少年事件と児童相談所の関係について少年事件に精通した弁護士が解説します①

【事例】
Aさんは、福岡県新宮市に住む14歳の男子中学生です。
半年前、Aさんは、通学中に見かけた小学生の女の子の身体を触るという事件を起こしてしまいました。
女の子が泣き出したので、Aさんはその場から走って逃げました。
しかし、数日後、警察官がAさんのところに来てこの事件について話を聞きたいと言ってきました。
この事件当時、Aさんは誕生日を迎える前でしたので、まだ13歳でした。
その後、Aさんは警察で話を聞かれたり、児童相談所で保護されたり、少年鑑別所で収容されて調査を受けたりしました。
このような手続きを経て、福岡家庭裁判所は、Aさんの少年審判を開き、Aさんを児童相談所長に送致するという決定をしました。

AさんやAさんの家族は、児童相談所長に送致するという処分がどのような処分なのか、Aさんは自宅に帰ることができるのかなどを改めて説明してもらいたいと思い、それまでもAさんの付添人であった弁護士に改めて相談することにしました。
(事例はフィクションです。)

1 児童相談所とは

それでは、まずは児童相談所とはどのような場所なのかというところから解説していきます。
児童相談所とは、児童福祉法に基づいて設置される行政機関で、都道府県や指定都市(地方自治法252条の19第1項)には少なくとも1つ設置されています。
そして、厚生労働省のホームページによれば、児童相談所は、「市町村と適切な役割分担・連携を図りつつ、子どもに関する家庭その他からの相談に応じ、子どもが有する問題又は子どもの真のニ-ズ、子どもの置かれた環境の状況等を的確に捉え、個々の子どもや家庭に最も効果的な援助を行い、もって子どもの福祉を図るとともに、その権利を擁護すること」を主たる目的としていると説明されています(https://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/dv11/01-01.html)。

2 児童相談所の役割

先ほど説明したような目的で設置された児童相談所には、次のような役割が定められています。

⑴ 市町村を援助する役割
市町村が児童家庭相談に対応するにあたって、市町村同士の連絡や調整を行ったり、市町村に情報を提供したりなどといった必要な援助を行うという役割です(児童福祉法12条3項、11条1項1号)。

⑵ 相談に対応する役割
児童相談所は、児童福祉に関する高い専門性を有する機関です。
そのため、子どもに関する家庭その他からの相談のうち、「専門的な知識及び技術を必要とするものに応」じたり(児童福祉法12条3項、11条2項ロ)、「必要な調査並びに医学的、心理学的、教育学的、社会学的及び精神保健上の判定を行」ったりしたうえで(同ハ)、「心理又は児童の健康及び心身の発達に関する専門的な知識及び技術を必要とする指導その他必要な指導」(同二)をしたりといった援助を行う役割です。

⑶ 一時保護をする役割
必要に応じて子どもを家庭から話して一時的に保護する役割も担っています(児童福祉法12条3項、11条2項ホ、12条の4、33条)。

⑷ 措置に関する役割
また、子どもやその保護者を児童福祉士等に指導させたり、子どもを児童福祉施設などに入所させたり、里親に委託したりといった役割もあります(児童福祉法27条など)。

⑸ 親権者や未成年後見人に関する役割
さらに、親権者の親権喪失宣告の請求(児童福祉法33条の7)、未成年後見人の選任や解任に関する請求(児童福祉法33条の8、33条の9)を家庭裁判所に行うという役割もあります。

このように児童相談所は、子どもや家庭に対して幅広く、そして場合によっては強い役割を担っていることがお分かりいただけると思います。
この役割の一環として、少年事件についても児童相談所が役割を担う場面があります。

次回の記事では、少年事件で児童相談所が果たす役割についてさらに解説していきます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件・少年事件に関わってきた経験を活かし、少年審判後の再犯防止に向けたサポートにも力を入れています。
具体的には更生支援に向けた顧問契約や見守り弁護士弁護士の活動をさせていただきます。詳しい弁護活動の内容についてはこちらのページも参考にして下さい。
再犯防止に向けた弁護士のサポートにご興味のある方は、一度、あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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