【事例】
Aさんは、窃盗の罪で実刑判決を受けてしまい、現在はP刑務所に収容されています。
Aさんは、家族を亡くしていましたが、刑務所に入る前は、近所づきあいがとてもよく、大変お世話になっていた知人のBさんがいました。
Bさんは、Aさんのことをとても気にかけており、もしAさんが刑務所から出てこられたら、仕事探しを一緒に手伝うなど、再起を促したいと考えています。
Bさんは、そのことをAさんと話したいと考えて、P刑務所に面会へ行きましたが、なぜか面会できません。どうしてなのでしょうか。
(事例はフィクションです)
今回の記事ではなぜこの事例のように受刑者に面会できないことが起きるのか、事例のような場合に受刑者への面会はどのように行えるようになるのかについて弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が説明します。
受刑者に面会できる者の範囲
刑務所内で受刑者に面会できる人は、限られています。
そもそも刑務所で面会できる人は、受刑者の親族が原則です。
次に給料の支払いなど社会生活上不可欠な面会や弁護士など裁判をするための打合せなど特定の目的を持った人との面会です。
そして受刑者の更生に資すると認められる人も面会をすることができます。
より詳細を知りたい方は、以下のウェブリンクから、法務省の掲載するルールを確認してください。
https://www.moj.go.jp/kyousei1/kyousei_kyouse37.html
さて、事例のBさんを考えてみましょう。
受刑者の中には、身内の方が亡くなってしまったとか疎遠になってしまったといった様々な理由で、面会に来てくれる親族や社会復帰の支援をしてくれる親族がいない人も少なくないです。
そんな人にとっては、元交際相手、職場の元同僚、近所付き合いの良かった人など、親族ではないけれども親身になって支えてくれる人たちの存在はとても重要です。
しかしそのような人たちは、親族でないため、面会をすることができないのです。
親族以外の者が受刑者に面会するための流れ
では、どうすればそのような人たちも受刑者と面会できるようになるのでしょうか。
以下のような流れで、親族以外の人も更生に資する人として面会ができるようになる可能性があります。
まず受刑者自身で、特定の誰かを身元引受人として指定する必要があります。今回のケースでいうと、Aさんは、自分でBさんを身元引受人として指定する必要があります。
刑務所では、Bさんが親族でないのに身元引受人としてよいか、保護観察所の担当者に確認を求めます。
そして保護観察所の担当者が身元引受人として指定された人と面談をするなどいくつかの調査をします。そうした調査の結果を踏まえて、Bさんを身元引受人とすることが適切だと判断された場合には、BさんもAさんと面会できるようになります。
この調査は、すぐ終わるようなものでなく、数か月かかることも少なくないです。
したがって面会や身元引受環境の整備などなるべく早く面会して力になりたい場合には、早期に身元引受人の指定に向けて動く必要があります。
このように親族でないBさんがAさんと面会できるようになるためには、Aさん自身にBさんを身元引受人として指定してもらわないといけません。
しかし、受刑者の中には、そのあたりのルールをしっかり把握できていない人もいます。
そうした人のためのメッセンジャーとして弁護士が定期的に受刑者と面会し、Bさんが身元引受人となれるよう環境調整して、早期の仮釈放の実現など更生支援をしていくことも可能です。
仮釈放の実現に向けてはこちらのページも参考にしてください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、受刑者への定期的な連絡やアドバイス、早期の仮釈放に向けた準備をお手伝いさせていただくために顧問契約をご準備しております。受刑中のお困りごとの解決や早期の仮釈放実現にご興味のある方は、遠慮なくお問い合わせください。