今回の記事では共同危険行為により逮捕されてしまった少年事件の更生支援活動ついて弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士が詳しく解説をします。
【事案】
前回の記事と同様のAさんの事例を取り上げます。
逮捕されてしまったAさんは,そのまま東京少年鑑別所へ送られて,東京家庭裁判所の少年調査官との面談を行いました。
この時,調査官からは,暴走行為を繰り返していた時にどんな気持ちだったのか等の質問をされました。また,調査官からは「これから審判になると思う」とも伝えられました。
AさんやAさんの家族はどのように対応すべきでしょうか。
【解説】
1 共同危険行為に対する処分
共同危険行為とは,道路交通法68条に規定されている犯罪です。
少年事件における審判では,①実際に罪となるような事をしたか,②事実が認められる場合に,どの程度の処分が必要か,という二つのことが審判の対象となります。
①については非行事実,②については要保護性ということもあります。
(1)非行事実の認定について
非行事実については,大人で言うところの有罪/無罪を決めるような事実です。
例えば
・人違いだ
・やってない
・正当防衛だった
等の主張をする場合,非行事実そのものを争うことになります。
非行事実,つまり,やったかやってないかを争う事件の場合,家庭裁判所に送られる前段階からの弁護活動が非常に重要になります。逮捕されている事件/されていない事件を問わず,警察や検察から取調べを受けているという状態であれば,速やかに弁護士に相談した方が良いでしょう。
(2)要保護性について
一方,やったことに間違いがない事件であれば,要保護性がどの程度のものかによって,その後の処分が大きく変わります。
一番重い処分から順に,少年院送致(年齢によっては児童養護施設等送致)となり,次いで保護観察,不処分,審判不開始といった処分があります。
要保護性とは,どれだけ重い処分を科す必要があるか,言い換えると,社会の中でキチンと更生する余地があるのか,それとも施設に収容して徹底的に教育を施さなければならないのかを測る基準のようなものです。
多くの少年審判においては,弁護士を通して要保護性が高くない・低いということをきちんと主張することが重要になるのです。
「要保護性」という言葉自体,ほとんどの人にとって耳馴染みのない言葉でしょう。ですが,家庭裁判所での少年審判では「要保護性」についてしっかり理解しておかないと,思いもよらない重い処分を受けてしまうことになりかねません。
今回の事例でどのような弁護活動を行いどのような事情を説明すれば「要保護性」について有利な判断を受ける事ができるのかについては次回の記事で詳しく解説します。
少年審判は大人の裁判と違い,国選弁護士がいない,弁護士をつけていないという事案も散見されます。弁護士がついていたとしても少年事件の経験があまりなく上記の要保護性について十分理解しないまま弁護活動を行うケースも少なくありません。将来に大きな影響を及ぼしかねない重大な審判ですので,憂いが残らないためにも,少年事件に強い弁護士にご相談しておくことをお勧めします。
あいち刑事事件総合法律事務所では少年事件に豊富なあることはもちろん、真の更生に向けて審判後の見守り弁護士などの更生支援活動にも力を入れています。
少年事件でお困りの方は是非一度ご相談ください。