刑法改正に伴って導入される拘禁刑について刑事事件に精通した弁護士が解説します①

1 はじめに

2025年6月1日施行の刑法改正により、従来の「懲役刑」と「禁錮刑」が廃止され、新たに統合された「拘禁刑(こうきんけい)」が導入されます。
これは明治以来続いた自由刑制度の大改革であり、受刑者の処遇や社会復帰支援、再犯防止策、刑務所運営に大きな変化をもたらすと期待されています。
当然ですがそのことは、実刑判決を受けた者の受ける刑の内容やその後の更生に与える影響も大きいといえます。
そこで本サイトでは拘禁刑の導入に合わせて、その内容や変更点について刑事事件に精通した弁護士が複数回にわたって拘禁刑について記事で詳しく解説させていただきます。

2 懲役刑と禁錮刑について

まずは従来の刑法で定められていた「懲役刑」と「禁錮刑」について簡単に解説させていただきます。
拘禁刑導入前の刑法の条文は以下の通りです。
(懲役)
第12条 懲役は、無期及び有期とし、有期懲役は、1月以上20年以下とする。
2 懲役は、刑事施設に拘置して所定の作業を行わせる。
(禁錮)
第13条 禁錮は、無期及び有期とし、有期禁錮は、1月以上20年以下とする。
2 禁錮は、刑事施設に拘置する。

両者の違いは刑務作業をする義務があるかどうかです。
しかしながら、実刑判決を受ける者の9割以上は懲役刑の判決を受けた者であり、さらに禁錮刑を受けた者のうち約8割強の受刑者が刑務作業を希望している状況でした。
これが拘禁刑の導入された背景になります。

3 拘禁刑についての条文

今回の刑法改正によって懲役刑と禁錮刑の条文が削除されて、次のような拘禁刑の条文が新設されます。
第12条(拘禁刑)
1 拘禁刑は、無期及び有期に、有期拘禁刑は、1月以上20年以下とする。
2 拘禁刑は、刑事施設に拘置する。
3 拘禁刑に処せられた者には、改善更生を図るため、必要な作業を行わせ、又は必要な指導を行うことができる。

拘禁刑が導入されることで、これまで「懲役刑」ないし「禁錮刑」が規定されていた条文の文言が「拘禁刑」に変わります。
例えば刑法246条であれば、次のように改正されます。
刑法246条 
人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の「懲役」に処する→人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の「拘禁刑」に処する。

また改正前の懲役刑に定められていた刑務作業を行う義務に関する文言はなくなり、3項により刑務作業や更生に向けた指導を行うことを「必要」に応じて行うことと定めています。

今回の記事では従来の条文との改正点について解説させていただきました。次回移行具体的な改正による変化や影響について詳しく解説させていただきます。

あいち刑事事件総合法律事務所では、どのような刑罰をや処分を受けたかに関わらず事件の当事者の方の更生を全力でサポートします。そのた目に早期の仮釈放の実現や真の更生に向けた見守り弁護士などの弁護活動を行っています。更生に関心のある方は是非一度あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。お問い合わせはこちらかフリーダイヤル(0120-631-881)からお願い致します。

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