【裁判例紹介】執行猶予中に万引きの再犯をした事案について再度の執行猶予付きの判決を下した裁判例を解説します②

【事案の概要】
被告人はギャンブルにはまって金融機関からの借金を負い,転売目的での万引きをしてしまい,執行猶予付きの有罪判決を受けてしまいました。その裁判の途中から,ギャンブル依存症などの治療も受けていたのですが,裁判が終わった3か月後にはまたギャンブルにはまってしまい,今度は食べるもの欲しさから万引きをしてしまったというものです。
二度目の裁判の間も被告人は依存症専門の病院で入院治療を受け,また家族もそれを熱心に支え続けました。
一審判決は裁判を受けた3か月後にまたやってしまったという点を重く見て,今度は実刑判決を言い渡しました。
しかし、被告人が控訴した控訴審では1審判決を破棄して被告人に対して再度の執行猶予付きの判決を下しました。

今回の記事では前回の記事で紹介した判決の内容について、より詳しく見ていきましょう。
特に判決の結論を変えた事実の評価のポイントについて詳しく解説させていただきます

1 判決で再度の執行猶予を付した理由について

万引き再度の執行猶予について話を戻しましょう。
上記の事案でも,次のように指摘がなされていました。
「他方で、本件は財産犯であり、被害額は万引き窃盗において多額とまではいえないところ、被告人が被害弁償をしていることや、手口も同種万引き事案と比較して特に悪質とまではいえないことからすれば、犯情において、再度の執行猶予を検討することができる事案である。」
裁判所も,万引きの事案に対しては再度の執行猶予が十分にありうることを前提としています。
ですが,この万引きが,どのような経緯でなされたのか,という点,そしてそれを裁判所がどう見るか,が重要なポイントです。
上記の事案では,被告人は病的賭博,つまりギャンブル依存症(https://www.ncasa-japan.jp/understand/gambling/about)として精神科で診断を受けるほど,自分の衝動を抑えきれない状況にありました。
これについて,一審裁判所も控訴審裁判所もは「万引きに直接影響したものではない」と言いました。
そして,いかに家族が更生環境を整えているとしても実刑は避けられない,と判断しました。

一方,控訴審ではさらに,被告人はADHDの診断を受けており普通の人よりも自分の衝動を抑えるのが難しいという事情を付け加え,「このような更生への取組みを刑罰により打ち切らずに継続させる方が望ましく、本件は情状に特に酌量すべきものがあるとして、再度の執行猶予を付し、もう一度だけ社会内での更生の機会を設けるのが相当であり、原判決の刑をそのまま維持するのは、重きに失するに至ったというべきである。」と判断しました。
ここは私見になりますが,ADHDの診断という点を控訴審が特別重要視したとは思われません。
その為,一審と控訴審は,ギャンブル依存症で万引きをした被告人を家族が献身的に支えている,という事情を見て,実刑判決だ(一審)/もう一度チャンスを与えても良い(控訴審),といったように真逆の判断をしているのです。

2 弁護活動のポイントについて

一審と控訴審で弁護士の方針等が違っていたのかもしれません。しかしながら,万引き再度の執行猶予をめぐる事件については,同じ事案に対しても裁判所によっては真逆の判断がありうるのです。
裁判で再度の執行猶予を勝ち取るのは容易なことではありません。裁判になるもっと前段階から,証拠集めや主張の整理をしておかなければいません。
あいち刑事事件総合法律事務所では万引きを何度も繰り返してしまっている方に対する弁護活動について豊富な経験があります。
執行猶予中に再犯をしてしまって再度の執行猶予判決を勝ち取ることは相当困難ですが、実際に獲得した事例の弁護も弊所では担当しています。
執行猶予中に再犯をしてしまったという方や,執行猶予を勝ち取れるか不安があるという方は,ぜひ裁判になる前段階から刑事事件に精通したあいち刑事事件総合法律事務所の弁護士にご相談ください。

またあいち刑事事件総合法律事務所では万引き事件を起こした方の更生支援活動についても弁護士がサポートさせていただきます。
詳しくは、見守り弁護士(ホームロイヤー)のページをご覧ください。

keyboard_arrow_up

0120631881 問い合わせバナー LINE予約はこちら