京都市山科区の不同意わいせつ事件 再犯防止と職業との関係②~再犯率と帰住先の有無は関係あるのか?

【事例】
Aさんは、滋賀県高島市で両親と一緒に生活をしている26歳の男性です。
Aさんは大学を卒業後、京都市山科区にある会社に就職しました。
ある日、Aさんは会社近くの路上で、女性の臀部を触るという不同意わいせつ事件を何件も起こしてしまい、後日、警察に逮捕されてしまいました。
Aさんが不同意わいせつ事件で逮捕されたというニュースは、京都府内の新聞に記事が載ってしまい、ほどなく会社の知るところとなってしまいました。
警察署で拘束されているAさんのもとに会社の人がきて話し合った結果、Aさんは会社を退職することになりました。
その後、Aさんは刑事裁判を受けることになりましたが、裁判が進行している間に被害者の方との示談が成立したこともあり、Aさんは保護観察付の執行猶予判決を受けることができました。

Aさん家族はその後のAさんの生活について話合いをしましたが、意見が割れてしまいました。
Aさんと母は、一日も早く、再就職先を見つけて働いた方がいいと考えています。
しかし、Aさんの父は、保護観察中、執行猶予中という身で就職活動をすると、その就職活動の中で前科があることが会社に発覚し、そのまま世間にも知られてしまうのではないかということを心配し、再就職先を探すことに反対しています。

そこで、Aさんと両親は、今から再就職先を探していいものなのか、あいち刑事事件総合法律事務所に相談することにしました。
(事例はフィクションです。)

1 はじめに

前回の記事では、法務省のホームページ(https://www.moj.go.jp/hisho/seisakuhyouka/hisho04_00040.html)を参考にしつつ、公表されている統計の数値をもとに、職業を有しているかどうかという点と再犯率の関係についてみてきました。
今回は、前回の記事に引き続き、他にどのような事情が関連しているのかについてみていきましょう。

2 再犯率と帰る場所があるかどうかの関係

前回も解説したように、刑務所から仮釈放を許されて出所する際、保護観察に付されることになります(更生保護法48条3号)。
このように刑務所から出所して保護観察となった人のうち、適当な行き場がある人の再犯率と、適当な行き場がない人の再犯率を見てみましょう。
適当な行き場とは家族との同居先があることや、住み込みで働く就業先があることなどを指す場合とお考え下さい。

平成21年から25年の累計で、適当な行き場がない人たちのうち、3カ月もかからずに再犯に及ぶのはなんと22パーセントにのぼります。
また、6カ月もかからずに再犯に及ぶのは13.3パーセント、1年もかからずに再犯に及ぶのは18.1パーセントと続きます。
このように、出所後に適当な行き場のない人たちの53.4パーセントが、1年も経たずに再犯に及んでしまっているのです。

ちなみに、1年以上3年未満の期間中に再犯に及んでしまっているのは29.4パーセント、3年以上5年未満の期間中に再犯に及んでしまっているのは8.9パーセント、5年以上再犯に及んでいないのが8.3パーセントとなります。

それでは、なぜこのような状態になっているのかを考えると、真摯にサポートしてくれる方の存在というのが大きいのかもしれません。
Aさんの場合には、同居している家族がいるのは、再犯防止に向けて重要な要素といえるでしょう。

以上のとおり、帰る場所があるのかどうかというのも、仕事があるかどうかというのと同じように再犯防止という観点から非常に大事な要素だということがお分かりいただけるはずです。

次回の記事では、職業を有しているかどうかが再犯防止のために大切であることを前提に、そのような問題に対する対策について解説していきます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件・少年事件に関わってきた経験を活かし、裁判後の再犯防止に向けたサポートにも力を入れています。
再犯防止に向けた弁護士のサポートにご興味のある方は、一度、あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
その他あいち刑事事件総合法律事務所では事例のように性犯罪をして逮捕された方に対して、より社会名での攻勢が可能になるために刑事処分の軽減を目指していく弁護活動にも力を入れています。性犯罪をされてしまった方の弁護活動についてはこちらのページも参考にしてください。

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