仮釈放と仮釈放に向けた弁護活動① 仮釈放支援に精通した弁護士

【事例】
Aさんは強盗致傷罪で懲役3年6か月の判決を受け服役しています。Aさんは現在服役し始めてから2年半を経過しているところです。
Aさんは最近刑務所で知り合った人が仮釈放が認められて、釈放されたことを聞いて、自分も仮釈放を認めてもらうために何か出来ることはないか家族に相談しました。
家族は仮釈放を認めてもらい早期の社会復帰や更生ができないものかと、仮釈放支援に詳しいあいち刑事事件総合法律事務所の無料相談を利用しました。
(事例はフィクションです)
この事例を基に、仮釈放の制度と仮釈放を認めてもらうための弁護活動についてあいち刑事事件総合法律事務所の弁護士が解説します。

仮釈放とは

仮釈放とは、受刑者に「改悛の状」があることを前提に、収容期間(実刑期間)満了前に受刑者を仮に釈放して更生の機会を与え、その円滑な社会復帰を図ることを目的とした制度のことです。
したがって、仮釈放が認められれば受刑者が受けた懲役刑や禁錮刑の期間よりも短い期間で出所することが可能になります。
仮釈放が認められることで早期の再就職ができる、家族の支援の下で更生を図れるなど事件を起こされた方の更生に向けて前向きな一歩を早期に歩みだすことができると思います。

ただし仮釈放はあくまで「仮の」釈放であることには注意が必要です。
仮釈放が認められた場合には、刑期の満期まで保護観察に付されることになります。保護観察の際には社会生活を送る上で守らなければならない遵守事項が定められ。遵守事項に違反したり、素行不良が明らかになったりした場合には仮釈放が取り消される場合もあることに注意が必要です。
仮釈放については、本サイトの仮釈放のページにも詳しい解説がありますのでそちらも参照してください。

仮釈放が認められる要件とは

では次に仮釈放が認められるための要件について説明します。
仮釈放が認められるための要件には、一定期間の経過という形式的な要件と「改悛の情」が認められるという実質的な要件があります。
形式的な要件については、「有期刑についてはその刑期の3分の1を、無期刑については10年を経過」することが必要になってきます(刑法第28条)。

今回のケースのAさんであれば、3年6か月の懲役刑を受けていますので、少なくとも1年2か月の刑期が経過しなければ、そもそも仮釈放の形式的な要件も満たさず、仮釈放が認められる余地はありません。
Aさんの場合、現時点で2年6か月服役していることになりますので、この形式的要件については問題なく満たします。

したがって、Aさんに「改悛の情」が認められれば、仮釈放が認められるための要件を満たすことになります。
改悛の情がどのような場合に認められるかは、当サイトの仮釈放が認められる場合のページに詳細な説明がありますし、次回の記事で取り上げる仮釈放に向けた弁護活動のところで詳しく解説させていただきます。

仮釈放が認められるまでの流れ

先程仮釈放が認められる要件について説明をしましたが、仮釈放の要件を満たして初めて仮釈放が認められるためのスタートラインに立ったといえます。
次に、仮釈放が認められるまでの流れについて説明します。仮釈放が認められるまでの流れの詳しい説明については当サイトの仮釈放手続きの流れページも参照してください

実際に仮釈放が認められるためには、刑務所長が当事者につき仮釈放の要件を満たしていると判断して、地方更生保護委員会に対して、仮釈放許可の申出をすることが必要になります(更生保護法34条1項)。
そして、地方更生保護委員会で協議がなされ、その上で地方更生保護委員会において調査や聴き取りが行われ、仮釈放を許可する旨の決定が出て初めて仮釈放が認められることになります。
ここで注意しておきたいのは、地方更生保護委員会に対して仮釈放の申し出を行う権限があるのは刑務所長であり、受刑者本人には申し出の権限がないということです。

では、仮釈放が認められる方向に導くためにはどのような弁護活動が考えられるのでしょうか。
次回の記事では、本事例における仮釈放に向けた活動の例もあげながら、仮釈放に向けた弁護活動について解説します。

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