【事例】
Aさんは覚醒剤使用で3年前に執行猶予付き判決を受けていましたが、執行猶予中に再度覚醒剤を使用してしまい裁判で実刑判決を受けることになりました。
雇用先からは覚醒剤に関わるのが2度目なので今回ばかりは解雇すると言われてしまいました。
Aさんは出所後の再就職に向けて大きな不安を抱えていました。
Aさんとその家族は更生支援に力を入れているあいち刑事事件総合法律事務所の弁護士に就労支援に関して相談をしました。
(事例はフィクションです)
このページの目次
1 前科と就労について
犯罪を犯してしまい、前科がついてしまった方、あるいは刑事施設からの出所を控えている方にとって、社会復帰の最初の大きな壁となるのが「就労」です。
令和7年7月から施行された刑法改正によって導入された拘禁刑は、従来の懲役刑・禁錮刑を統合した新たな自由刑であり、受刑者の処遇改善と再犯防止の観点から、「改善更生」と「社会復帰支援」が重視されるようになりました。
しかし、制度が変わっても、出所者を取り巻く現実は依然として厳しいままです。
特に就労の面では、前科や服役歴があるというだけで、応募すらさせてもらえないということも珍しくありません。
この記事では、拘禁刑の導入に伴って刑務所での就労支援がどのように変化しているのか、また現状の課題について解説させていただきます。
2 拘禁刑下での就労支援について
拘禁刑は、これまでのような作業中心の処遇から、職業訓練や教育プログラム、社会性を回復するプログラムを重視する制度です。
法務省も「改善更生」「円滑な社会復帰」を掲げ、刑事施設における職業訓練や出所後の支援体制の整備を進めています。
拘禁刑の導入に関する法務省のホームページも参照してください。
拘禁刑の下では、以下のような取り組みが行われることが予定されています。
・職業訓練(建築、清掃、IT技能など)
・資格取得支援(フォークリフト運転技能、危険物取扱者など)
・就労支援カウンセリング
・社会性回復プログラム(対人関係スキルの向上など)
このような取り組みにより、出所後にすぐに働き口を見つけられるよう準備が進められていますが、受刑者一人ひとりの状況に応じたきめ細かなサポートが必要です。
拘禁刑下では、従来の刑務作業中心ではなくより個人の特性にあった就労支援や社会復帰支援が行われることが目標とされています。
3 前科がある方への就労支援における課題
就労支援が制度として整ってきているとはいえ、前科があることや出所歴があることに対する社会の偏見や差別は根強く残っています。
例えば次のような課題が指摘されています。
・履歴書に服役による「空白期間」があることで不利に扱われる
・前科を理由に採用を拒否される
・労働環境が過酷で、それを苦にした再犯のリスクが高まる
・就労に関する情報・支援の不足
こうした障壁を乗り越えるためには、本人の努力だけでなく、周囲の理解と支援体制が不可欠です。そして、その支援の一端を担えるのが、弁護士です。
次回の記事では弁護士がこのような課題がある中でどのようにご本人様の就労に対し支援ができるのかについて詳しく解説させていただきます。また就労支援をしている団体についても例を挙げて紹介させていただきます。
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