共同危険行為で逮捕されてしまった少年事件における,更生支援に強い弁護士の活動について①

1 事例

今回の記事では以下の事例を題材に逮捕されてしまった少年事件における弁護活動について詳しく解説させていただきます。
【事例】
Aさんは公立高校に通う17歳でしたが,何となく学校が退屈になってしまい,地元の友達に誘われるままに,夜間,大通りをバイクで走り回ることを始めてしまいました。
最初は遊び半分だったのですが,徐々にエスカレートしていき,バイク仲間も増え,半年もすると暴走族のような行動に出てしまいます。
Aさんの両親も,Aさんが夜中まで遊びまわっていることは分かっていましたが,「他人に危害を加えない限りは」と思い,放任してしまいます。
ある日,Aさんは数十人の仲間とバイク数台で蛇行運転,並列運転をしてたところ,荒川警察署の警察官に見つかり,「共同危険行為」によって現行犯人逮捕されてしまいました。
Aさんの両親は,Aさんのために今後どうすればよいのか分からなくなり,更生支援を扱う弁護士に相談することにしました。
(事例はフィクションです)

2 共同危険行為による少年事件

共同危険行為とは,道路交通法68条に規定されている犯罪です。
大阪府警のページでも共同危険行為に関する罰則などが記載されています。
要約すると,①2人以上の人が一緒に,②2台以上の自動車,二輪車を運転して,③周りを交通する人が「危ない」,「とても迷惑だ」と感じるような行動をすることを指します。
典型的な例としては,道路の幅いっぱいに蛇行運転をする,低速でのろのろと並走して道を塞ぐ,理由もなくクラクションを連続でならす,空ぶかしを繰り返す,と言った行為があります。多くの方が「暴走族」と聞いてイメージするような行為が,共同危険行為に該当するでしょう。
Aさんのように,複数人の同級生,同学年と一緒になって共同危険行為をしてしまった場合,行動の非行性や共犯者が多数いること等から,たとえ未成年による少年事件であったとしても,逮捕されてしまうケースが多くあります。
共同危険行為によって逮捕されてしまうと,最長20日間の勾留がなされてしまう可能性が高く,また,家庭裁判所では観護措置に付され,通常4週間の少年鑑別所に送られてしまう可能性があります。
共同危険行為は,実際の事故の被害者などがいない犯罪類型ですが,少年事件の中では比較的悪質で非行性の高いものとして厳重に扱われてしまいます。
共同危険行為,暴走行為で逮捕されてしまったという場合には,速やかに刑事事件,少年事件を扱う弁護士に相談する必要があります。

3 更生とはどういう意味か

前述の通り,共同危険行為の場合には,特定の被害者というものがいません。示談交渉などによって刑罰や処分を軽減するということは観念できないのです。
そのため,更生に向けた環境がどの程度整っているか,すなわち,更生支援活動の成否によって,家庭裁判所における終局処分が決まると言っても良いのです。
家庭裁判所は,非行(犯罪)をしてしまった少年が,今後同じことや犯罪に関わってしまわないためにどのような処分が必要かという視点で,事件を見ています。この「同じこと・二度と犯罪に関わらない」という点は,まさに更生支援活動と言えるでしょう。
共同危険行為の少年事件においては,なぜ①暴走行為を,②繰り返してしまったのか,という点に肉薄することが非常に重要です。
Aさんのように,遊び感覚でバイクや車の暴走行為に手を出してしまう少年も一定数います。もちろん,車やバイクの運転が好きな人にとって見れば,運転行為はストレスの発散にもなり,仲間とのツーリングはレジャーとしても有意義なものです。
しかし,それが他人に対して危険を及ぼすようなものであってはなりません。車好き,バイク好きなのであれば,より一層そのことは理解しているはずです。そうであってもなぜそのような行動に出てしまったのか,弁護士がじっくりと話を聞き,事件に至った経緯を明らかにしていきます。
また,繰り返してしまう点も大きな問題です。通常,ストレス発散や何となくと言った動機からの行動であれば,一回的なものがほとんどです。「悪いこと/いけないこと」だと分かっていながら,繰り返してしまったというのは,大きな問題です。Aさんのように,非行仲間が増えてしまったというケースでは,非行をすることが本人たちにとっては当たり前,むしろ,(非行のための)仲間との絆を確認するために必要なことになっている場合もあります。こうなってしまうと,家庭裁判所としても重たい処分を科す必要があると判断することもあり得ます。

これらの非行を繰り返してしまった原因は,表面的に本人から話を聞いているだけでは分からないところもあります。
場合によっては少年本人が「取調べを受けているみたいだ」と反発することも考えられます。
ですが,更生を目指す上で,真っ先に確認する必要があるのは「なぜやってしまったのか」という点です。
弁護士が少年の立場に寄り添い,かといって甘やかしすぎることなく中立な第三者の立場で,本人の話をよく聞き,事件当時の少年自身の考え方を分析して,その問題点をきちんと把握した上で,解決策を提示していくことが必要です。
これがまさに,更生のための第一歩と言えるでしょう。
共同危険行為の少年事件,更生のことで困りのことがある方,そのご家族の方は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
少年事件での弁護活動についてはこちらのページでも解説をしています。

次回の記事では実際に弊所で扱った事例を基に実際の弁護活動について紹介させていただきます。

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