少年院

少年院とは

少年院とは、家庭裁判所の審判において少年院送致の保護処分を受けた者や少年院において懲役又は禁錮の刑の執行を受ける者を収容し、少年に対して矯正教育を行う施設です。

刑務所とは異なり、刑罰を与える場ではなく、あくまで矯正教育を行う場です。簡単にいえば、なぜ犯罪をしてしまったのかということを真剣に考えてもらい、二度と犯罪に巻き込まれないようにするためにはどうすればいいのかを学び、社会生活に適応するための知識や能力を習得する場ということです。

少年院は閉鎖施設ですので、特別な理由がなければ外出や外泊は許されませんし、院内の規律や秩序維持のため、遵守事項違反や職員の指示に従わなかった場合には懲戒を受けることもあります。

少年院送致の現状

少年保護事件 終局処理人員の処理区分別構成比

少年院入院者の人員(男女別)・女子比の推移

令和4年版犯罪白書によると、令和3年に一般保護事件で少年院送致の保護処分を受けた少年は全体の6.2%(約1300人)にとどまっています。

また、令和3年の少年院入院者も1377人であり、平成12年頃から減少傾向にあることが分かります。

少年院の種類

少年院は分院も含めると、全国に47院あります。

少年の年齢や性別、心身状況や非行傾向などにより、どの少年院に送致されるかが決まります。なお、関東医療少年院と京都医療少年院を除き、男女が同じ少年院に入ることはありません。

少年院は、次のように第1種から第5種に分けられています。

第1種少年院 保護処分の執行を受ける者であって、心身に著しい障害がない概ね12歳以上23歳未満の者
第2種少年院 保護処分の執行を受ける者であって、心身に著しい障害がない犯罪的傾向が進んだ概ね16歳以上23歳未満の者
第3種少年院 保護処分の執行を受ける者であって、心身に著しい障害がある概ね12歳以上26歳未満の者
第4種少年院 少年院において刑の執行を受ける者
第5種少年院 2年の保護観察に付されている特定少年であって、かつ、当該保護観察中に遵守すべき事項を遵守しなかったと認められる事由があり、その程度が重く、かつ、少年院において処遇を行わなければ本人の改善及び更生を図ることができないと認められ、少年院に収容する旨の決定を受けた者

少年院での処遇と生活

少年法15条には、少年院における処遇の原則が定められており、人権を尊重しつつ、明るく規則正しい環境のもとで健全な心身の成長を図ること、自主・自律・協同の精神を養うこと、医学や心理学、教育学などの専門的技術を活用し、個々の少年の特性を踏まえて最善の利益を考慮した処遇をすることとされています。

各少年院では、矯正教育課程が定められており、

  1. 生活指導(生活訓練や交友関係指導など)
  2. 職業指導(就業に必要な技能の習得や資格取得など)
  3. 教科指導(義務教育指導や高校教育指導など)
  4. 体育指導
  5. 特別活動指導(クラブ活動や社会貢献活動など)

の5種類の矯正教育を受けていくことになります。

矯正教育課程は16種類ほど規定されており、少年の年齢や義務教育の終了の有無、少年の問題性の程度、知的障害の有無、再非行か否かなどの観点から、どの矯正教育課程を受けるべきかが決まります。また、各少年院によって、対応できる矯正教育課程が異なります。

矯正教育課程に加え、少年の特性に応じて、個人別矯正教育計画も策定され、それぞれの少年に応じた矯正教育も実施されます。

少年院では1級から3級の処遇段階が設けられており、新入院者は3級からスタートします。矯正教育を受けていく中で、改善や進歩の程度に応じて進級または降級し、1級に達すれば仮退院が検討されることになります。

各少年院では日課(時間割のようなもの)が定められており、日課に従って生活することになります。家族等との面会も可能ですが、各少年院によって、面会の人数や時間帯、1か月での面会可能回数などが決められています。

収容期間と退院・仮退院

少年院に収容することができるのは原則として20歳までです。

例外として、少年院送致決定の日から1年を経過していないときは、その日から起算して1年間に限り継続収容することができます。

実際の収容期間は少年院の種類や矯正教育課程の内容などによって異なってきます。
短い場合であれば20週前後となることもありますし、長い場合であれば1年程度になることもあります。

また、非行事実が重大であったり、重い心身の疾患があったりする場合には、2年を超える収容期間となることもあります。

少年が矯正教育の目的と達したと認めるときは、少年院長が地方更生保護委員会に対し、退院許可の申出をしなければなりません。

そして、地方更生保護委員会は、退院を相当と認める場合には、退院を許可しなければなりません。20歳になった場合も退院となります。

さらに、仮退院という制度もあります。実は、大半の少年が仮退院により出院しています。令和4年版犯罪白書によると、令和3年の出院者は1567人であり、このうち99.6%の1560人が仮退院です。

処遇段階が1級に達した場合や、1級に達していなくても仮退院が改善更生のために特に必要であると認めるときに仮退院が検討されます。

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