東京都八王子市の窃盗事件 窃盗罪で監督環境を整えたことを強調した情状弁護活動について

罪を犯してしまうまでには,様々なステップ・段階があり得ます。
今回は財産犯と呼ばれる窃盗の事案を例に,罪を犯してしまうに至った過程が刑の重さを決める上で重要となりうることを解説します。

【事例】
東京都八王子市に住むAさんは専門学校を卒業後,派遣や単発のバイトを繰り返して何とか毎月の生計を立てていました。
ある日,短期のバイト先で事業所の金庫の鍵が刺さりっぱなしなのを見つけ,金庫内から現金を盗んでしまいました。
当時のAさんとしては,精いっぱい働いているつもりだけれども生活が安定せず「仕方ない」という気持ちもあって事件を起こしてしまいます。
職場に事件のことが発覚し,Aさんは警察から窃盗罪の容疑で事情聴取を受けましたが,検察官に起訴されてしまいました。
AさんやAさんの家族としては,裁判での対応が不安になりあいち刑事事件総合法律事務所の弁護士に相談することにしました。

窃盗罪での情状弁護

窃盗罪や詐欺罪のような財産犯の場合,特に示談交渉を行うことや,精神疾患が疑われる場合にはその治療に専念することが重要です。
そこからさらに進んで言うと,個別の事案について「なぜそのような事件を起こしてしまったのか/今後事件を起こさないためにはどうしたらよいのか」という課題を解消しなければなりません。
Aさんのように「生活が苦しくて物を盗んでしまった」という動機は,ある意味アタリマエのことです。
なぜなら,人はお金がない/もっと欲しい,と思うからこそ他人の物を盗んだり奪ったりしてしまうからです。

ここでいう「なぜそのような事件を起こしたのか」というのは,「なぜ事件を起こさないといけないような状況に陥ったのか/事件を起こしたいと思うような状況になったのか」ということです。
Aさんの事例で言えば,「なぜ働いているのに生活が安定しないのか」,「なぜお金が足りなくなった時に『犯罪』という手段をとってしまったのか」という根本的な原因を考える必要があります。
刑事裁判における裁判官も同様の視点を持っており,「この人は再犯しない」と思ってもらうためには,このような根本的な問題をきちんと抽出することが必要になります。
罪を認めて争わない事件だと,あまり気のない弁護士の一部は,法廷の中で反省した態度を示すことに注力する場合もありますが,再犯のおそれが拭えないとなると,思わぬところで足をすくわれたり相場よりも重い量刑を受けてしまいかねないものです。

実際の事例における情状弁護活動の紹介

Aさんと同じような事例において,弊所の弁護士が本人や家族からよく話を聞いたところ,
・実際のところ本人の給料は一人で生活していくだけの十分な額だった
・特にギャンブルや浪費をしているわけではないが,日常の買い物での金銭管理がきちんとできていなかった
・本人は家族に対しても相談していたつもりだったが,援助してくれなかった。
・一方,家族から見ると,本人の生活がだらしなくてよく分からないところ(ギャンブルや風俗店など)で浪費しているように感じられた,だから支援するのに及び腰だった
というような状況が浮かび上がりました。
つまり,被告人本人の捉え方と周りの家族との捉え方に大きな差があったのです。このようなコミュニケーションのすれ違いを放置していても,何も問題は解決しません。
事件がきっかけになりますが,家族内でもよく話し合いを行い,裁判でも「なぜ事件を起こすに至ったか/今後起こさないためにはどうしたらよいか」を説得的に主張しました。
その結果,執行猶予判決を出され,裁判官からも「法廷で話したことの通り,今後は家族のいうことを聞いてきちんと生活してください」という温かい言葉をもらいました。

まとめ

単純な窃盗の事案であっても,事件の背景を深堀していくことで再犯の芽を摘み,裁判での情状弁護に生かすことができる場合があります。
事件の背景を理解して再犯防止活動に取り組むことで、その後の再犯の恐れも低くすることができます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では,刑事事件に精通した弁護士が,1つ1つの事件に対して、その方のその後の人生まで見据えて熱意をもって取り組んでいます。
「今後同じことをしてしまわないか心配だ」というご本人・家族の方も,まずは一度ご相談ください。

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