【事例】
Aさんは、三重県名張市に住む17歳の高校生でしたが、友人らと一緒になって、老夫婦が住む三重県桑名市の一軒家に押し入り、老夫婦を殴ったり、蹴ったりといった暴行を加えて、現金100万円を奪い去りました。
このAさんたちの暴行により、老夫婦は骨を折るなどの怪我を負ってしまいました。
Aさんは、この強盗傷人事件を起こしたことで警察に逮捕されて捜査を受けました。
その後、津家庭裁判所に送致され、Aさんはこの強盗傷人事件で審判を受けることになりました。
Aさんは、この強盗傷人事件を起こす以前にも傷害事件を起こして保護観察処分を受けていたこともあって、少年院に送致されることになりました。
ところで、Aさんの両親は既に交通事故で他界しており、身寄りは高齢の祖母だけです。
Aさんの祖母は、何とかAさんの力になりたいと思っていますが、年齢や体調のこともあり、少年院から出てきた後のAさんの監督を十分にできるのか不安に思っていました。
場合によっては、交通の便が悪く、周囲に就業先も見当たらない自分の家に住まわせるよりも、別のところに住んでもらうのがいいのではないかということも考えています。
そこで、Aさんの祖母は、少年院から出てきたとき、Aさんにどのように生活してもらうのがいいのか、あいち刑事事件総合法律事務所に相談することにしました。
(事例はフィクションです。)
1 はじめに
以前の記事で、少年院による社会復帰支援の支援の内容について解説してきました。
前回の記事についてはこちらからご覧ください。
今回は、少年院による社会復帰支援の協力者について解説していきます。
2 少年院による社会復帰支援の協力者
以前の記事で、少年院の社会復帰支援としては、引受人の確保や就職・進学先の確保、医療機関に繋げること、障害者手帳等の取得の補助などといったことがあると解説してきました(少年院法44条1項)。
それでは、このような支援は少年院の長だけが行うのでしょうか。
まず、少年院の長は、以前解説したような少年院法44条1項の支援を行う際、「保護観察所の長と連携を図るように努めなければならない」とされています(少年院法44条4項)。
少年院から出院する場合、ほとんどが仮退院(少年院法135条)として出院します。
出院者のうち仮退院の者の割合を示したデータがこちらです。
少年院から仮退院した場合、法律上、保護観察が付されることになります(更生保護法42条、40条)。
この保護観察を担当するのは、出院者の住居地を管轄する保護観察所で(更生保護法60条)、実際に保護観察を実施するのは、保護観察所の保護観察官や保護司と呼ばれる方です(更生保護法61条1項)
つまり、仮退院として出院となれば、必然的に保護観察所が関与することになりますから、「保護観察所の長」とも連携を図る必要があるのです。
そして、このような少年院の社会復帰支援については、弁護士が関わることも考えられます。
最も典型的なのは、少年審判までの間に少年の弁護士(付添人といいます。)であった弁護士が、新たに少年の代理人となって活動をするという方法です。
このような弁護士であれば、警察などが捜査をしていたり、少年審判の前段階として家庭裁判所が調査をしていたりする段階から関わっていますから、少年の周りの環境をよく知っている場合もあるでしょう。
また少年院や保護観察所はあくまで公的機関ですから、そうではない弁護士がより柔軟な方法で活動することで、少年の社会復帰支援に有益な場合もあるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件・少年事件に関わってきた経験を活かし、再犯防止に向けたサポートにも力を入れています。
例えば保護司の方との相性が合わなくて不安だ、課題についてももっと取り組んでいきたいなどの要望がある場合には、保護観察中であっても弁護士が、保護観察中に面談を行う、課題を実施するなどの活動をさせていただきます。
少年院の出院後の社会復帰についてご興味のある方は、一度、あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。