば、犯罪を繰り返した者でも直ちに刑務所に送るのではなく、社会内処遇のチャンスをもう一度与えて更生を促す道が広がったとも評価できるのです。
これは受刑者数の削減だけでなく、地域における再犯防止策(就労支援やカウンセリング)の継続という観点でも意義が大きい法律改正であるといえます。
*ただし実際に再度の執行猶予が付与される率が高まるかは今後の裁判例等の動向を見守る必要があるといえますので楽観はできません。
このように、拘禁刑の導入を契機として「矯正」と「更生保護」の両面から再犯防止策が強化されています。
専門家は、再犯を防ぐには刑務所内での教育矯正のみならず、社会復帰後の居場所・仕事の確保や地域の受け入れ体制が不可欠だと指摘しています。
実際、出所者の再犯率は、出所後2年以内が高く、この期間に安定した職と住居がないことが再犯リスクを大きく高めるとされています。
こうした知見を踏まえ、法改正と並行して政府は「再犯防止推進計画」を策定し、関係省庁・地方自治体・民間団体が連携して出所者の社会復帰を支える総合的対策を進めています。拘禁刑で培った更生の成果を社会内で継続させ、二度と犯罪に戻らないようにする仕組みを社会全体で構築していくことが課題となっています。
2 弁護士による再犯防止策のサポートについて
あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件・少年事件の弁護活動のみならず、事件終了後の当事者の方の再犯防止や更生支援の活動にも力を入れています。
具体的には、事件の原因となった不良交友関係の断絶のための定期的な面談やアドバイス、被害者側に立って事件を振り返るための課題の実施、具体的な再犯防止策の策定のサポートなど、弁護士が関わり再犯防止に向けた積極的な活動を行っています。
活動内容に興味を持たれた方は、こちらの見守り弁護士・ホームロイヤーのご案内も読んでみてください。
事件後の更生支援や再犯防止に関して心配事がある方は是非こちらからお問い合わせください。再犯防止や更生支援の活動について豊富な経験を持つ弁護士が初回無料で相談に対応させていただきます。