刑の確定から執行終了までの流れ

刑の確定

刑事裁判で有罪判決を受ければ、判決で「懲役〇年」や「懲役〇年執行猶予○年」、「罰金○万円」といった刑罰が明示されます。

そして、不服申立期間(判決日の翌日から14日間)が経過した場合や、上告審(主に最高裁)の判決が出た時点で、判決の内容が確定することになります。なお、例外的に「上訴の放棄」をすれば、14日間の経過を待たずとも、放棄が認められた時点で判決が確定します。

判決の確定により、刑も確定します。

例えば、3月1日に、1審で「懲役5年」の判決を受けたとしましょう。
控訴しない場合、14日が経過した時点、すなわち3月16日になった時点で「懲役5年」とする判決が確定し、刑も確定するということになります。

控訴した場合には判決はまだ確定せず、控訴審の判決が出た日の翌日から14日経過後に判決が確定し、刑も確定します。

矢印

刑の執行

刑が確定すれば、次は刑の執行へと移っていきます。

刑は主刑として6種類、付加刑として1種類あります。

主刑が死刑、懲役、禁錮、罰金、拘留、科料です。

付加刑は主刑に付随するもので、没収があります。

なお、刑法改正により、懲役と禁錮は「拘禁刑」に一本化されます。令和7年6月までに施行されることになっています。

刑の執行方法は当然ですが、刑によって異なります。死刑・懲役及び禁錮、罰金について簡単に見てみましょう。

①死刑

死刑は、刑事施設内において、絞首して執行するとされています(刑法11条1項)。また、死刑執行に至るまでは刑事施設に拘置するとされています(同2項)。

ここでいう「刑事施設」とは主に拘置所のことです。

死刑判決を受けた者は、拘置所に留め置かれて、そこで死刑執行を待つことになります。
死刑は判決確定後6か月以内に法務大臣の命令により執行しなければならない(刑事訴訟法475条2項本文)とされています。

しかし、平成24年から令和3年までの10年間において、死刑を執行された者について、確定から死刑が執行されるまでの平均期間は、約7年9か月のようです(令和4年7月26日における法務大臣臨時記者会見)。

②懲役・禁錮

懲役は刑事施設に拘置して所定の作業を行わせるものです(刑法12条2項)。
禁錮は刑事施設に拘置するだけです(刑法13条2項)。

ここでいう「刑事施設」とは主に刑務所のことです。

「刑務所に拘置されて刑務作業を行うこと」や「刑務所に拘置されること」が刑の執行ということになります。

勾留中や保釈中の被告人が実刑の懲役判決や禁錮判決を受けた場合には、判決確定後に拘置所から刑務所へ移送されることになります。なお、どこの刑務所に行くのかは事前に知らされることはありません。

在宅事件の被告人が実刑の懲役判決や禁錮判決を受けた場合には、判決後に直ちに収容されるわけではなく、一旦は家に帰ることができます。

判決確定後に、検察庁から出頭通知が出され、出頭後に拘置所や刑務所に収容されることになります。

③罰金

罰金は、罰金額を国庫に納付するものです。

罰金判決が確定すれば、検察庁から納付書が送付されるので、それにしたがって金融機関等で罰金納付を行います。

矢印

刑の執行終了

刑の執行終了についても、死刑、懲役及び禁錮、罰金について簡単に見てみましょう。

①死刑

死刑は絞首して執行し、死亡が確認されればそれで終了となります。

②懲役及び禁錮

懲役や禁錮は、その刑期が終了すれば執行の終了となります。

また、刑期満了前に仮釈放が認められた場合であっても、それはあくまで「仮の」釈放にすぎません。仮釈放後に本来の刑期が満了することで、執行の終了となります。

③罰金

罰金は、罰金を納付すれば当然ですが刑の執行は終了となります。

関連ページ

keyboard_arrow_up

0120631881 問い合わせバナー LINE予約はこちら